8. 変動需要
先ほどの説明で、B2B市場の需要は価格変化に対して変動が小さいという特徴があることを伝えましたが、派生需要そのものは価格と関係なく大きく変動するという特徴も持っています。
例えば、
- 最終製品Aが去年は100台売れたけど今年は110台くらい売れそう
という予測が出たとします。
ここで、
- 最終製品を構成する部品X
- 部品Xを構成する部品Y
- 部品Yを構成する部品Z
があったとします。
そうするとそれぞれの生産量は、
- 製品メーカー:最終製品Aを110台の需要予測に対応するため115台分の部品Xが欲しい
- 供給業者X:115台分の需要に対応するために念のため120台分の部品Xを生産
- 供給業者Y:120台分の需要に対応するために念のため125台分の部品Yを生産
- 供給業者Z:125台分の需要に対応するために念のため130台分の部品Zを生産
というように、製品メーカーにとっては10%の需要増だったものが、サプライチェーンを登っていくごとに需要の振れ幅がどんどん大きくなっていくことがわかります。
このように最終顧客の需要の小さな変化でも、そこから派生した需要に大きな変化を与えてしまうことがあります。
9. 購買者の地理的な集中
産業は特定の地域に集積していることがよくあります。
例えば自動車産業であれば、トヨタ自動車がある愛知県、スズキやダイハツのある静岡県、日産自動車のある神奈川県など、工場や部品メーカーなどが地理的に集中している地域が存在しています。
このように売り手も買い手も同じ地域に集中するのは、お互いに取引のコストを下げることができるからです。
2つ目の特徴や5つ目の特徴で説明したように、売り手と買い手は常に緊密なコミュニケーションをとることになります。そのため地理的にお互いに離れていると不便なので、地理的に集中しやすいという特徴があります。
10. 直接購買
B2B市場では、買い手が売り手から直接的に購入することが多くみられます。
これは3つ目の特徴で挙げたような、専門的な購買が行われることが理由です。より高価でより複雑な製品は、買い手の製品やサービスの品質に与える影響も大きくなります。
そのためリスクが高く、綿密なコミュニケーションが必要とされるものほど、仲介業者を挟まずに企業と企業が直接売買する傾向が強くなります。