SCP理論とは?業界構造・企業行動・企業業績についてわかりやすく図解

コンダクト(Conduct:企業行動)

コンダクトとは、企業行動と訳されますが、ここでは事業戦略とも言い換えることができます。

ちなみに英語の「Condact」とは、語源では人を導いたりコントロールしたりするという意味を持ちます。オーケストラの指揮者は英語でconductor(コンダクター)ですし、旅行のガイドさんのことは「ツアーコンダクター」と呼んだりしますよね。

つまり、企業の経営者が旗振り役となって、一丸となって戦略を遂行する状況を指して「コンダクト」と表現しています。

従来のSCP理論では、業界構造が企業の行動、つまり基本的な戦略を決定づけるとされていました。

SCP理論における参入障壁と移動障壁

しかしポーター教授は、戦略グループごとに異なる戦略を取ることが可能であることを示しました。加えて、戦略グループごとに移動障壁(Mobility barriers)が生まれることにも言及しました。

産業への参入障壁と戦略グループ間の移動障壁

競争の戦略

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なお、戦略グループと移動障壁については、上記の書籍のp179〜214で35ページにわたって詳細に説明されているので気になる方は読んでみてください。(ただし、SCP理論についての説明はありませんのでご注意ください。)

補足

戦略グループ間の移動障壁(Mobility barriers)という概念は、SCP理論の源流を作ったジョー・ベイン教授の「参入障壁(Barriers to entry)」の研究(1956年)を発展させたものです。

ちなみに、戦略グループ間における移動障壁の概念は、1977年にリチャード・ケイブス教授(ベイン教授に師事)とマイケル・ポーター教授(ケイブス教授に師事)に共同研究によって発表されました。

これらの三人の研究者は、師弟関係で繋がっているのです。

再び腕時計の例で考えてみると、

  • 安価な腕時計を工場で大量に生産する

というパフォーマンスに強みを持つ企業は、

  • 精巧に作り込まれた腕時計を職人がひとつひとつ手作りする

という戦略を取ることが非常に難しいということです。

逆に、少人数の熟練職人が高級腕時計を作るブランドが、安価な腕時計を大量生産することも難しいのです。つまりパフォーマンスの違いが、戦略グループ間の移動障壁になるということです。

なお、完全競争と独占の条件一覧では、参入障壁や移動障壁を築くことは、より独占に近づく行為になり、企業の収益性を高めることにつながります。

完全競争と独占:参入障壁

SCP理論とポーターの3つの基本戦略

戦略グループごとの事業戦略の違いをフレームワークにまとめたのが、1980年の「ポーターの3つの基本戦略(ジェネリック戦略)」です。

ポーターの3つの基本戦略

ポーター教授は、事業戦略をざっくりと3つに分けました。

  • コスト・リーダーシップ戦略
  • 差別化戦略
  • 集中戦略(コスト集中・差別化集中)

それぞれの詳細については、以下の記事にまとめています。

すべての事業戦略が必ずしもこの3つのうちのどれかになるというわけではありませんが、わかりやすい3つの戦略グループの方向性を指し示したことは、多くの経営者にとって福音となったはずです。

企業は、これらの3つの基本戦略の中から、自社の位置付けを決めます。つまり、業界構造の中で、ポジショニングを行うということ。

これが、ポーター教授の理論が「ポジショニング学派」と呼ばれる理由です。

次のページでは、最後のストラクチャー(業界構造)について説明します。

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