ネットワーク効果(外部性)とは?具体例で直接的・間接的をわかりやすく図解

メトカーフの法則とは:ネットワーク効果の計算式

メトカーフの法則(Metcalfe’s law)とは、1983年にロバート・メトカーフ氏 によってアメリカの3Com社の営業部隊に対するプレゼンテーションの際に考案されたと言われています。

メトカーフの法則は、

  • 電気通信ネットワークの価値は「接続可能な総数」または「n^2」に比例する

とされています。

ざっくりと「ネットワーク効果の価値は、ユーザー数の二乗に比例する」と覚えておけば問題ありません。

接続可能な総数の計算

接続可能な総数については、

  • ネットワーク上の一意の接続数 = (n(n-1))/2

という公式で表されます。「n」は「ノード」の数で、接続する端末の数です。

ここでは「ネットワーク上の一意の接続数」が、ネットワーク接続の価値や効用として考えます。

記事の前半で挙げた、直接的ネットワーク効果の電話網の例をもう一度計算してみましょう。

ネットワーク効果と電話網

電話が4台、つまりノードが4つある場合は、n = 4です。

  • (4×(4-1))÷2 = 6

という計算になるので、接続数は6です。

そして電話が8台、つまりノードが8つある場合は、n = 8で、

  • (8×(8-1))÷2 = 28

という計算になるので、接続数は28です。

ノードが増える以上に、接続数が大幅に増加することがわかりますね。

バンドワゴン効果とスノッブ効果

ネットワーク効果で覚えておきたい特殊な効果に、

  • バンドワゴン効果(bandwagon effect)
  • スノッブ効果(snob effect)

というものがあります。

バンドワゴン効果

バンドワゴン効果は、アメリカの経済学者であるハーヴェイ・ラベンシュタイン教授 の1950年の論文「Bandwagon, Snob and Veblen Effects in the Theory of Consumers’ Demand (消費者需要理論におけるバンドワゴン効果、スノッブ効果、及びヴェブレン効果)」に登場した経済学の用語で、

  • 財を消費する人が多いほど、その財を消費することへの意欲が高まる効果

のことで、言い換えれば、

  • 人気が出れば出るほど、自分も欲しくなってしまう状態

のことです。

ここで注意したいのは、ネットワーク効果においてバンドワゴン効果が現れる場合と、そうでない場合があるということです。

例えば、

  • 魅力的な店舗が多いショッピングモールを頻繁に利用する

というのはネットワーク効果で、

  • 最近周りで話題になっているショッピングモールに自分も行ってみたい

というのがネットワーク効果による利用者の増加で引き起こされたバンドワゴン効果です。

前者のようにネットワーク効果が働いて来場者数が増えていたとしても、後者のように必ずしも話題になるわけではありません。

このようにバンドワゴン効果が働かないネットワーク効果も存在するので、注意が必要です。

スノッブ効果

スノッブ効果は、

  • 財を消費する人が少ないほど、その財を消費することへの効用が高まる効果

のことで、

  • レアな商品ほど、欲しくなってしまう状態

のことです。

「世界に1つしかない」とか「数量限定」とか「オーダーメイド」とか、数が少ないほど価値や効用が高まるのがスノッブ効果です。

負のネットワーク効果(外部性)

負のネットワーク効果(negative network externalities)とは、ネットワーク効果によって加速度的に増加するデメリットのことです。

例えば、インターネット上のサービスでは、ネットワーク効果が働いて利用者が急増したことで、サーバーへの負担が急速に増加して、サーバーダウンなどを引き起こす可能性が高まります。

また、人気のショッピングモールでは、ネットワーク効果によって来場者が増えすぎると、店舗トラブルや、クレーム、迷子、窃盗などが急速に増加します。

このように、ネットワーク効果が悪い側面にも現れてしまう状態を、負のネットワーク効果と呼びます。

負のネットワーク効果が強く働きすぎると、本来のネットワーク効果によって高まった価値や効用を下げてしまうことがあり、ネットワーク効果のサイクルを急減速させることもあります。

ビジネスをうまく成長させるためには、負のネットワーク効果を事前に見越して、先手を打って対応していくことが重要になります。

ネットワーク効果(外部性)まとめ

ここまでネットワーク効果について解説しました。

まず大きく、

  • 直接的ネットワーク効果
  • 間接的ネットワーク効果

に分けることができるのがポイントです。

また、

  • マルチホーミングコスト
  • クリティカルマス(またはティッピングポイント)
  • バンドワゴン効果
  • 負のネットワーク効果

なども抑えておきたい概念です。

ネットワーク効果は事業の継続的な成長に不可欠なメカニズムです。

みなさんのビジネスのどの部分にネットワーク効果があるのか、あるいはネットワーク効果を組み込むためにはどのようにビジネスモデルを変えれば良いのか、考えてみても面白いかもしれませんね。

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