模倣の2つの形態
先ほどは「模倣の可能性」では、経営資源そのものの模倣のしやすさについて説明しました。
しかし模倣がしにくくても、競争に必要な経営資源であればライバルは模倣しようとします。
その模倣するという行為については、
- 直接的複製
- 代替による模倣
という2つの形態に分類することができます。
直接的複製
まず誰でも思いつく真似の仕方が「直接的複製」です。これは相手と全く同じものを手に入れようとする模倣になります。
例えば、自社が購入した最新の設備が競争優位であれば、ライバルも全く同じ設備を購入しようとします。また自社の技術開発力が競争優位であれば、ライバルは自社の技術者を高い報酬で引き抜こうとするかもしれません。
このような直接的複製による模倣は、その模倣にかかる費用(コスト)によって持続性に差が出ます。
もしライバルが自社より同じまたは低いコストで、同じものを手に入れることができるなら、自社の競争優位性は一時的なものになります。
逆に同じ競争優位を手に入れるために、ライバルが自社よりも高いコストを支払わなければならないなら、自社の競争優位性は持続的になりやすいと言えます。
代替による模倣
もう一つの真似の仕方が「代替による模倣」です。これは相手の持つ競争優位を、他のもので代用しようという考え方です。
例えば、自社が独自開発した設備が競争優位であれば、ライバルは既存の機械設備を組み合わせて、同等の生産能力を手に入れるかもしれません。また自社の技術開発力が競争優位であれば、ライバルは同じ技術を持った他の会社と技術提携するかもしれません。
このような代替による模倣も、直接的複製と同様に模倣にかかるコストによって持続性に差が出ます。
もしライバルが低いコストで代わりになるものが見つけられれば、自社の競争優位性は一時的になります。逆に代わりのものが見つけられなかったり、大きなコストがかかるようであれば、競争優位を持続させやすくなります。