準拠集団とは?マーケティングで押さえるべき攻略ポイント

準拠集団

準拠集団とは、

  • 消費者の行動や態度に影響を与えるグループ

のことで、

  • 新しい行動ライフスタイルを個人に示す
  • 個人の態度価値観に影響を及ぼす
  • 個人が周りと同じ選択をするようなプレッシャーを与える

などの影響があります。(「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版 」p219 を参照)

直接的な影響を与える準拠集団は「メンバーシップ・グループ」と呼ばれ、

  • 第一次準拠集団:家族、友人(オンライン含む)、隣人、同僚など
  • 第二次準拠集団:職場団体、労働組合、宗教団体など

の2つに分けることができます。

また本人が属さない間接的な影響を与える準拠集団は、

  • 願望集団:そこに属したいと思っているグループ
  • 分離集団:価値観や態度を受け入れられないグループ

に分けることができます。

それぞれの準拠集団には、

  • オピニオン・リーダー:製品やサービスの情報を私的なコミュニケーションで提供し周囲に影響を与える人物

が存在していて、マーケティング戦略では重要な攻略ポイントとなります。

ここでは準拠集団の4つのタイプとオピニオンリーダーについて、わかりやすく解説します。

準拠集団とは?

準拠集団(じゅんきょしゅうだん)とは、消費者の行動や態度に影響を与えるグループのことで、

  • 直接的な影響を与える準拠集団(メンバーシップ・グループ)
  • 間接的な影響を与える準拠集団

の2つのタイプに分けることができます。

これらの準拠集団は、消費者行動と密接に関係しているため、マーケティング活動を設計する際にターゲットとなる消費者がどのような準拠集団に属しているかを把握することが大切です。

例えば、準拠集団のメンバーが「ロボット掃除機で家事が楽になったよ!」とか「電車通勤をやめて自転車通勤を始めたんだ!」などライフスタイルや行動の変化を示すと、他のメンバーも興味が湧いたり実践してみたりと行動に影響を与えます。

また準拠集団のメンバーが断捨離をして、快適にシンプルに暮らしている様子を目の当たりにしたら、他のメンバーでも「ものを持たないのが美徳」とか「不要不急なものは買わない」という態度や価値観の変化が現れるかもしれません。

さらに、準拠集団の多くが同じ行動を取っていれば、まだ行動を取っていない個人に対しても「同じ行動をとるはずだ」という圧力が働きます。これは他人の目を気にする人であればあるほど、その準拠集団への同調が強いほど、プレッシャーの影響を受けます。

このように、顧客をターゲット個人ではなく準拠集団というグループでとらえることによって、マーケティング戦略の攻略対象を、点でなく面でとらえることができます。

直接的な準拠集団:メンバーシップ・グループ

消費者に対して直接的な影響を強く与える準拠集団は、

  • 第一次準拠集団:家族、友人(オンライン含む)、隣人、同僚など
  • 第二次準拠集団:職場団体、労働組合、宗教団体など

であり、「メンバーシップ・グループ」と呼ばれます。

メンバーシップグループは、

  • 私的な付き合いがある
  • 関係性が長期的に持続する

という特徴があります。

そのため、メンバーシップグループから得られる情報が、消費者にとって信頼性が高いものであり、購買行動で強く意識されます。

第一次準拠集団

第一次準拠集団は、家族・友人(オンライン含む)・隣人・同僚など、実生活で頻繁にコミュニケーションをとる相手のことです。

第一次準拠集団は、似たような環境で生活をしているため、行動や態度、価値観などが似通っている傾向にあります。そのため、ライフスタイルや価値観の変化も緩やかで受け入れやすく、メンバーは互いに大きな影響を与え合います。

その中でも家族は、購買行動に特に影響の大きい集団と言えます。

例えば、家電製品や自動車、住居などの購入においては、夫婦であれば妻の影響が大きいとされています。そのため、マーケティング活動では実際にお金を支払う夫などの世帯主ではなく、購買の意思決定を行う妻に訴求するためにプロモーションを行うことがあります。

このように購買の意思決定に家族が関わることは多く、マーケティング活動の設計において無視することはできません。

情報収集の観点からは、この第一次準拠集団から得られる情報を外部探索の個人的情報に分類し、製品やサービスを評価するのために使います。

この外部探索の個人的情報については、下記の記事もご覧ください。

第二次準拠集団

第二次準拠集団は、企業・職場団体・労働組合・宗教団体など、個人が属しているより大きな社会的なグループのことです。

この第二次準拠集団は、宗教団体など個人の価値観に直結するものから、勤めている企業のような社会的な体裁に影響を与えるものまで様々です。

こちらも個人の日常に深く結びついているため、第一次準拠集団のように行動や態度、価値観などが近くなる傾向にあります。

その一方で、関係性は第一次準拠集団ほど長くないこともあります。転職してしまえば企業や労働組合とのつながりは切れますし、改宗してしまえば宗教団体とのつながりは切ることができます。逆に第一次準拠集団では、親子兄弟の関係のようにほぼ永久に変化しない関係性もあります。

