NPV法の具体例と計算のやり方
ここでの具体例は冒頭でご紹介したものと同じで、
- 初期投資額:200万円
- 割引率(r):5%(0.05)
- 1年後から3年間毎年得られる利益:年間100万円
という条件でNPVを求めることにします。
まず最初に「時間軸」を書き出して、その上下にお金の出入を図示しましょう。
今回は現時点から3年後までを考えるので、0〜3年の時間軸の線を引きます。
そしてその線の上に「入ってくるお金」を書き、線の下に「出ていくお金」を書き込みます。
これらを書き込んでみると、このようになります。
0年後(今)の初期投資額は200万円なので、200万円を下向きの棒グラフを書き込みます。そして1〜3年後はプラスなので上向きにの棒グラフで100万円を書き込みます。
しかし、このままでは初期投資額の200万円と、そのあと得られる300万円は単純に比較できません。
なぜなら目の前のお金と、将来もらえるお金は金額が同じでも価値に差があるからです。(理由は「現在価値とは?Excelでの計算方法と割引率をわかりやすく解説」の記事を参照)
この価値の差を埋めるためには、将来の金額を「現在価値」に揃える必要があります。
そして数字を揃えるためには「割引率」が必要になります。
ここでは、
- 割引率(r):5%(0.05)
が与えられているので、これを使って計算します。
また現在価値の計算式は、
- 現在価値 = N年後の金額 ÷ (1 + 割引率)^N
です。
1年後、2年後、3年後について、それぞれの現在価値を計算すると下図のようになります。
ちなみに今回の初期投資額は、すでに現在価値なので特に計算は必要ありません。(ただし、数年後に再投資や追加投資が必要な場合は、現在価値に割り引く必要があります。)
- 1年後の現在価値:100 ÷ (1+0.05)^1 = 95.2380…
- 2年後の現在価値:100 ÷ (1+0.05)^2 = 90.7029…
- 3年後の現在価値:100 ÷ (1+0.05)^3 = 86.3838…
ということで、これでやっと全ての数字が「現在(0年後)」にそろいました。
ここからは、現在の価値に直した数値をすべて合算します。
そうすると、
- CIF(キャッシュ・イン・フロー):272万円
- COF(キャッシュ・アウト・フロー):200万円
となって、
- NPV(正味現在価値):72万円
という数値を導くことができました。
今回はシンプルな例をご紹介しましたが、期間が何年に伸びたとしても、途中で支出が発生したとしてもやり方は全く同じです。
年ごとの収入または支出の数値を出して、それを一つずつ現在価値に割り引けばNPVを求めることができます。