アマゾンのビジネスモデル図解:善の循環(ヴァーチュアス・サイクル)とは?

コスト優位性で実現する低価格

ベゾス氏が儲けよりも優先したのは「低価格(Lower Prices)」の実現でした。

しかも一時的な安売りなどではなく、低コスト構造によって生み出される「無理のない安売り」です。

低コスト構造が進めば低価格を実現できる

上記の図のように、事業が低コスト構造になればなるほど、無理のない低価格を実現しやすくなります。

これは多くの小売業者が行う、

  • 一時的な客寄せのための利益度外視の安売り
  • 在庫処分をするための安売り

などとは性質の異なるものです。

多くの人が持っている「アマゾンは一番安いわけでもないが、高くもない」というイメージは、この低コスト構造によるものなのです。

そのため「ちゃんと利益を確保しながらも、継続的に低価格で販売する」ということが可能になります。

これはアメリカの小売最大手の「ウォルマート」にも共通する考えですよね。ウォルマートでは「EDLP戦略(EveryDay Low Price)」といって、年間を通じて毎日低価格で商品を売る戦略を取っていますが、これも事業の低コスト構造によって実現しているものです。

低価格によってもたらされる顧客体験

そしてこの「低価格」がまわりまわって「顧客体験」の向上につながります。

価格が下がると顧客体験が向上する

繰り返しになりますが、良い顧客体験とは価格が安いだけではありません。冒頭で挙げたように、さまざまな取り組みによって顧客体験が改善されています。

しかし、書籍をはじめとするほとんどの商品は、他のネットショップでも購入できます。

だからこそ「価格」も他のサービス同様に顧客によって比較され、顧客体験のひとつとなるのです。

この、

  • 「いつも一番安いわけじゃないけど、だいたい安い」

というのは、実は非常に強力な優位性であり、事業規模によってのみ実現されるため、ライバルが簡単に真似することはできません。

かく言う筆者も、価格比較が面倒なものについては「とりあえずアマゾン」という感じで買ってしまいます。

…筆者はアマゾンヘビーユーザーなので、年間支払額を想像すると恐ろしいですけどね。

1 2 3 4 5 6