マーケティングリサーチ(調査)の方法は、
- 質問法:調査対象に質問することで情報を集める
- 観察法:調査対象の行動や反応を観察することで情報を集める
- 実験法:実験によって特定の因果関係を調べる
- フォーカスグループ:調査対象を数人集めて討論させて情報を引き出す
- 行動データ:調査対象の購買記録や行動に関する情報を集める
の5つに分けることができます。
また「質問法」と「観察法」で扱う情報については、
- 定量データ:アンケートや統計など数値化できる情報
- 定性データ:感情や行動など数値化できない情報
の2つに大きく分けることができます。
それぞれの方法は単独で行うだけでは信憑性が低いため、一般的には複数の方法を実施して裏付けを行って分析します。
ここでは、それぞれの方法について詳しく説明します。
目次
質問法によるマーケティングリサーチ
「質問法」とは、その名の通り調査対象者に質問を投げかけ、その答えを収集することで情報を集めます。質問法は、「質問調査」「サーベイ法」「サーベイ調査」などとも呼ばれます。
質問法のやり方は、
- インタビュー
- 電話
- 郵送
- 留置(とめおき)
- インターネット
などがあり、予算や調査期間などを考慮して選びます。
インタビュー
デプスインタビュー(個別面接)は、調査員が調査の対象者と1対1で質問を投げかけるやり方です。1対1で質問を投げかけるため、深い部分まで掘り下げることができます。
またグループインタビュー(集団面接)は、ある程度深掘りをしながらも、1対多で効率よく質問を投げかけることができます。
メリットとしては、
- 一つの回答に対する情報量が多い
- 調査対象者の反応を見ながら質問の順序を変えられる
- 複雑な質問をすることができる
- 質問内容に視覚的な補助を加えることができる
などがあります。
調査員は、対象者の反応を見ながら、質問の順番を変えたり、質問をさらに掘り下げたりすることができます。また複雑な内容の質問でも、対象者の理解を考えながら別の言葉で補ったりすることができます。さらに言葉だけでは説明が難しい内容に対しては、写真や映像を見せたり、製品の実物を見せたりすることも可能です。
一方でデメリットとしては、
- 調査員によって得られる情報量がバラつく
- 調査対象者の回答内容がバラつく
- 費用が高い
- 地理的に限定されやすい
などがあります。
調査員の熟練度によっては、調査対象者から得られる情報量がバラついてしまいます。質問の最中に、対象者の機嫌を損ねてしまうと、重要な情報が得られなくなるかもしれません。質問の順番を変えたことや、特定の質問を掘り下げたために、別の質問への回答内容が変わってしまうかもしれません。
またグループインタビューでは、他の調査対象者に対しての見栄や、調査対象者自身のプライドなどが邪魔して、実際とは違う内容を答えることもあります。例えば、調査対象者の多くが「使いやすかった」と答えたために、製品を使いにくく感じていた調査対象者も「使いやすかった」と同調してしまうようなケースです。このようなことを避けるためには、場の雰囲気づくりも含めて、慎重に調査の設計を行うことが必要です。
そして最も大きなデメリットは、調査コストが高いということです。質問している間は、調査員も調査対象者も時間的・物理的に拘束されてしまいます。またお互いに落ち着いて会話ができる場所を確保しなければならないため、場所代も発生します。さらに質問が終われば、調査対象者に謝礼を渡すことも必要です。質問が終わったら終わったで、今度は質問内容を音声から文字に書き起こしたり、重複する内容を集約したりと、情報を使える状態に加工するのにも手間がかかってしまいます。
面接は質の高い情報を手に入れることができる方法の一つですが、調査のためのコストがネックになります。
電話
電話での調査は、調査員が調査対象者に電話をかけることで行います。新聞社や報道機関が短期間で情報を集めるためによく使われる方法です。
メリットとしては、
- 全国的に調査ができる
- 情報の回収が早い
- ほどほどの調査コスト
ということです。
ランダムに選ばれた電話番号や、調査対象者のリストに対して比較的シンプルな質問を投げかけるため、その場ですぐに回答を得ることができます。電話では面接のように地理的な制限もないため、全国に散らばる対象者に調査することができます。
調査コストに関しては、調査員と調査対象者のお互いの時間と、電話代程度です。また場所も選ばないため、面接よりも調査コストはかかりません。
しかしデメリットとしては、
- わかりやすい質問しかできない
- 視覚的な補助が使えない
- 調査対象者の様子がわからない
などがあります。
