ホリスティック・マーケティングとは?4つの要素と3つのテーマ

ホリスティック・マーケティング

ホリスティック・マーケティングとは、

  • マーケティングに関わるすべての関係性を理解して活動を実行する

ことであり、「包括的マーケティング」とも呼ばれます。

マーケティングには、

  • 顧客
  • 従業員
  • パートナー(供給業者、協力企業、協力団体など)
  • 財務メンバー(株主、投資家、銀行など)
  • 社会

などとの関わりが欠かせませんが、これらすべてとの関係性を統合して、マーケティング活動を行おうとするのがホリスティック・マーケティングです。

ホリスティック・マーケティング

ホリスティック・マーケティングは、

という4つの要素から構成され、

  • 価値探求:どうすれば新しい価値の機会を見出せるのか?
  • 価値創造:どうすれば価値提供物を効率よく創造できるのか?
  • 価値提供:どのように経営資源を使えば価値を効率よく提供できるのか?

という3つのテーマに取り組むことが必要です。

ここではホリスティック・マーケティングについて、わかりやすく説明します。

ホリスティック・マーケティングとは?

ホリスティック・マーケティングの定義について、コトラー教授の言葉を引用すると、

重要なステークホルダーとの間に長期的で相互に満足できるリレーションシップを築き、ともに繁栄することを目的に、価値を探求し、創造し、提供する活動を統合する。

コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版 p49 より

と書かれています。

これをわかりやすく言えば、

  • 関係者と長期的な関係を保つ
  • みんなでWin-Winの関係を築く
  • マーケティング活動全体を連携させる

ということになります。

もっと簡単に言えば、

  • 全体を見ながら上手くマーケティングが回るようにみんなで連携する

のがホリスティック・マーケティングです。

ホリスティック・マーケティング

マーケティングの活動は、1つの企業だけで完結するものではありません。

顧客とのつながりはもちろんのこと、製品やサービスを生み出して価値を伝えるのはすべての従業員ですし、様々なパートナーの助けがあるからこそ、顧客に価値を届けることができます。

またマーケティング活動は従業員の雇用を生むだけでなく、価値の提供によって地域社会にも影響を与えます。

そのため「すべてが重要」と考えて、広い視点からマーケティング活動全体を統合していくことが必要になります。

ホリスティック・マーケティング:4つの構成要素

ホリスティック・マーケティングは、

  • リレーションシップ・マーケティング
  • インターナル・マーケティング
  • 統合型マーケティング
  • 社会的責任マーケティング

の4つの要素から構成されます。(「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版 」p21 より)

リレーションシップ・マーケティング

リレーションシップ・マーケティングとは、

  • マーケティング活動に影響をおよぼす人や組織と「マーケティング・ネットワーク」を築く

ことです。

マーケティング活動を統合的に動かすためには、

  • 顧客
  • 従業員
  • パートナー(供給業者、協力企業、協力団体など)
  • 財務メンバー(株主、投資家、銀行など)

といったステークホルダー(関係者)としっかりした関係性が構築されていなければなりません。

そのしっかりとした関係性のことを「マーケティング・ネットワーク」と呼びます。

リレーションシップ・マーケティング

マーケティングネットワークは、それぞれのステークホルダーとの日々のコミュニケーションや協業によって構築されるものであり、すぐに作れるものではありません。

そのため、強固なマーケティングネットワークを作り上げることが、マーケティング戦略の成功に重要な役割を果たします。

詳しくはこちらの記事もご覧ください。

インターナル・マーケティング

インターナル・マーケティングとは従業員に対して

  • マーケティングの観点から社内業務を提供して従業員満足度(ES)を高める
  • マーケティング戦略への理解を促して全社的な協業体制を築く

という2つの意味がありますが、ホリスティック・マーケティングの視点では後者の考え方がより重要になります。

インターナル・マーケティング

マーケティング活動で一番重要な役割を果たすのが従業員です。

従業員は製品やサービスの提供によって価値を生み出し、顧客との接点で価値を伝える役割も持っています。またパートナーに連携を促すことも、従業員が重要な役割を担います。

