ビジネスの成長を利用した顧客体験の改善
ここまで説明した4つの要素が好循環をもたらす事で、アマゾンの顧客体験は継続的に改善されることになります。
そして、売り上げはどんどん大きくなり、事業が成長します。これを表したのが、下の図です。
皆さんの頭の中にも、Amazonの品揃えが充実することで、どんどん利用者が増えていく様子が浮かぶのではないでしょうか。
しかし、これだけで戦略を終わらせないのがベゾス氏。
このビジネスの「成長」で生み出される規模の経済を利用して、その経済効果をも顧客体験の向上につなげます。
ここからは、もう一つの戦略の循環を読み解いていきましょう。
アマゾンにコスト優位性をもたらす「成長」
事業の規模が大きくなると、企業にどのようなメリットをもたらすのでしょうか?
前述の「規模の経済」を具体的に挙げると、
- 商品1つあたりの広告宣伝費が安くなる
- 商品1つあたりの仕入れ値が安くなる
- 商品1つあたりの在庫管理コストが安くなる
- 商品1つあたりの配送コストが安くなる
…などなど、商品1つあたりにかかる様々な費用が安くなっていきます。
つまり事業そのものが「低コスト構造(Lower Cost Structure)」になっていくのです。
その結果、同じ値段で商品を売ったとしても、よりたくさんの利益が得られるようになります。
しかしベゾス氏は、この利益さえも戦略を強化するために使ってしまうのです。