3C分析とSWOT分析の一番大きな違いは、
- 3C分析:顧客を中心とした視点
- SWOT分析:自社を中心とした視点
であるということです。
3C分析は下図のような「顧客」「自社」「競争相手」の3つの要素について、「顧客を中心」に分析を行うフレームワークです。
一方で、SWOT分析は下図のように「自社を中心」とする視点で内部要因と外部要因を、「強み」「弱み」「機会」「脅威」という要素で分析します。
ここからは3C分析とSWOT分析の違いについて、「目的」と「視点」を中心としてわかりやすく解説したいと思います。
3C分析とSWOT分析の違い
3C分析とSWOT分析の違いをまとめると、
3C分析 | SWOT分析 |
顧客を中心に分析する | 自社を中心に分析する |
価値を明確化するのが目的 | 状況を把握するのが目的 |
などが挙げられます。
まずは3C分析とSWOT分析のフレームワークを、図で比較するとわかりやすいかもしれません。
まずマーケティングの3C分析は、
というように、自社と競合他社が顧客を挟み込んで、どのような価値を提供するか考える構図になっています。
そして大前研一氏の戦略的3C分析も同様に、
自社と競争相手が顧客に対して価格とコストで対立する構図です。
どちらの3C分析も、顧客が中心の分析手法になります。
一方でSWOT分析は、
というように、自社の内側の世界(内部要因)と外側の世界(外部要因)で物事を分けた、自社が中心の視点になります。
分析する目的の違い
3C分析とSOWT分析の、それぞれの目的を比較してみましょう。
- マーケティングの3C分析:顧客に提供する価値を明確化する
- 大前研一氏の戦略的3C分析:KSF(重要成功要因)を掘り下げる
- SWOT分析:目標達成のための状況把握をお行う
という目的の違いがあります。
マーケティングの3C分析の目的
マーケティングの3C分析では、現在の市場で自社や競合他社が、どのような価値を顧客に提供できているかを分析します。
もちろんマーケティングなので、マーケティングの4P(製品、価格、流通、プロモーション)の状況を整理する必要がります。
その上で、自社や競合他社が顧客に対してどのような価値を提供しているかを知ることができます。
戦略的3C分析の目的
大前研一氏の戦略的3C分析では、KSF(重要成功要因)と呼ばれる「業界の勝ちパターン」をより一層掘り下げて、戦略を磨き上げるための分析です。
KSFの掘り下げは、顧客、自社、競争相手という順番で行われます。そしてKSFの掘り下げを行なった結果、競争相手よりも低いコストでより高い価値を提供することを目指します。
SWOT分析の目的
SWOT分析では、目標の達成が考え方の中心にあります。SWOTマトリックスを使うことで「目標達成の助けになる/妨げになる」という軸と「内部/外部の要因」という軸で、自社が置かれている状況を整理します。
そうやって分類された要素が「強み」「弱み」「機会」「脅威」の4つになります。整理された情報から、クロスSWOT分析などを行い、新しい戦略の策定をおこないます。
分析する視点の違い
これは冒頭でも説明しましたが、3C分析とSWOT分析の最も大きな違いと言えます。
冒頭での説明をもう少し細かく分解すると、
- マーケティングの3C分析:マーケティングの観点から顧客を中心とした視点
- 大前研一氏の戦略的3C分析:KSFの観点から顧客を中心とした視点
- SWOT分析:目標を達成するための自社を中心とした視点
ということになります。
マーケティングの3C分析の視点
マーケティングの3C分析では、自社も競合他社も「マーケティング」というフィルターを通して、顧客の方向を向いています。
顧客がどのような問題を抱えていて、どのような価値を提供することで解決するのかを考えます。自社と競合他社は比較する対象になりますが、その中心にはいつも顧客が存在しています。
戦略的3C分析の視点
大前研一氏の戦略的3C分析では、KSF(重要成功要因)が価格とコストの差を大きくするための方法を考えます。KSFの深掘りでは、まず最初に取り組むのが「顧客に基礎を置いた戦略」です。
この戦略は、顧客のセグメンテーション(区分け)を中心に行います。その後に続く自社と競争相手の戦略は、顧客のどのセグメンテーションを選ぶかによって大きく変化します。
SWOT分析の視点
SWOT分析では、視点が完全に自社の主観になります。自分たちが立てた目標が達成できるかどうかを考え、周りで起こった出来事は内側と外側に分類します。
3C分析のような「顧客」や「競合他社」は、主に外部要因の「機会」や「脅威」に分類されることになります。
3C分析とSWOT分析の使い分け方
ここまで3C分析とSWOT分析の違いを説明しましたが、どのように使い分ければ良いのでしょうか?
使い分けのポイントとしては、自社が抱えている課題で判断します。
マーケティングの3C分析は、
- 顧客が自社を選んでくれている理由を整理したい
- 顧客が競合他社を選んでいる理由を整理したい
- 競合他社とのマーケティング戦略の違いを知りたい
などの課題を解決することができます。
大前研一氏の戦略的3C分析は、
- 顧客のニーズに今まで以上に対応したい
- 業界の勝ちパターン(KFS)に関連する自社機能を強化したい
- 「価格」「販売量」「コスト」で競争相手に差をつけたい
などの課題を解決することができます。
SWOT分析は、
- 今のままで目標の達成が可能かどうか知りたい
- 強みと機会の両方を最大化したい
- 強みを最大化して脅威を最小化したい
- 弱みを最小化して機会を最大化したい
- 弱みも脅威も両方を最小化したい
などの課題を解決することができます。
このように自分たちの課題が何か考えることで、適切な分析フレームワークを選ぶことができます。
それぞれのフレームワークについては、こちらの記事もご覧ください。