そのためすべての従業員がマーケティング戦略を理解して、一丸となってマーケティング活動を行うことが理想的です。

詳しくはこちらの記事もご覧ください。

統合型マーケティング

統合型マーケティングは、

  • Product:製品
  • Price:価格
  • Place:流通
  • Promotion:プロモーション

というマーケティングミックス(4P)を統合することで、消費者(顧客)に価値を届ける活動のことです。

統合型マーケティング

このマーケティングミックスの活動プログラムは、マーケターによって生み出されます。

マーケターとは、

  • 需要を顕在化(けんざいか)させる
  • 見込み客を作り出して状態を変化させる

ことに長けたマーケティングの専門家のことで、

  • バランス需要:需要と売り手の供給量が一致している状態
  • 過剰需要:需要が大きすぎて供給が追いつかない状態
  • 変動需要:季節変動など需要そのものに波がある状態
  • 減少需要:消費者がその製品を購入する頻度を減らしている状態
  • 逆需要:消費者はその製品を好まないどころか避けたい状態
  • ゼロ需要:消費者はその製品を知らない又は興味がない状態
  • 潜在需要消費者のニーズが既存製品では満たされていない状態
  • 不健全需要:社会的に望ましくない製品に需要がある状態

という8タイプの需要に対する打ち手を考えるのが役割です。

対象となる顧客のニーズウォンツを把握し、「製品」「価格」「流通」「プロモーション」の4つの視点から需要(デマンド)に対応できるマーケティング活動のプログラムを考えることが、統合型マーケティングの実現につながります。

社会的責任マーケティング

社会的責任マーケティングとは、

  • 倫理
  • 環境
  • 社会的文脈

などの視点から、マーケティング活動の社会への影響を考えて対応することです。

社会的責任マーケティング

例えば、自動車は便利な乗り物ですが、急速に普及すると排気ガスなどによって社会に環境汚染を引き起こします。そのため自動車メーカーは、自動車の利便性を高めつつも、燃費を良くしたり、排出する有毒なガスの量を減らしたりなど、社会的な負担を減らすことに努めました。

このようにマーケティング活動は消費者に価値を提供する一方で、製品やサービスが社会にマイナスの影響を与えることもあるため、ステークホルダー(利害関係者)だけでなく社会全体についても考える必要があります。

ホリスティック・マーケティング:3つのテーマ

ホリスティック・マーケティングでは、

  • 価値探求:どうすれば新しい価値の機会を見出せるのか?
  • 価値創造:どうすれば価値提供物を効率よく創造できるのか?
  • 価値提供:どのように経営資源を使えば価値を効率よく提供できるのか?

という3つのテーマに沿ってマーケティング活動を設計します。(「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版 」p50 より)

価値探求

市場も顧客も常に一定ではなく、変化し続けるものです。そのため提供すべき価値も変化し続けます。

そのため、

  • 顧客や市場の変化を見逃さない
  • 企業の持つ経営資源の変化を把握する
  • パートナーに起きている変化を理解する

ことが重要になります。

企業はすべての変化を知った上で「どうすれば新しい価値の機会を見出せるのか?」を考えなければいけません。

価値創造

環境の変化を知って「新しい価値の機会」をつかんだとしても、それを利用するためには価値を創造するスキルがなければ、顧客に価値を提供することはできません。

「新しい価値の機会」つまり顧客に価値を提供できる新しい視点を手に入れたのであれば、企業はコアコンピタンス(製品やサービスの源になる中核的な技術)を活用して、今までとは違った価値を創造しなければなりません。

コアコンピタンスには、

  • いくら使っても消えない
  • 利用され共有されるたびに強化されていく
  • 既存事業同士を結合させる接着剤になる
  • 新規事業を創造する原動力になる

といった特徴があります。(戦略論 1957-1993 (HARVARD BUSINESS PRESS) の第8章より引用)

企業はコアコンピタンスを利用することで、社内の経営資源を組み合わせ、必要があれば事業と事業を結合し、外部パートナーと協力しながら新しい価値を創造します。

価値提供

新しい価値の機会」をつかみ、「新しい価値を創造」できれば、今度は顧客にその「価値を提供」しなければなりません。

顧客との関係性を保ち、顧客がどんなニーズやウォンツを持っているのか把握するためには、CRM(顧客関係管理)を行うことが必要になります。

また価値の提供は、1つの企業だけでは完結できない場合も多いため、外部パートナーとの価値提供のためのインフラ(ケイパビリティ)を整えることも、他者との競争力の強化に役立ちます。

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