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営業利益率とは?計算式と目安となる産業別平均値

売上高営業利益率

営業利益率は、

  • 営業利益 ÷ 売上高 × 100

で計算することができ(単位は%)、

  • 数値が大きいほど本業の収益性が高い

と言えます。

営業利益」は「損益計算書(P/L)」の勘定科目で、「売上高」から「売上原価」と「販売費及び一般管理費(販管費)」を差し引いた数字です。

売上高営業利益率の計算

営業利益率は、正確には「売上高営業利益率」であり、「総資産営業利益率(ROA、Return On Assets)」と区別されます。

英語では営業利益を「Operating Margin(オペレーティング・マージン)」「Operating Profit(オペレーティング・プロフィット)」「Operating Income(オペレーティング・インカム)」などと呼び、売上高営業利益率のことを「Operating Margin Ratio(オペレーティング・マージン・レシオ)」と呼びます。

代表的な産業の平均的な営業利益率(売上高営業利益率)は、下記のとおりです。(2018年中小企業実態基本調査の数値より筆者が計算。全11産業の完全版は後述。)

産業中分類営業利益率
建設業3.82 %
製造業4.02 %
卸売業1.77 %
小売業1.44 %
宿泊業・飲食サービス業2.11 %

ここでは営業利益率(売上高営業利益率)の計算式や目安などを、わかりやすく解説します。

営業利益率の計算式

営業利益率(売上高営業利益率)の計算式は、

  • 営業利益 ÷ 売上高 × 100

で、本業(メインの事業)の収益性の高さを測る財務分析指標です。

下図では、損益計算書の黄色い部分が「営業利益」で青色の部分が「売上高」になります。

営業利益率の計算

営業利益そのものは、「売上高」から「売上原価」と「販売費及び一般管理費(販管費)」を引いたものなので、

  • (売上高 ー 売上原価 ー 販売費及び一般管理費)÷ 売上高 × 100

という計算でも結果は同じです。

つまり営業利益率は、営業利益そのものがわからなくても、

  • 売上高:その会社が本業とする事業から得た収益
  • 売上原価:本業で売上を得るために直接かかった費用
  • 販管費:本業で売上を得るために間接的にかかった費用

の3つがわかれば計算することができます。

「販売費及び一般管理費(販管費)」についての詳しい説明は、こちらの記事もご覧ください。

また営業利益率(売上高営業利益率)と同様の、

  • 収益性の財務分析指標

として「粗利率」や「経常利益率」などがあります。

営業利益率の目安となる産業別平均値

中小企業庁「中小企業実態基本調査」の数値で計算した、目安となる産業別の営業利益率の平均値は以下の通りです。

産業中分類営業利益率
建設業3.82 %
製造業4.02 %
情報通信業5.08 %
運輸業・郵便業2.42 %
卸売業1.77 %
小売業1.44 %
不動産業・物品賃貸業8.22 %
学術研究・専門技術サービス業6.69 %
宿泊業・飲食サービス業2.11 %
生活関連サービス・娯楽業1.82 %
サービス業(上記以外)3.80 %
参考 中小企業実態基本調査 平成30年確報e-Stat 政府統計の総合窓口

営業利益率は、

  • 卸小売 1.5% < 宿泊飲食 2% < 建設製造 4% < サービス 4〜8%

といったイメージでしょうか。

一方で、売上高から売上原価を引いた粗利率(売上高総利益率)では、

  • 卸 15% < 建設製造 20% < 小売 30% < サービス 45% < 宿泊飲食 60%

という順番で、宿泊飲食業の利益率の落差に驚きます。

宿泊飲食業は売上原価は低いものの販管費が高いため、本業の収益性はあまり高くありません。一方で多くのサービス業は売上原価も販管費も低く、本業で儲けを出しやすい産業だと言えます。

粗利率(売上高総利益率)について詳しい情報は、こちらの記事もご覧ください。

営業利益率の財務分析

営業利益率には、

  • 売上原価:本業で売上を得るために直接かかった費用
  • 販管費:本業で売上を得るために間接的にかかった費用

本業での価値提供に必要な2つの費用が大きく影響しますが、

  • 「売上原価」と「販管費」のどちらに課題があるのか?