調査員は、調査対象者に電話口で質問をしますが、あまり複雑な内容だと声だけで説明するのが難しいかもしれません。また視覚的な補助が使えないため、イメージを共有することも非常に難しくなります。
電話での調査はスピードが一番の利点になるので、情報の質の高さよりも素早く集めることが求められる場面で役に立つ方法です。
郵送
郵送では、調査員が調査対象者に質問票を送付し、返送してもらうことで情報を得る方法です。
メリットとしては、
- 多くの対象者に質問できる
- 質問内容がバラつかない
- 調査対象者が本心を答えやすい
- 調査コストが低い
などです。
質問票を調査対象者に送って、書かれている質問に回答してもらうので、質問内容そのものにバラツキは生まれません。そして、調査対象者は他人の目を気にせずに回答できるため、本心を答えやすい傾向にあります。これは調査対象者の個人情報が不要であれば、さらに本音で答える確率は高まります。(ただしいい加減に答える調査対象者も一定数存在します。)
また調査コストが低いことも大きなメリットです。郵送する費用と返信用の切手代が必要ですが、他の調査方法に比べると、費用が少なくて済みます。電話よりも一度に多くの調査対象者へ質問することができます。回答の集計に関しても、マークシート形式を機械で読み取るような方法を採用すれば、大量の回答も低コストで処理することができます。
一方でデメリットは、
- リストを入手するコストが必要
- 回答率が低い
- 回収に時間がかかる
ということです。
まず郵送先の住所のリストを手に入れる必要があります。電話のようにランダムな番号に電話をかけることはできないので、対象者が実際に住んでいる住所を手に入れる必要があります。調査対象者が既存顧客や会員であれば、比較的簡単に送付ができますが、何もない状態であれば、個人情報を収集するか、合法的に郵送リストを手に入れるなどの方法をとる必要があります。
また郵送しても調査対象者が全員答えてくれるわけではありません。質問の量が多ければ多いほど、調査対象者の手間がかかるため、回答率が低くなってしまいます。他の郵送物などに紛れてしまい、気づかれないまま捨てられてしまうこともあります。
もし運よく開封して、質問してくれたとしても、今度は返送というハードルが立ちはだかります。答えたまま調査対象者の自宅や事務所で放置されることもありますし、郵便ポストまで持っていくのが面倒で返ってこないこともあります。そのため、郵送したほんの一握りが帰ってくるだけでもラッキーかもしれません。
もう一つの問題は、回収時間です。郵送した質問票を読んでもらうのも、回答してもらうのも、全て調査対象者次第です。すぐに返送してくれる対象者もいれば、1ヶ月後に返送する対象者もいます。目標の回答数を得られるまでに、どれくらいの時間がかかるかはバラツキがあります。
留置(とめおき)
留置では、調査員が調査対象者に質問票を送付し、後日訪問して回答を回収する方法です。国勢調査などは留置法によって情報を集めています。
参考 国勢調査 #調査の手順ウィキペディアメリットやデメリットは、郵送に似ています。
しかし違いとしては、
- 調査員が記入漏れなどをその場でチェックできる
というメリットがあります。
回答を回収する際には、調査員がその場で記入漏れや記入ミスなどが無いかを確認できるため、回答そのものの完全性が確保しやすくなります。
一方で、
- 調査対象者以外が答える場合がある
- 郵送よりも調査コストがかかる
というデメリットもあります。
例えば、顧客の中小企業経営者に対して、調査員の営業担当者が「○月○日にアンケート回収に伺います」と伝えておいても、本来答えてもらいたい経営者ではなく、秘書などが適当に答えるかもしれません。もちろん、これは郵送での調査にも同じことが言えます。しかし調査員が直接訪問して回収するために、「形だけでも適当に答えておこう」という意識が働きやすくなります。郵送であれば、形だけ答えるくらいなら「返送しない」という選択肢もあるからです。
また調査員が一軒一軒訪問するため、調査コストがかかります。そのため「既存顧客」などと、ある程度調査対象を絞って実施する必要があります。
インターネット
インターネットでの調査は、調査対象者にインターネット上で答えてもらう方法です。調査コストも低く、ある程度自由度が高いため、近年では頻繁に活用されている調査方法になります。
インターネットでの調査は、既存の調査方法の多くのデメリットを克服しており、
- 調査コストが低い
- 回収時間が短い
- 目標数を確保しやすい
- 集計の手間がかからない
- 視覚的な補助が使える
- 調査対象者の回答内容で質問を変更できる
