総資本回転率とは?計算での求め方と目安:業種別平均値【2023年発表値】

総資本回転率

総資本回転率の相互比較

相互比較による総資本回転率の分析は、

  • 競合他社との比較:同じ業界・規模・業態の競合他社との比較
  • ベンチマーキング:同じ業界の優良企業やトップ企業との比較
  • ビジネスモデル比較:同じ業界でビジネスモデルの異なる他社との比較

というように比較対象を変えて数値を比較します。

ここでは例として、

  • 同業界で同業態の競合他社との比較

で説明します。

競合他社の財務データの入手方法については、こちらの記事をご覧ください。

売上規模が違うのに総資本回転率が同じになる場合

売上の規模が違っても総資本回転率が同じ場合は、

  • 資産の構成が似ている
  • ビジネスモデルが似ている

ことが考えられます。

総資本回転率は同じ

資産の中に占める在庫(棚卸資産)の割合や、固定資産の割合が同じであれば、総資本回転率も同じになる可能性が高くなります。

特に同じ業界であれば、ビジネスモデルなども似通っていることがほとんどなので、保有する資産の構成も似ることが多くあります。

しかし詳細を見ていけば、

  • 他人資本と自己資本の比率が違う

ということもあります。

そういった場合には、

  • 自己資本比率:総資本のうち自己資本がどれくらいの割合を占めているか?
  • 負債比率:自己資本に対して負債がどれくらいの割合を占めているのか?

などの安全性の財務分析で確認する必要があります。

総資本は変わらないのに総資本回転率が高い(or 低い)場合

総資本がほとんど同じなのに、売上高の違いで総資本回転率に差がある場合は、

  • 競合他社よりも資本や資産を有効活用できている(または、できていない)
  • 資産の構成が違う
  • ビジネスモデルが違う

ことが考えられます。

売上高の差で総資本回転率の差が出る場合

もし競合とビジネスモデルが同じで、在庫量(棚卸資産)や保有する固定資産に大きな違いがないのであれば、

  • より大きな価値を効率的に生み出せているか

によって総資本回転率に差が現れます。

例えば一方の企業の方が高いブランド価値などを持ってれば、設備や製造原価が同じだったとしても、より大きな売上に変換することができます。逆に顧客にとって価値が低く買い叩かれてしまうようであれば、売り上げは大きくなりません。

また総資本のサイズが同じでも、資産の構成やビジネスモデルが違えば売上高に差が現れます。

例えば同じ業界でチェーン展開している企業でも、直営店が多い企業は土地や店舗の固定資産が多く、総資本が大きくなります。逆にフランチャイズ展開している企業は、所有する土地や店舗が少ないため、総資本が小さくなります。

このようにビジネスモデルが同じでも資産の構成内容が違えば、総資本の規模が同じでも売り上げは大きく違います。

また同じ業界で同じような資産構成の会社でも、物販が中心の会社とサービス提供が中心の会社では、売上を生み出す効率が違います。その結果、総資本の規模が同じでも売上高に差が生まれて、総資本回転率にも差が出ます。

売上高は変わらないのに総資本回転率が高い(or 低い)場合

売上高がほとんど同じなのに総資本回転率に差がある場合は、

  • 在庫の回転効率に差がある
  • 固定資産の運用効率に差がある
  • ブランド価値などの付加価値に差がある

などのことが考えられます。

総資本の差で総資本回転率の差が生まれる場合

もし自社よりも規模の小さい同業他社が、自社と同じくらいの売上高を生み出しているのであれば、その競合は在庫管理や資産の活用、ブランド力などにおいて一枚も二枚も上手なのかもしれません。

例えばより少ない量の在庫(棚卸資産)で同じ売上を上げているのなら、在庫をどんどん効率よくさばいているということになります。また店舗や設備が少ないのに売上が多ければ、店舗や設備をより効率的に使っていることになります。

また販売数が同じなのにより多くの売上を生み出せるのであれば、競合の方が販売あたりの単価が高いのかもしれません。

このように同じ売上高の同業他社で総資本の規模に差があれば、その原因が何なのかより詳細に分析する必要があります。

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