を把握するために、先に粗利率(売上高総利益率)の分析を行う必要があります。

そして粗利率を見て「売上原価」の状況を把握できれば、「販売費及び一般管理費(販管費)」の状況も分析しやすくなります。

ここでは説明をシンプルにするため、売上高と売上原価には問題がなく一定であると仮定します。

売上高と売上原価が同じであれば、

  • 販売費及び一般管理費(販管費)が少ないほど営業利益率は高くなる

と言えます。

営業利益率

販売費及び一般管理費(販管費)の代表的な科目は、

  • 人件費
  • 旅費交通費
  • 広告宣伝費
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • 支払家賃
  • 減価償却費

などです。

そしてほとんどの会社では「人件費」が販管費の多くを占めています。

販売費及び一般管理費(販管費)に対する人件費の割合は以下のとおりです。(先ほどの中小企業庁「中小企業実態基本調査」の数値で計算。人件費率ではありません。)

産業中分類販管費の人件費割合
建設業50 %
製造業45 %
情報通信業50 %
運輸業・郵便業44 %
卸売業49 %
小売業46 %
不動産業・物品賃貸業36 %
学術研究・専門技術サービス業54 %
宿泊業・飲食サービス業46 %
生活関連サービス・娯楽業40 %
サービス業(上記以外)54 %
参考 中小企業実態基本調査 平成30年確報e-Stat 政府統計の総合窓口

このようにほとんどの産業で、販売費及び一般管理費(販管費)の半分を人件費が占めています。

つまり、

  • 営業利益率は人件費の影響を強く受ける

ということになります。

気になる競合他社や、産業別分類よりも詳細な情報も参考にしたい場合には、こちらの記事をご覧ください。

営業利益率の改善事例:日産自動車(2000年度)

1990年代に業績不振にあえいでいた日産自動車を、カルロス・ゴーン氏が業績をV字回復させました。

その当時、ニュースを賑わせたのが1999年の「大規模なリストラ」です。

この大規模なリストラは「日産リバイバルプラン」の1つの施策として実施されたものです。

その結果として営業利益率は1年で、

  • 1.4% → 4.8%

まで跳ね上がりました。

以下は、2000年の日産自動車の有価証券報告書の内容です。

日産リバイバルプラン

日産自動車株式会社 2000年度 有価証券報告書 連結財務情報 p11-12 より

参考 有価証券報告書 2000年度日産自動車株式会社

日産リバイバルプランで「販売費及び一般管理費(販管費)」に関係する項目は、

  • 国内ディーラー網の合理化
  • 従業員数の削減

の2つです。

そして、この日産リバイバルプランによる大規模なリストラで、約14万人の従業員のうち約2万人をリストラしています。

その2万人の内訳は以下のとおりです。

日産自動車株式会社 1999年度 決算資料 日産リバイバル・プラン発表 p43 より

ここで注目いただきたいのが製造に関わらない人員、つまり「販売費及び一般管理費(販管費)」の人件費に含まれる人員の削減数です。

上記の21,000人のうち販管費に含まれているのが、

  • 日本国内ディーラー:6,500人
  • 一般管理:6,000人

の、合計 12,500人の人件費です。

自動車の製造を本業とする日産自動車は、競争力を維持するために製造に関わる人員削減は最小限にとどめ、間接的に売上を生み出す管理職や販売員をメインにリストラしました。

その影響は損益計算書の数字にも現れています。

日産自動車株式会社 2000年度 有価証券報告書 連結財務情報 p29 より

ディーラーの人件費を含む「販売諸費」の 667億円の削減、そして一般管理職のリストラを含む「給料手当」の削減で 479億円の、合計 1146億円が大規模なリストラの影響を受けた削減額と考えられます。