- 定点観測がしやすい
などのメリットがあります。
このインターネットでの調査は、自社で行うことも可能ですが、インターネット調査専門のサービスを提供している会社を通じて行うことが一般的です。インターネット調査の専門業者は、利便性の高い独自のシステム持っており、調査対象者を集めるところから代行してくれます。
質問への回答も、有効な回答のみに課金されるため調査コストも読みやすく、定期的に同じ調査対象者(パネル)に回答してもらうことも可能なので定点観測もできます。
デメリットとしては、
- インターネット調査会社によって回答者の質にバラツキがある
ということです。
インターネット調査会社は、その調査会社に登録している一般の会員が、質問に答えるケースがほとんどです。調査会社の会員は、送られてくる質問に答えることでポイントや金銭的な対価が得られます。しかし一部の回答者はポイントのみを目当てに、適当に回答することもあります。
そういった適当に回答する会員の割合が高ければ、得られた回答の信頼性も低くなってしまいます。インターネット調査会社も、回答の信頼性が高まるように様々な対策を行っているものの、完全に排除できるものでもありません。
インターネット調査会社を利用する場合には、システムや評判などを十分に評価した上で、質問内容に合致した調査対象者を抱えている業者を選ぶ必要があります。
観察法によるマーケティングリサーチ
「観察法」とは、調査対象の行動や反応、取り巻く環境などを観察することで情報を集める方法です。
著名な経営者には、顧客と自社との接点である現場に足しげく通う人が多くいます。それは「今」起きていることを、経営者自身の五感で感じ取ることができ、様々な情報から気づきを得られるからです。
観察の対象としては、
- 顧客を観察する
- 自社を観察する
- 競合他社を観察する
の3つに分けることができます。これは3C分析とも繋がる考え方です。
店舗での観察
例えば小売業では、顧客の店内の動線や行動、視線の動きなどに注目します。調査員が顧客に紛れて、観察対象になった顧客に張り付いて、入店から退店までの一連の行動を詳細に記録します。そして記録した何人もの顧客での行動を集約し、分析して議論を行います。
自社や競合他社を観察する場合には、調査員が実際に店舗を訪れたりして、サービス品質や製品をチェックしたりします。この場合は外部の調査会社に依頼することも少なくありません。
自社のサービスを調査する「ミステリー・ショッパー(覆面調査)」と呼ばれる方法は、全国展開するチェーン店の小売店やサービス業などでは定期的に実施され、サービス品質の向上や改善に役立てられています。
また競合他社のサービスなどを調査員が体験し、気づいたことや感じたこと、自社のサービスとの違いなどを観察して情報を集めることも行います。
店舗以外での観察
この観察法が行われるのは、店舗だけではありません。メーカーなどが行う観察法は、製品が実際に使われている場所に行って観察を行います。
有名な例としては、無印良品の商品開発が挙げられます。
参考 くらしの良品研究所無印良品無印良品では、顧客と共に商品を作り上げるという文化があります。その一環として、顧客の自宅を訪問して、無印良品の製品が生活の場でどのように使われているかを観察しています。
生活の現場で調査員は、
- 製品の問題点の発見
- 製品の新しい使い方の発見
- 消費者ニーズの収集
などを行い、既存製品の改良や新製品の開発に情報を活かします。
機械装置を使った観察
観察法では、調査員が直接観察する方法の他に、機械や装置を使って観察する方法もあります。
例えば、アイトラッキングの装置を使えば、調査対象者の目の動きを追うことができます。棚に並んだ商品を探す目の動きや、パッケージや広告で対象者が注目する場所、操作画面で目的のボタンを探す動きなど、目の動きを機械で観察することで情報を収集します。
また顧客の店内の行動も、調査員が一人一人観察するのではなく、画像解析技術を使って大量の調査対象者の行動を処理することもできます。また店内に入った調査対象者の携帯端末の電波をセンサーで取得することで、一度に多数の調査対象者の行動も記録することができます。
実験法によるマーケティングリサーチ
実験法とは、複数のグループで実験を行い、特定の因果関係を発見するために行います。
因果関係とは、
- ある出来事が別の出来事を直接的に引き起こす関係
のことです。

つまり、
- 〇〇をすると売り上げが増える(減る)
- 〇〇をすると来店頻度が上がる(下がる)
- 〇〇をするとブランドイメージが上がる(下がる)
など、実験することによって、
- 〇〇すると××が起こる
