関与度とは?低関与を高関与に変えるマーケティング手法

関与度

関与度とは、

  • 消費者と製品やサービスの結びつきの強さ

のことで消費者の「関心の高さ」や「こだわり」として行動に現れます。

  • 価格
  • 購買頻度
  • 社会的評価

が高いほど、製品やサービスに対する消費者の関与度が高くなる傾向があります。

また関与度は、

  • 消費者の基本的欲求に訴える広告を打つ
  • 消費者の関心がある社会問題と結びつける
  • 消費者の関心がある特性を加える
  • 消費者個人のニーズと結びつける
  • 精緻化見込みモデルの中心的ルートの3条件を満たす

といったマーケティングの施策によって、高めることができます。

ここでは関与度については具体例を交えて、わかりやすく説明します。

関与度とは?

関与度とは、「関与」や「消費者関与」とも呼ばれ、消費者と製品やサービスとの結びつきの強さを表現した言葉です。

消費者と製品やサービスの結びつきが強いということは、

  • 消費者が製品やサービスの情報を積極的に集めようとする
  • 消費者が製品やサービスの詳細な比較検討を行う
  • 消費者が製品やサービスを利用した後の評価を行う

といった「関心の高さ」や「こだわり」が消費者行動として現れます。

一般的に関与度は、製品やサービス自体の、

  • 価格
  • 購買頻度
  • 社会的評価

が高くなるほど、消費者の関与度も高まる傾向にあります。

逆に、消費者にとって関与度が高ければ、価格の高い製品やサービスも検討する可能性が高まり、購買の頻度も向上することがあります。

なお、製品やサービスの価格や購買頻度(利用頻度)については、顧客のライフタイムバリュー(LTV、顧客生涯価値)の観点から、RFM分析というフレームワークを使って分析することができます。

関与度における価格

価格が高い商品やサービスほど、消費者の関与度が高まる傾向にあります。

なぜなら、

  • 失敗するリスクを避けたい

からです。

例えば、住宅の購入を検討する場合には、多くの消費者が土地選びに時間をかけ、住宅展示場に何度も訪れ、住宅メーカーや工務店と打ち合わせを重ねて検討します。

これは住宅の購買を決めると、資産を手に入れる代わりに住宅ローンという長期の負債を抱えることに加えて、日々の生活の質が長期的に決定づけられてしまうからです。そのため、その失敗リスクを最小限にするため、消費者は関与度を高めます。

その他にも、高級時計や自動車、金融商品など支払う金額が高いものには、消費者の関与度が高まります。

補足

金額が高くても、消費者の関与が高まらない製品やサービスも存在します。その代表的なものが、保険商品携帯電話回線です。

保険商品や携帯電話回線は、月々数千円〜数万円を長期にわたって支払うので、生涯に支払う金額は非常に高額です。にもかかわらず、多くの消費者は関与度を高めず、情報収集や学習もあまり行いません。その理由は、サービス内容の複雑さや理解のしにくさにあります。

これを逆手に取れば、高額であっても目の前で支払う金額が低かったり、消費者が理解しにくい複雑な条件付けや料金体系にすれば、金額によるハードルを下げさせることができるということです。

このような製品やサービスでは、物語や芸能人を使ったブランドイメージなどの「周辺的手がかり」を使ったプロモーションを中心に行う傾向にあります(正直に「5年間の利用で100万円!」とか言うと、誰も買わなくなります)。

関与度における購買頻度

購買頻度が高い製品やサービスほど、消費者の関与度が高まる傾向にあります。

なぜなら、

  • 消費者の学習が促進される

からです。

例えば、スーパーで頻繁に自ら牛乳を買っている消費者は、牛乳を買わない消費者よりも牛乳への関与度が高まります。

何度も製品を目にすることで、ブランドによって価格の差があることや、牛乳コーナーには「牛乳」と書かれている製品とそうでないもの(牛乳ではなく乳製品)があること、脂肪の量が違うことや、ビタミンが添加されているものがあることを知ります。

その結果、牛乳に対する学習が促進され、消費者自身の好みなどと照らし合わせて選ぶようになり、関与度が高まります。

関与度における社会的評価

製品やサービスの社会的評価も、消費者の関与度を高める要素になります。

なぜなら、

  • 消費者個人の社会的評価に影響を与える

からです。

例えば、高級ブランドのスーツと靴を身につけている人を見かければ、人は「この人は仕事ができそうだ」「この人は資産を持っているに違いない」と考える傾向にあります。それは身につけている製品の社会的評価の高さと、それを所有する個人の社会的評価を無意識のうちに結びつけてしまうためです。

他にも、ハリウッドの著名人(セレブリティ)が2000年代にこぞってトヨタ・プリウスに乗ったことも、プリウスの「地球環境に優しい」という社会的評価が、著名人個人の社会的評価に繋がったからです。