間接的な準拠集団

消費者が属しておらず間接的な影響を与える集団は、

  • 願望集団:そこに属したいと思っているグループ
  • 分離集団:価値観や態度を受け入れられないグループ

の2つに分けることができます。

これらの準拠集団の動向は、先ほどのメンバーシップグループほどではないにしろ、間接的に消費者の行動に影響を与えます。

願望集団

願望集団は、消費者がそこに属したいという願望を持っているグループのことです。

例えば、サッカー少年は憧れのサッカーチームが願望集団かもしれません。憧れの選手が使っているシューズがあれば、サッカー少年はそのシューズを手に入れたいと思うかもしれません。またそのサッカーチームが選手と同じユニフォームを売り出せば、その少年はそのユニフォームを着て試合の応援に行き、願望集団の一部を担うことに喜びを感じるかもしれません。

逆に、憧れの選手が「薬物はやってはいけない」「いじめはダメなことだ」と言えば、その価値観に影響を受けてサッカー少年の態度や行動が変わる可能性があります。

このように間接的な影響だったとしても、願望集団の影響力が弱いわけではありません。

多くのスポーツ用品メーカーは、この願望集団に対して多額の広告費を払うことによって、ターゲット層の消費者行動に影響を与え、マーケティング活動を行なっています。

分離集団

分離集団とは、願望集団の真逆であり消費者がその価値観や態度を拒絶しているグループのことです。

わかりやすく言えば、

  • 「お隣さん一家はちょっと非常識だよね…。」
  • 「ライバル企業のやり方は姑息だ!顧客のことを考えていない!」
  • 「あの宗教団体の考え方は間違っている!自分たちが正しい!」

などという意見が挙がるようなグループのことです。

分離集団の行動や価値観は、その消費者にとって受け入れることができず、

  • 分離集団と自分たちが同じではないこと

に対して、安心感肯定感を抱きます。

そのため、ターゲットの分離集団が何なのかわかっていれば、その分離集団を否定することで消費者に共感を抱かせることができます。

オピニオン・リーダー

オピニオンリーダーとは、準拠集団の中で製品やサービスの情報を共有し、メンバーの消費者行動に影響を与える人物のことです。

ここまでご紹介した4つの準拠集団を利用するマーケティングでは、それぞれの準拠集団の特性を把握することも重要ですが、このオピニオンリーダーの動向を理解することも欠かせません。

なぜなら消費者は、準拠集団の中でもオピニオンリーダーからの影響を強く受けるからです。

例えば、「従業員のワークライフバランスが大切だ」と考えて実践する経営者が旗振り役の企業では、従業員の多くがワークライフバランスに対して考えます。そして、ブラックな働き方の企業は受け入れられないと考える従業員が増えるはずです。そのため、そういったオピニオンリーダーを持つ企業では、業務の効率化を実現する製品や、福利厚生を充実させるサービスが採用されやすくなります。

他にも、仲良しグループのファッションリーダー的人物の服装にメンバーが影響されたり、職場の新し物好きが買う電気製品に周りの同僚が影響されるなども、オピニオンリーダーの影響と言えます。

近年ではインフルエンサーと呼ばれる発言力が強い個人が、準拠集団のオピニオンリーダーとなってプロモーションに利用されることもあります。

このように、オピニオンリーダーを把握することは、準拠集団の中で情報を効率的に拡散させるために非常に重要です。

マーケティング活動では、ターゲットの準拠集団を把握するだけでなく、その準拠集団のオピニオンリーダーは誰なのか?そして、オピニオンリーダーに情報を届けるためには、どのようなマーケティング施策を行うことが必要なのか考える必要があります。

関連書籍

大学4年間のマーケティングが10時間でざっと学べる

大学4年間のマーケティングが10時間でざっと学べる

阿部 誠
1,620円(09/15 21:51時点)
発売日: 2017/09/29
Amazonの情報を掲載しています
大学4年間のマーケティング見るだけノート

大学4年間のマーケティング見るだけノート

1,188円(09/15 21:51時点)
発売日: 2018/09/14
Amazonの情報を掲載しています
コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版

Philip Kotler, Kevin Lane Keller
9,180円(09/15 04:58時点)
発売日: 2014/04/19
Amazonの情報を掲載しています