顧客ロイヤリティ構築の5つの投資レベル
顧客ロイヤリティを構築するための売り手側の施策として、
- 基本型マーケティング:顧客に製品を売るだけ
- 受け身型マーケティング:顧客に製品を売って問題があれば連絡するように促す
- 責任型マーケティング:顧客に製品の販売後にフォローの連絡を入れる
- 積極型マーケティング:顧客に連絡をとって新しい提案を行う
- パートナーシップ・マーケティング:顧客に付きっきりで協力する
という5つの段階に分けて考える方法もあります(「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版 」p196-197 参照)
これは、
- 製品やサービスの利益率
- 流通業者の数
に基づいて、
- どれくらいの金額を顧客ロイヤルティの構築に使うべきか
について判断するための目安になります。
例えば、日用品などの利益率が非常に低くて中間の流通業者が多い製品では、顧客に手厚いサービスをしてしまうとコストを回収できなくなってしまいます。そのため「基本的マーケティング」しかできないかもしれません。
逆に、受注生産の特注品など、利益率が高く直接販売できるような製品では、顧客との関係性の構築にコストをかけても、赤字にならずに顧客ロイヤリティを高めることができるかもしれません。そういった場合には「積極的マーケティング」や「パートナーシップ・マーケティング」を選択できます。
このように顧客ロイヤリティをマーケティング施策によって高める場合でも、「利益率」や「流通業者の数」によって実現の可能性が大きく変わります。
Loyalty と Royalty、ロイヤリティとロイヤルティの書き方の違い
「ロイヤリティ」と言っても、英語で書くと2種類あります。
- Loyalty:忠誠、忠義など、何かに対して心が向いていること
- Royalty:王位、王権など、権利や権力を有している状態のこと
の2つです。
顧客ロイヤリティは前者の「Loyalty」の方で、製品・サービス・ブランドなどに対して顧客に忠誠心が生まれている状態です。なのでこの記事のアイキャッチ画像(最初の画像)も王族に忠誠を誓う騎士のイラストにしてます。
そしてもう一つの「Royalty」の方が、王族側の権利や権力を持っている人たちのことを表す言葉です。「Royalty」はビジネス用語としては「特許権使用料」や「印税」という意味で使われます。つまり「著作権」や「特許権」などの「権利を利用することへの対価」としての意味を持っています。
コンビニなどのフランチャイズ組織では、フランチャイズ加盟店(フランチャイジー)がフランチャイズ本部(フランチャイザー)に対して一定の「ロイヤリティ」を支払います。これはフランチャイズ本部が持っている、ブランドロゴの使用権、店舗の運営ノウハウなどの「権利を利用することへの対価」として支払われます。
…と、ここまで英語の「Loyalty」と「Royalty」を区別しましたが、カタカナで書くとしても少し問題があります。
それは、
- ロイヤリティ
- ロイヤルティ
- ロイアリティ
- ロイアルティ
などの言葉のブレです。
ちなみにネット上で一番多く検索されているのが「ロイヤリティ」です。「Loyalty」と「Royalty」のどちらの意味の場合でも「ロイヤリティ」が使われることが多く、カタカナ表記だけを見て意味を区別するのは難しいようです。
そのため「ロイヤリティ」の前に言葉を加えて、
- 顧客ロイヤリティ
- ブランド・ロイヤリティ
などとすることで「忠誠心」の意味で使い、
- ロイヤリティ
と何も付けなければ「使用料・印税」という意味で使えると考えれば良いようです。
ということでここまでをまとめると、
- ロイヤリティは「忠誠心」と「使用料・印税」の2つの意味がある
- カタカナで書く場合はどちらも「ロイヤリティ」としておけば大丈夫
- 「忠誠心」の場合は「ロイヤリティ」の前に言葉を付けるとわかりやすい
ということになります。