このように、製品やサービス自体の社会的評価は、それを利用する消費者にも及ぶことがあります。そのため、消費者は自分の社会的評価に影響を与えるものに対して、関与度が高くなります。

低関与商品のマーケティングと具体例

消費者にとって低関与の製品やサービスは、

  • 必要な情報を内部探索で処理しようとする
  • 精緻化見込みモデルの周辺的ルートで判断しようとする

という傾向にあります。

情報の内部探索とは、

  • 自分自身の記憶や知識から情報を集めること

であり、低関与商品に対しては消費者の情報収集は消極的になります。

また外部から得られた情報も、

  • 印象やブランドイメージといった周辺的手がかりで判断(精緻化見込みモデルの周辺的ルート)

する傾向にあります。

そのためマーケティング施策では、

  • 製品やサービスの露出度を増やしてイメージを浸透させる

ことが重要です。

例えば、練り歯磨き(歯磨き粉)は、価格も安いため失敗のリスクが低く、購買頻度も月に一度程度とあまり高くありません。また使っている歯磨きのブランドで、消費者が社会的な評価を受けることもありません。そのため消費者にとって関与度の低い製品になる傾向にあります。

おそらく練り歯磨きを購入しようと売り場に向かった消費者は、

  • 「今まで使っていたハミガキで問題なかったから同じものを買おう(内部探索)」
  • 「広告で好きな芸能人が宣伝してた新製品を買ってみよう(周辺的手がかり)」
  • 「よくわからないから特価品を買おう(内部探索も周辺的手がかりも無し)」

などといった判断で購買することが多いのではないでしょうか。

そのためこのような低関与商品のマーケティングでは、

  • 消費者に対して露出度を高めて「選択的注意」を引き出す
  • 消費者に製品やサービスのブランドイメージを植え付ける

ことが必要です。

高関与商品のマーケティングと具体例

消費者にとって高関与の製品やサービスは、

  • 必要な情報を外部探索で補おうとする
  • 精緻化見込みモデルの中心的ルートで判断しようとする

という傾向にあります。

情報の内部探索とは、

  • 自分以外の情報源から情報を集めること

であり、

  • 個人的情報源:家族、友人、知人、同僚、SNSの書き込みなど
  • 商業的情報源:広告、ホームページ、販売員、パッケージなど
  • 公共的情報源:マスメディア(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)など
  • 経験的情報源:試供品、試乗、試用、体験、デモンストレーションなど

といった情報源を利用します。

またそれらの収集した情報は、

  • 消費者自身が合理的に判断(精緻化見込みモデルの中心的ルート)

しようとする傾向にあります。

そのためマーケティング施策では、

  • 消費者の知識レベルに合わせた学習機会の提供
  • イメージだけでなく優位性を論理的に説明

することが重要です。

例えば、先ほど例に挙げた住宅の販売では、住宅メーカーは様々な媒体で広告を打つだけでなく、

  • 「家づくりの勉強会」などのイベントで消費者に知識を提供する
  • 住宅そのものの機能性や安全性などを詳細に説明する

ことで、消費者の高い関与度に合わせたマーケティング活動を行なっています。

低関与を高関与に変える5つのテクニック

消費者にとって低関与の製品やサービスは、いつまでたっても低関与なわけではありません。

低関与の商品でも、

  • 消費者の基本的欲求に訴える広告を打つ
  • 消費者の関心がある社会問題と結びつける
  • 消費者の関心がある特性を加える
  • 消費者個人のニーズと結びつける
  • 精緻化見込みモデルの中心的ルートの3条件を満たす

ことで、関与度を高めることができます。

そして消費者にとって関与度が高まれば、

  • プレミアム価格の製品やサービスの利用
  • 購買頻度の向上

などの変化が得られることがあります。

基本的欲求を利用した広告

基本的欲求とは、

  • マズローの欲求段階説
  • アルダファーのERG理論

などに代表される人間が持つ欲求のことです。

マズローの欲求段階では、「生理的欲求」「安全欲求」「所属と愛の欲求(社会的欲求)」「尊重欲求」「自己実現欲求」「自己超越欲求」の6つで欲求が表現されています。

マズローの欲求段階説

またアルダファーのERG理論では、「存在の欲求」「人間関係の欲求」「成長の欲求」という3つの欲求で表現されています。

アルダファーのERG理論

これらの基本的欲求は人間にとって普遍的なものであり、広告で打ち出すメッセージに基本的欲求に訴えかけるものであれば、消費者が重要だと捉えて関与が高まる可能性があります。

これだけだとイメージしにくいと思うので、コンサルタントのドルー・ホイットマン氏の「LF8(Life Force 8、生命の8つの力、生命の8つの躍動)」という、「クロージングの心理技術21 」「現代広告の心理技術101 」で掲載されているコピーライティングのテクニックをご紹介したいと思います。

