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負債比率と有利子負債比率:計算式と目安となる産業別平均値

負債比率と有利子負債比率

負債比率の計算式は、

  • 負債 ÷ 純資産 × 100

であり(単位は「%」)、

  • 他人から調達したお金が自分たちで稼いだお金の何倍あるか

を知ることで、調達資金のバランスを分析するための財務分析指標です。

負債比率の計算式

英語では「Debt-to-Equity Ratio(デット・トゥ・イクイティ・レシオ)」や「D/E Ratio(ディー・イー・レシオ)」と呼ばれます。

そして有利子負債比率の計算式は、

  • 有利子負債 ÷ 自己資本

であり(単位は「倍」)、

  • 利子の支払いが必要な他人のお金が自分たちのお金の何倍あるか

を知るための財務分析指標です。

有利子負債比率の計算式

負債比率は貸借対照表の「負債の部」と「純資産の部」という大まかなくくりで分析するのに対して、有利子負債比率は「支払利息」の発生源と自己資本を比較するという、より詳細な分析方法になります。

代表的な産業の平均的な負債比率と有利子負債比率は以下のとおりです。(2018年中小企業実態基本調査の数値より筆者が計算。「有利子負債 = 短期借入金 + 長期借入金」「自己資本 = 株主資本」で算出。全11産業の完全版は後述。)

産業中分類負債比率有利子比
建設業145 %65 %
製造業119 %71 %
卸売業163 %76 %
小売業177 %114 %
宿泊業・飲食サービス業380 %302 %

ここでは自己資本比率と財務レバレッジについて、わかりやすく説明します。

負債比率の計算式

負債比率(ふさいひりつ)は、貸借対照表の「負債の部」を「純資産の部」で割ることで求めることができます。

それぞれ、

  • 他人からどれくらいのお金を集めたか? → 負債の部
  • 自分達のお金はどれくらいあるのか? → 純資産の部

ということを表していて、

  • 他人から調達したお金が自分たちで稼いだお金の何倍あるか

を知るための財務分析指標が負債比率です。

負債比率の計算式

負債比率は、視覚的にも直感で理解しやすく、

  • 負債が純資産より多ければ「高い」
  • 負債が純資産より少なければ「低い」

という計算結果になります。

負債比率の変化

上の図を見ながら数値をより具体的に計算すると、

  • 負債比率 50%:負債が純資産の半分しかない
  • 負債比率 100%:負債と純資産が同じだけある
  • 負債比率 150%:負債が純資産の倍ある

といった具合です。

そのため、負債比率の数値をパッと見て、

  • 「この会社は外部から調達したお金(負債)が多いんだな。」
  • 「この会社はあまり借入を行っていないんだな。」

ということが直感的にわかれば、指標としては十分です。

この負債比率については、単純に「高ければ良い」とか「低ければ良い」などということはありません。事業の特性や成長ステージに合わせて、バランスよく資金を調達できていれば問題ありません。

これは自己資本比率財務レバレッジについても同様です。

ちなみに自己資本比率を「自己資本で負債を返済できるかどうかの指標」と説明されている場合もありますが、これは説明としてはあまり正しくないかもしれません。

なぜなら「負債の部」や「純資産の部」は、

  • どこからお金を調達したのか?

しか表していないので、

  • 返すお金があるかどうか?

については「資産の部」の「現金預金」を見なければ分かりません。

貸借対照表(バランスシート)

貸借対照表についての詳しい内容は、こちらの記事もご覧ください。

有利子負債比率の計算式

有利子負債比率は、「有利子負債」を「自己資本」で割った数値になります。

貸借対照表の負債の部にある「有利子負債(ゆうりしふさい)」は、

  • 短期借入金:1年以内に返済が必要な借金の金額
  • 長期借入金:返済が1年以上先になる借金の金額
  • 社債:「債権」を発行して不特定多数から借りたお金の金額

といった、利子の支払いが必要な他人のお金を合計した金額のことです。そのため「買掛金」などは利子が発生しないため、有利子負債に含めません。

そして貸借対照表の純資産の部で計算する「自己資本(じこしほん)」は、

  • 株主資本:資本金などの株主が提供した資金と累積した過去の儲け
  • 評価・換算差額等:資産や負債などの評価損益を調整するための項目

という「純資産の部」の2つの科目を合算した数字のことで、こちらは利子の支払いは発生しません。

これらの数値を対比した財務分析指標が「有利子負債比率」です。

有利子負債比率の計算式

有利子負債比率は、

  • 利子が発生する資金源(有利子負債)
  • 利子が発生しない資金源(自己資本)

の2つで計算するので、負債比率よりも「資金調達に必要なコストのバランス」といった側面での分析になります。

なお自己資本には利子が発生しませんが、

  • 株主に対する配当
  • 株主の株価上昇への期待

といった利子以外の資金調達コストが発生します。そして株主の期待に応えられなければ、経営陣は責任を問われます。

ちなみに有利子負債比率の説明として、

  • 「負債の返済余力の目安になる」
  • 「負債の支払い能力の指標になる」

といったことが書かれていることがあります。

しかし、上記を測る数値としては、

  • 流動比率
  • 営業利益率

という財務分析指標の方が適しているように思えます。

まず流動比率は、

  • 1年以内の支払いに対応できる能力を表す財務分析指標

のことで、

  • 流動資産:お金や1年以内に換金できるお金以外の資産
  • 流動負債:1年以内に返す必要がある他人のお金

を使って計算します。

流動比率の計算式

こちらの数値を見れば、1年以内に返済する必要がある負債に対する返済余力を知ることができます。

そして営業利益率については、

  • 支払利息が差し引かれる前の「営業利益」が売上に占める割合

の計算を行います。(支払利息は「営業外費用」に分類されます。)