販売費及び一般管理費(販管費)全体の削減額が 1608億円なので、販管費で圧縮したコストの大部分が人件費の削減の影響よるものと言えるでしょう。

この結果、1999年に 1.4%だった営業利益率は、2000年に 4.8%にまで回復しました。

このように人件費の削減は、営業利益率の数値に大きな影響を与えることがわかります。

営業利益率の人件費以外の販管費の分析

ここまで営業利益率に対する人件費の影響を説明しました。

しかし販売費及び一般管理費(販管費)の科目は他にもいろいろあるので、人件費以外の部分についても分析する必要があります。

ここでは一例として、

  • 広告宣伝費
  • 減価償却費

の影響を考えてみましょう。

広告宣伝費の影響

広告宣伝費による営業利益への影響は、

  • 相互比較:競合他社の水準と比べてどうなのか
  • 継続性:常に多いのか一時的に多いのか
  • 経済性:広告宣伝費の費用対効果を把握できているか

といったことが分析のポイントになります。

まず広告費を多くかける業界とそうでない業界というものが存在します。

例えば日用品など、

  • 機能での差別化がしにくい
  • 店頭の価格競争が激しい
  • 広告の影響力が大きい

といった業界では商品の売上を維持するために、

  • 広告を打ち続ける
  • 販促費用をかけ続ける

ことを継続的に行います。

そういった業界では、多くの企業で広告宣伝費の金額が大きくなります。

またそうでない業界でも、新しい市場に初めて参入したばかりの時や、ブランドの認知度を高めたいときなどには広告宣伝費が膨らむ場合があります。

しかしいずれにしても、

  • かけた広告宣伝費を将来的に回収できる

という見込みがあっての経営判断になるはずです。

もし営業利益率の分析で広告宣伝費に疑問を感じた場合は、先ほどの「相互比較」「継続性(恒常的・一時的)」「経済性(費用対効果)」の3つの点で考えてみてください。

減価償却費の影響

販売費及び一般管理費(販管費)の減価償却費は、

  • 自社ビルや店舗などの建物の費用
  • 社用車や配送トラックなど車両の費用

が含まれています。

減価償却費は業態やビジネスモデルの影響も大きく受けます。

例えば同じ産業や業種でも、

  • 全ての店舗を直営店として自社所有している → 減価償却費が大きい
  • ほとんどの店舗をフランチャイズで展開している → 減価償却費が小さい

ということや、

  • 製品の配送は自社で流通システムを構築している → 減価償却費が大きい
  • 製品の配送は外部の物流業者と提携している → 減価償却費が小さい

といった違いが生まれます。

これは自社で固定資産をどれくらい所有しているかによって違います。

他にも、事務所が自社ビルなのか賃貸なのかでも、減価償却費に差が生まれます。

しかしいずれにしても、

  • 固定資産の所有の意思決定が経営に良い影響を与えているかどうか

が重要な判断基準になります。

もし自社で店舗を所有することが価値の向上や差別化につながっていれば、そこで生まれる減価償却費には意味があります。逆に店舗を所有していても利点を活かしきれていなければ、減価償却費が営業利益の足かせにしかならない可能性もあります。

営業利益率まとめ

以下は、ここまで説明した内容を簡単にまとめたものです。

営業利益率の計算式は?

営業利益率(売上高営業利益率)の計算式は、

  • 営業利益 ÷ 売上高 × 100

で、単位は「%」です。

営業利益率の数値が高いほど、

  • 本業の収益性が高い

ことになります。

営業利益率の目安となる平均値は?

代表的な産業の営業利益率は以下のとおりです。

  • 建設業:3.82 %
  • 製造業:4.02 %
  • 卸売業:1.77 %
  • 小売業:1.44 %
  • 宿泊業・飲食サービス業:2.11 %

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