経常利益率に対する支払利息の事例:ソフトバンクグループ株式会社(2019年3月期)
ここまで経常利益率(売上高経常利益率)における支払利息の影響を説明しました。
ここからは莫大な有利子負債(利息の支払いが必要な負債)を抱えていることで有名な「ソフトバンクグループ株式会社」の事例をご紹介します。
結論から言うとソフトバンクグループは、
- 有利子負債:15兆6851億円
- 支払利息:6338億円
という桁違いの借金と利息の支払いを行っていますが、利益率が高いので支払利息を差し引いても 1兆6913億円もの税引前利益を生み出しています。(2019年3月時点)
年商6000億円以上を稼げる企業を探しても少ないのに、ソフトバンクグループは毎年の利息だけで6000億円(⁈)を支払っています。その理由は、約16兆円の借金(⁈)にあります。
それでは公式な資料で確認してみましょう。
今回数字を拾ってきたのは、下記の有価証券報告書(2019年3月期)です。
参考
【PDF】ソフトバンクグループ株式会社 有価証券報告書 第39期 平成30年4月1日〜平成31年3月31日EDINET
この資料にあるソフトバンクグループ全体の貸借対照表を確認すると、有利子負債の合計額を計算することができます。
流動負債の有利子負債、つまり1年以内に返済が必要な借金が 3兆4810億円あります。そして固定負債の有利子負債、つまり返済が1年以上先の借金が 12兆2041億円あり、合計すると 15兆6851億円になります。
そしてこの約16兆円の借金に元金の返済とは別に、利息の支払いが発生します。
その支払利息が現れるのがソフトバンクグループ全体の損益計算書です。
ソフトバンクグループの財務諸表の表記は普段よく見かける財務諸表の表記と少し違うのですが、下の表の「営業利益」の下に並んでいる項目が「営業外収益」や「営業外費用」の項目に相当します。
その中でも注目してもらいたいのが「財務費用」の 6338億円です。
この「財務費用」については、別のページに内訳が「支払利息」という説明がありました。
つまりソフトバンクグループは、約16兆円の借金に対して1年間で 6338億円の支払利息を支払ったということになります。
ちなみに上記の資料からは正確な経常利益率はわかりませんが、「税引前利益」で売上高利益率を計算してみると、
- 売上高税引前利益率:1兆6913億円 ÷ 9兆6022億円 × 100 = 17.61%
となります。
これを営業利益率と比較してみると、
- 売上高営業利益率:2兆3539億円 ÷ 9兆6022億円 × 100 = 24.51%
ということになるので、
- しっかり稼いでるから利息を払ってもしっかり利益が残る
という状態です。