という原因と結果の関係を見つけるのが実験法の目的になります。
具体的には、企業はマーケティングリサーチで実験を行うことで、
- 料金の変更が売り上げに影響するのか
- 店舗レイアウトの変更が客足にどう影響するのか
- 会計時にクーポン券を渡すと再来店時の客単価がどう変化するのか
などなど、様々なことを知ることができます。
そのためには、
- 原因を与えたグループ
- 原因を与えていないグループ
の2つのグループを同じ条件で用意して、比較する必要があります。
例えば飲食店や小売店であれば、
- 同じ地方
- 同じ商圏人口
- 同じ1日の来店客数
- 同じ顧客層
- 同じ売り上げ規模
の店舗を数店用意して、
- 通常の店舗レイアウトのグループ
- 新しい店舗レイアウトのグループ
に分けて実験を行います。
そして一定の実験期間を経て、各店舗の数値の比較を行います。
この時に注意しなければならないのは、
- 単純に数値が多いか少ないかで比較してはいけない
ということです。
なぜかというと、
- たまたまそうだった場合
- 誤差の範囲だった場合
があるからです。
このような説得力のない調査結果を避けるために、統計の手法を使います。
ここでは詳しく説明しませんが、統計を使って実験したグループを比較すると、「有意差」があるかどうかがわかります。もし結果に統計的な「有意差」があれば、「たまたま」そうなったという確率が非常に低いと言えます。
このように実験を行うだけではなく、その結果を意味のある情報に加工するまでが実験法になります。
具体的な実例については、「一部店舗」などのキーワードでニュースを検索してみると色々と見つかるはずです。
参考 ニュース検索結果 - 一部店舗Google検索一部の店舗で実験を行い、結果に「有意差」が得られたら因果関係がある可能性が高まります。継続的に実験を行うことで、マーケティングの情報を手に入れ、ビジネスの成長につなげることができます。
フォーカスグループによるマーケティングリサーチ
フォーカスグループとは、年齢・性別・生活環境などの共通する条件を持った調査対象者を数人集めてグループを作り、様々な話題について討論させることで情報を得る調査方法です。
調査対象者のグループは会議室などに集められ、調査会社の担当者が司会を行い、様々な話題を振りながら目的の情報を引き出します。その後、調査対象者には謝礼が支払われることが一般的です。
討論の様子はビデオカメラで撮影され、別室で調査の依頼主や調査員が観察したり、録画された映像から会話を文字に書き起こして情報として使用します。
フォーカスグループの実施は、自社で実施することもありますが、多くの場合は専門の調査会社に依頼することになります。
調査会社にフォーカスグループを依頼するメリットとしては、
- どの会社がマーケティングリサーチをしているかを知られずに済む
- 司会を専門家に依頼することで情報を効率よく聞き出せる
- 調査対象者の募集から謝礼の支払いまで一括して代行してもらえる
などがあります。
特に、どの会社のマーケティングリサーチなのかを、調査対象者や競合他社に知られずに実施できることは大きなメリットです。
例えば、ある自社製品についてフォーカスグループを行うとします。
もし製品を作った会社が調査していることが調査対象者にわかれば、調査員に気を使って良いことしか言わないかもしれません。また逆にクレームばかりを言う人もいるかもしれません。
一方、調査を誰が依頼したのかが分からなければ、調査対象者の発言に偏りが出ることを抑えることができます。
フォーカスグループを行うことの注意点としては、
- あくまで少数の調査対象者の意見であること
- 特定の条件で意図的に集められた調査対象者であること
などです。
フォーカスグループでは、調査対象者同士の対話から情報を引き出すため、ここまでで紹介した「質問法」「観察法」「実験法」などと全く違う情報を手に入れることができます。しかし、その情報はあくまで一部の調査対象者から得られた情報であることを忘れてはいけません。
フォーカスグループを2回行ったら、真逆の意見や情報が引き出されることもあります。
そのため、単発のフォーカスグループだけで結論づけるのではなく、他の調査方法と組み合わせて活用する必要があります。
フォーカスグループの逆の言葉に「アンフォーカスグループ」というものがあります。
アンフォーカスグループは、様々な属性を持つ人を幅広く集めてグループディスカッションを行う方法でです。この方法では、様々な視点から幅広い意見を募ることができます。
異なるターゲット層にアプローチする際の情報蒐集に役立ちます。
行動データによるマーケティングリサーチ
