敵に塩を送って品揃えを得る
なぜAmazonは、集めた訪問者をライバルに解放したのか?
その答えは「品揃え(Selection:セレクション)」を充実させるためです。
品揃えを増やすためには、大きな在庫を抱えることが必要です。大きな倉庫を持てば、在庫は膨れ上がり、売れない在庫は損失になります。大きな在庫を持つことはリスクです。
このリスクを負わずに品揃えを充実させるためにはどうすればいいか?
そう! ライバルの在庫を売れば良いのです。
実際、Amazonは2000年に、アメリカの玩具小売最大手の「トイザらス(Toys “R” Us)」と10年間の独占的な販売契約を結び、その品揃えに「おもちゃ」と「赤ちゃん用品」を加えることができました。
Amazonはその後も、さまざまな企業と販売契約を結び、品揃えを充実させていきました。
「出品者」が増えれば増えるほど、在庫リスクを抑えながら「品揃え」を増やすことを実現させました。
品揃えの充実は顧客体験の向上につながる
そして、この一連の戦略は1つにつながります。
つまり「品揃え」が増えれば増えるほど「顧客体験」が改善される、ということ。
もちろん、品揃えだけが顧客体験ではありませんが、ベゾス氏は顧客体験を向上させる最優先事項として「品揃えの充実」を選んだということです。
ネットショップを運営していたら、改善したいことなんて山のように出てきます。しかし経営資源は限られます。
だからこそ、やるべきことに優先順位をつけ、一番大切なことを優先して実行するのが経営者であり、経営戦略なのです。