4Mとは「Man」「Machine」「Material」「Method」の頭文字で、生産においてQCDと経験曲線効果を実現するために投入される資産のことです。
- Man:作業者
- Machine:機械設備
- Material:原材料
- Method:作業方法
また問題点を分析・発見するための視点としても使われます。
- Man:人的な原因
- Machine:設備的な原因
- Material:原料に関する原因
- Method:方法による原因
派生したものでは「Media」「Management」「Environment」などの要因も含める場合があります。
- Media:情報に関する原因
- Management:管理に関する原因
- Environment:環境変化による原因
ここでは生産現場における4Mと、原因分析における4Mについて解説します。
生産現場における4M
4Mは、生産現場の中でも特に機械加工などを行う場所で用いられます。
作業者・機械設備・原材料・作業方法の4つの資源から作業を改善することで、製品品質をはじめとしたQCDを高めることができます。
経営資源の視点では、「物的資本(=モノ)」「人的資本(=ヒト)」「情報」の管理に該当します。
Man:作業者
Man(マン)は作業者のことです。生産では過剰人員や不足、手待ち、習熟度など、作業者に関する様々な調整が必要になります。
そのため生産形態に合わせて、単能工の採用や多能工の育成を行わなければならなりません。分析方法としては、作業分析や動作研究を行います。
生産に関わる作業の分析を行えば、経験曲線効果が得られ、生産効率を最大化することができます。
なお、下記の3つの要素「Machine(機械設備)」「Material(原材料)」「Method(作業方法)」を運用するのが「Man(作業者)」であり、4つの要素の中で最も重要なものとされています。
Machine:機械設備
Machine(マシーン)は機械設備のことです。後述の「Method(作業方法)」とあわせて、機械設備の調達・製造、作業機械のレイアウト、生産ラインの自働化などを検討します。
SLP(システマティック・レイアウト・プランニング)においては、「Man(作業者)」とあわせて様々な分析方法あります。
Material:原材料
Material(マテリアル)は原材料のことです。購買活動ではどのような原料や部品をどのように調達し、在庫をどのように管理するかを考える必要があります。
MRP(Material Requirement Planning)を利用した資材管理や、様々な在庫管理・購買管理活動が存在しています。
Method:作業方法
Method(メソッド)は作業方法のことです。生産形態を受注生産にするのか見込生産にするのか、ライン生産方式を採用するかセル生産方式を採用するのか等、「Man(作業者)」「Machine(機械設備)」を上手く使ってどのように作業工程を進めるのかを考えます。
事故などの原因分析における4M
製造や医療の労働環境において起こる災害や事故について、人的・設備・原料・方法の4つの視点で漏れなくダブりなく原因を分類するためのフレームワーク(MECE、ミーシー)としても使われます。
また単純に原因を分析するだけでなく「なぜなぜ分析」など、原因を深掘りする手法と組み合わせます。
Man:人的な原因
ヒューマンエラーや、作業に関わった人そのものに関する視点で原因を探ります。
些細な人的なミスだったとしても、その原因は職場の人間関係や作業員の心理状態、人手不足による作業時間の長期化や教育不足など様々です。
単純にその問題に関わった作業員が悪いだけでなく、その状況を作ってしまった周りの人や経営者の意思決定に問題があることも多くあります。
Machine:設備的な原因
機械の故障やトラブル、性能劣化など、作業に使った機械や設備に関する視点で原因を探ります。
機械や設備などは性能を十分発揮するためには、定期的なメンテナンスや改良が必要です。またその機械や設備を使う環境も、作業に適している必要があります。
原因を深掘りすれば、機械や設備そのものに関わるものに加えて、前述の人的な原因や後述の方法による原因も関連していることがあります。
Material:原料に関する原因
原料や部品の変化や劣化、組み合わせや性能など、生産に使用した原料や部品に関する視点で原因を探ります。
いつも同じ部品や原料を使っていると思い込んでいると、小さな変化に気づかないこともあるかもしれません。
また部品や原料を変更した場合にも、想定外の影響が出る場合もあります。部品や原料で不具合が出た場合には、人的ミス・設備トラブル・作業手順などのその他の要因のチェックも必要です。
Method:方法による原因
作業方法や作業手順など、生産を行うために定めたルールやマニュアルに関する視点で原因を探ります。
他の3つのMの取り扱いに関して、作業手順やマニュアルは大きく影響します。
間違いやすい方法やトラブルが起きやすい手順はしっかりと原因を探り、改善する必要があります。
その他のMとE
これらの4つの原因の他にも、
- Media(情報に関する原因)
- Management(管理に関する要因)
- Environment(環境変化による原因)
などがあり、「6M」や「4M1E」などとすることもあります。
同じ製造業でも作業環境や取り扱う素材によって、「Media(情報に関する原因)」「Management(管理に関する要因)」「Environment(環境変化による原因)」の重要度が違います。
4Mは原因を効率よく分類するための枠組みでしかないため、分析に必要な要素があれば独自の4Mや5Mを作って運用しましょう。