LF8とは、

  1. 生き残り、人生を楽しみ、長生きしたい
  2. 食べ物、飲み物を味わいたい
  3. 恐怖、痛み、危険を免れたい
  4. 性的に交わりたい
  5. 快適に暮らしたい
  6. 他人に勝り、世の中に遅れを取りたくない
  7. 愛する人を気遣い、守りたい
  8. 社会的に認められたい

といった人間の基本的欲求のことです。

これらの8つの項目に触れるようなコピーやメッセージを広告で使うことで、消費者の関与を引き上げる可能性があります。

例えば、練り歯磨きを売るときに「生き残り、人生を楽しみ、長生きしたい」という欲求に訴えかける場合は、「歯周病は様々な病気の原因となります。だから健康で長生きするためにデンタルケアは重要です。」という趣旨の内容を消費者に伝える、といった具合です。こうすれば単純に「歯周病を防ぎます。」とだけ伝えるよりも、消費者に選んでもらえる確率は高まります。

このように、消費者が人間の基本的欲求を満たそうと考えることで、製品やサービスとのつながりが強くなります。

関心がある社会問題

消費者が関心のある社会問題を、製品やサービスで間接的に解決できることがわかれば、関与度が高まることがあります。

例えば、

  • 社会のゴミの量が増えていて環境に影響を与えている

という社会問題を意識している消費者には、

  • 燃やしても有害物質が少ない素材を製品に使用
  • 使い終わった製品はリサイクルが可能
  • 原料の半分以上がリサイクル素材
  • ゴミの量が少なくなるコンパクトなパッケージを採用

などといった要素を製品やサービスに加えることで、消費者の社会的関心と企業の社会的関心を結びつけて関係性を深めることできます。

関心がある特性

消費者が関心のある特性とは、製品やサービスが何であるかに関わらず興味を示すものことです。

例えば、猫好きの消費者には、製品やサービスに猫のイラストや写真を使うだけで関与度が高まります。世の中には「猫のイラストが描いてあるから」といった理由で、低関与の製品やサービスに手を伸ばす消費者が驚くほどたくさんいます。

これは、アイドルやアーティスト、アニメなどのファンでも同様のことが当てはまります。好きなアイドルがプロモーションを行い、製品パッケージにアイドルの写真が載っていれば、それだけで関与度を高める消費者もいます。そしてそれをキッカケとして、製品やサービス本来の価値に気づくこともあります。

他にも好きな色、好きな動物、好きな香りなど、消費者が関心を示すものを製品やサービスの特性として加えることで、関係性を深めることができます。

消費者の個人的なニーズ

製品やサービスは、そのものが消費者のニーズを解決しますが、追加的に消費者の別のニーズを解決できるようにすれば関与度が高まることがあります。

例えば、ファストフードの牛丼は、

  • 短い時間で昼食を済ませたい
  • ガッツリと肉が食べたい
  • 安価に満腹感を得たい

といった消費者のニーズを満たすものがほとんどです。

しかし上記のニーズに加えて

  • ダイエットのためにカロリーを抑えたい
  • 野菜を食べる量を増やしたい

といったニーズを満たすヘルシーなメニューを開発すれば、牛丼にあまり興味がなかった消費者でも、

  • 「カロリーの低い牛丼があるならダイエット中でも大丈夫かも。」
  • 「最近野菜不足だから牛丼屋の新メニューが気になる。」

といったように関与度が高まる可能性があります。

中心的ルートの3条件を満たす

高関与商品のマーケティングでは、消費者が合理的に物事を判断する精緻化見込みモデル」の「中心的ルート」を経由することをお伝えしました。

この逆を考えると、消費者が中心的ルートで物事を判断しやすい環境を整えれば、関与度が高まる可能性があります。つまり、消費者に製品やサービスの知識を与えて、合理的に判断できるようにすれば、消費者と製品やサービスの関係性も深まるということです。

そのためには、

  • 動機:消費者が製品やサービスを詳細に評価したいと思っている
  • 能力:消費者が製品やサービスを評価するために十分な知識を持っている
  • 機会:消費者に製品やサービスを評価するための十分な時間がある

という3つの条件がそろう必要があります。

例えば、店頭での調理器具や便利グッズのデモンストレーションは、

  • 消費者はその製品の特徴が本当なのかどうか評価をしたくなる
  • 消費者は販売員の説明で評価をするための知識が得られる
  • 消費者はデモに足を止めて評価のための時間を確保できる

といったように、中心的ルートで判断する条件を生み出すことができます。

他にも、日本古来の「ガマの油売り」も同様です。

参考 ガマの油ウィキペディア

この他にも様々な方法で、消費者に興味を惹きつけ、知識を与え、評価する時間を与えることで、製品やサービスとの関係性を深めることができます。

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