アマゾンの善の循環(ヴァーチュアス・サイクル)超入門
ということで、ここからは「善の循環(ヴァーチュアス・サイクル)」を丁寧に分解して、わかりやすく解説していきたいと思います。
ちなみに、下記のアマゾン独自の解説動画もあるのですが、英語なのでちょっと難しいかも…。
すべては顧客体験に始まり、顧客体験に終わる
まず最初は「顧客体験(Customer Experience)」です。
アマゾンで買い物をしたことがある方は実感されていると思いますが、とにかく「買い物がしやすい」ことが特徴です。
その要因としては、
- 品揃えが豊富
- 目的の商品が探しやすい
- 商品ページが見やすい
- ほとんどの商品が高くない
- 2回目以降の購入手続きが楽
- すぐ届く
- 返品対応も比較的スムーズ
…などなど、挙げるとキリがありませんが、他のネットショップと比較すると優れている点が数多くあります。
このような、顧客がアマゾンを利用して感じることを全部ひっくるめて「顧客体験」という言葉で表現しています。
下の図では、右側にありますよね。
この「顧客体験」が良くなれば良くなるほど「訪問者(Traffic:トラフィック)」も増える、という結果が生まれるので、矢印は顧客体験から訪問者に矢印が伸びています。
初めてアマゾンを訪れた人も、「欲しい商品の値段がすぐにわかった」とか「他のネットショップで品切れになっていた商品の在庫があった」とか、良い体験ができれば、その時には買わなくても戻ってきてくれるかもしれません。
商品を買ってくれたお客さんも、「注文したらすぐに届いた」とか「おすすめ商品が気になった」といった体験があれば、次に何か買う時にもリピートしてくれる可能性があります。
このように、「顧客体験」が良くなることで「訪問者」が増えるという流れが生まれます。
人が集まる場所に出品者も集まる
次に、訪問者が増えると…、当然売上が伸びます。
ほとんどの経営者は、これで満足するでしょう。しかし、ジェフ・ベゾス氏の戦略のすごいところは、増えた「訪問者」を「出品者(Sellers:セラー)」に開放するというところ。
下の図では、「訪問者」から「出品者」に伸びる矢印がそれです。
もしあなたのネットショップに、お客さんがどんどん来てくれるようになったら、次の一手はどうしますか?
一般的には、儲かったお金で広告を打つとか、人をさらに雇うとか、業務の効率化に投資するとか、そういったことで更なる拡大を目指すと思います。
しかしベゾス氏は「アマゾンを他の出品者にも開放する」という戦略を選びました。
当時は「利益を独り占めすればいいのに、ライバルにも客を与えるなんてバカな経営者だ」なんて言われたそうです。
ベゾス氏は、なぜこんな選択をしたのか?