複数の事業部をまとめたSBU
複数の事業部をまとめるSBUは、グローバルに展開する巨大企業などに見られる分け方です。
例えば、医療関連の事業部をたくさん持っている会社は、それらの事業部をまとめて「ヘルスケア事業」というSBUにまとめたります。
先ほどの電機メーカーの例では、下図のように「家電事業」と「産業機械事業」を一括りにして「エレクトロニクス」というSBUを設定した場合が該当します。
それぞれの事業部がバラバラに活動するよりも、一体となって事業を進めることで相乗効果が得られる場合などに、このような複数の事業部をまとめたSBUを採用します。
複数の製品カテゴリをまとめたSBU
複数の製品カテゴリをまとめるSBUは、たくさんの製品カテゴリを展開する大企業や中小企業で見られる分け方です。
例えば、「ハンバーガー屋」「ラーメン屋」「牛丼屋」を展開する会社が、3つをまとめて「ファストフード」というSBUにまとめる場合などです。
先ほどの電機メーカーの例では、「家電用モーター」「産業用モーター」「車載用モーター」という3つの製品カテゴリをまとめて、「モーター」というSBUを構成しています。
この具体例では、たまたま「モーター事業」という事業部と「モーター」のSBUが一致していますが、事業部=SBUというわけではありません。
例えば、家電事業から製品カテゴリの「洗濯機」と「冷蔵庫」の二つだけを取り出して「白物家電」というSBUを設定した場合も該当します。
対象となる顧客層や必要となる経営資源が一致していて、複数の製品カテゴリを一体として考える方が効率的に戦略を実行できる場合などに採用されます。
複数の製品をまとめたSBU
複数の製品をまとめたSBUは、特定のカテゴリに特化している中小企業などで見られる分け方です。
例えば、一般顧客向けと事業者向けの製品を扱っている場合、それぞれを「一般顧客向け製品」と「事業用製品」の2つのSBUに分ける場合などがそうです。
先ほどの電機メーカーの例では、家庭用と産業用のロボット掃除機をまとめて「ロボット掃除機」というSBUを構成しています。
ある特定の製品の市場が急速に広がっている場合や、特定の製品だけ切り離した方がスムーズに戦略を展開できる場合などに採用されます。
3つのパターンは混在できる
実はこの3つのパターンのSBUは、一つの企業の中で混在していても大丈夫なんです。
アメリカのゼネラル・エレクトリック社(発明家トーマス・エジソンが創業者の会社)は、1970年代にSBU組織を採用しました。
その時には、先ほどの3つのパターンが同時に存在していました。
例えば「航空宇宙」というSBUは、「電気システム事業」「宇宙事業」「航空機設備事業」などの複数の事業で構成されています。
「消費者用製品」というSBUは、「家庭用品」「ランプ」「ホーム・エンターテイメント」などの複数の製品カテゴリで構成されています。
「化学・治金製品」というSBUは、「プラスチック」「シリコン」「切削工具用合金」などの複数の製品で構成されています。
詳しくは、下記の資料も参照ください。
参考
アメリカ巨大企業GE社の組織変革 – 坂本和一(PDF)立命館経済学 第31巻 第2号
このように複数のパターンのSBU(戦略的事業単位)が混在することは問題ないので、下図のようなSBUの分け方になる実際にありえるのです。