行動データとは、調査対象者の購買記録や購買行動のデータから情報を集める方法です。代表的なものとしては、小売店のレジから蓄積されるPOSデータなどの購買記録があります。
顧客の買い物カゴから商品のバーコードを読み込むことで、
- いつ購入したか
- 何を購入したか
- 何と一緒に購入したか
- 何個購入したか
- いくらで購入したか
- どの店舗で購入したか
などの情報が、POS(ポス、Point of Sales:販売時点)データとして記録されます。
さらに会員カード(ポイントカード)と組み合わせることで、
- 誰が購入したか(性別・年齢・居所など)
なども紐づけて記録することができます。
それらの購買データを集計し分析することで、信頼性の高い情報を手に入れることができます。
購買記録などが信頼性の高い情報である理由は、
- 顧客の実際の行動そのもの
だからです。
例えば、アンケートでは、あるブランドのことが嫌いと答えていた顧客も、実際の購買データでは頻繁に購入していることがあります。またインタビューで「〇〇円以下なら購入を検討する」と答えていても、実際にはその金額で購入しないこともあります。
このように、他の調査方法で得られた結果と、実際の顧客の行動に差があることはよく起こります。
顧客の声を直接聞いたからといって安心せず、この「行動データ」のような顧客の購買行動が反映された客観的なデータからも情報を得る必要があります。
マーケティングリサーチの「定量データ」と「定性データ」
冒頭でも簡単に説明しましたが「質問法」と「観察法」で扱う情報は、
- 定量データ:アンケートや統計など数値化できる情報
- 定性データ:感情や行動など数値化できない情報
に分けることができます。
定量データは「量的データ」とも呼ばれ、定量データで行う調査のことを「定量調査」「量的調査」などと呼びます。英語では「Quantitative Data(クオンティテイティブ・データ)」と言います。
また定性データは「質的データ」とも呼ばれ、定性データで行う調査のことを「定性調査」「質的調査」などと呼びます。英語では「Qualitative Data(クオリテイティブ・データ)」と言います。
同じ調査方法でも、定量・定性データの両方を使うことができるので、目的や調査したい内容に合わせて使い分ける必要があります。
定量データ(量的データ)
定性データを使った調査(定性調査)では、数値化することが可能な情報を集めます。
数値化することによって、統計学的な手法で分析ができるようになります。例えば、顧客アンケートの結果を数値化すれば、年齢や性別によって製品に対する印象に違いがあるのかを知ることができます。
また数値化することで、膨大な量のデータを一度に処理することができます。例えば、観察法では顧客の行動を調査員が一人一人観察することになりますが、画像処理技術を使って数値化すれば数千人数万人単位の行動を分析することができます。
定性データ(質的データ)
定性データを使った調査(定性調査)では、数字だけで測ることができない顧客の感情や意図に基づく情報を集めます。
例えば、定量的にサービスの質を5段階で評価してもらったとしても、「なぜ」その数値を選んだのかは本人に直接聞くまでわかりません。またPOSデータで特定の商品を購入したことがわかったとしても、その商品を選んだ理由や、逆にそれ以外の商品を選ばなかった理由まではわかりません。
そのため定性調査を行なって、調査対象者の内面を掘り下げることによって、より深い情報を得ることができます。しかし定性調査にはコストがかかり、定量調査ほど大量の情報を処理することができません。また情報に偏りがある可能性も高まります。
これらの特徴を理解した上で、定量調査を行うのか定性調査を行うのかを決定しなければなりません。
マーケティングリサーチ方法まとめ
ここまで紹介した調査方法をまとめると、
- 質問法:調査対象に質問することで情報を集める
- 観察法:調査対象の行動や反応を観察することで情報を集める
- 実験法:実験によって特定の因果関係を調べる
- フォーカスグループ:調査対象を数人集めて討論させて情報を引き出す
- 行動データ:調査対象の購買記録や行動に関する情報を集める
などがありました。
それぞれの方法にメリットとデメリットがあり、単体で行うだけでは精度の高いマーケティングリサーチを行うことはできません。
また質問法や観察法では、
- 定量データ:アンケートや統計など数値化できる情報
- 定性データ:感情や行動など数値化できない情報
のどちらも収集することができます。
選ぶ方法によって得られる情報は大きく違うため、予算が限られていても複数の調査方法を組み合わせることが重要です。