売上高営業利益率の計算

そのため営業利益率から、

  • 支払利息を支払うための余裕がどれくらいあるのか

を知ることができます。

負債比率と有利子負債比率の目安となる産業別平均値

中小企業庁「中小企業実態基本調査」の数値で計算した、産業別の負債比率と有利子負債比率の平均値は以下の通りです。

なお、統計データの都合上「有利子負債 = 短期借入金 + 長期借入金」「自己資本 = 株主資本」として計算しています。

産業中分類負債比率有利子比
建設業145 %65 %
製造業119 %71 %
情報通信業81 %34 %
運輸業・郵便業183 %116 %
卸売業163 %76 %
小売業177 %114 %
不動産業・物品賃貸業173 %148 %
学術研究・専門技術サービス業67 %35 %
宿泊業・飲食サービス業380 %302 %
生活関連サービス・娯楽業177 %99 %
サービス業(上記以外)137 %78 %
参考 中小企業実態基本調査 平成30年確報e-Stat 政府統計の総合窓口

負債比率については、多くの業界の平均値が100〜200%を示しています。これは、純資産の額と同じか倍程度の負債を持っていることが平均的ということになります。

しかし有利子負債比率になると、そのバラツキが大きくなります。

これは「買掛金」などの有利子負債以外の負債に大きな違いがあるということです。

実際に数字を見てみると、負債比率と有利子負債比率の差が大きい「情報通信業」は、買掛金の割合が他の産業に比べて大きくなっています。逆に、差が小さい「不動産業・物品賃貸業」は、買掛金の割合が小さな産業です。

ちなみに「負債比率が100%以下なら安全」といった目安もあるようですが、産業別の平均値で100%を下回っている業界は「情報通信業」と「学術研究・専門技術サービス業」しかありません。

もしその目安が正しいのであれば、上記の2つの業界以外は「安全ではない」ということになってしまいます。しかしそんな単純な話ではないはずです。

負債比率や有利子負債比率の分析

負債比率や有利子負債比率の「安全性」を考えるには、

  • 事業の成長ステージに合った負債比率なのかどうか?

といった点が重要になります。

このことをイメージしやすいフレームワークとして「PPM分析」というものがあります。

PPM分析では事業を、

  • 花形:利益を生み出すが事業を維持するために資金が必要
  • 金のなる木:あまり資金を消費せず大きな利益を生み出す
  • 負け犬:利益を生み出していないし市場も成長していない
  • 問題児:利益を生み出していないが成長している市場にいる

の4つのタイプに分類して、

  • 調達した資金をどう配分するか?

を考えることが目的です。

PPMの資金の流れ

例えば、

  • 問題児:利益を生み出していないが成長している市場にいる

という事業しかない企業は、

  • 銀行などから借入をする
  • 投資家に資金を入れてもらう

などで、先に資金を投入しなければ「花形」事業に成長する可能性が低くなってしまいます。

こういった場合に、運良く投資家が見つかれば負債比率が低いままですが、借入で資金調達をしたなら負債比率は高くなります。そのため、負債比率が平均より高くなっても不思議ではありません。

一方で、

  • 金のなる木:あまり資金を消費せず大きな利益を生み出す

にある事業は、

  • 投資資金を回収し終わってあとは儲けるだけ

といったステージにあるはずです。

そうであれば、事業を成長させるために借り入れた資金の返済は終わっている可能性が高く、負債比率も以前の状態よりはずっと下がっているはずです。(ただし、別の新規事業の借入のために、負債比率がほとんど変わらないこともあります。)

このように、その企業がどのようなステージで、どのような財務的な課題に直面しているかによって、負債比率や有利子負債比率は大きく違います。

そのため「負債比率が〇〇%なら安全」といった目安に頼らず、

  • この会社の負債比率が産業別平均値より高い(or 低い)のはなぜだろう?

と疑問を持つことが重要です。

負債比率&有利子負債比率まとめ

以下は、ここまで説明した内容を簡単にまとめたものです。

負債比率の計算式は?

負債比率の計算式は、

  • 負債 ÷ 純資産 × 100

であり、単位は「%」で表されます。

負債比率の目安となる平均値は?

代表的な産業の負債比率は以下のとおりです。

  • 建設業:145 %
  • 製造業:119 %
  • 卸売業:163 %
  • 小売業:177 %
  • 宿泊業・飲食サービス業 :380 %

有利子負債比率の計算式は?

負債比率の計算式は、

  • 有利子負債 ÷ 自己資本 × 100

であり、単位は「%」で表されます。

  • 有利子負債 = 短期借入金 + 長期借入金 + 社債
  • 自己資本 = 株主資本 + 評価換算差額等

を事前に計算しておく必要があります。

有利子負債比率の目安となる平均値は?

代表的な産業の有利子負債比率は以下のとおりです。

  • 建設業:65 %
  • 製造業:71 %
  • 卸売業:76 %
  • 小売業:114 %
  • 宿泊業・飲食サービス業:302 %

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