コトラーの競争地位4類型:リーダー・チャレンジャー・フォロワー・ニッチャーの戦略

コトラーの競争地位4類型とは、業界内のそれぞれの企業を

  • リーダー:ターゲット市場でトップシェアを誇る唯一の企業
  • チャレンジャー:リーダーに戦いを挑んでいる二位以下のトップ集団
  • フォロワー:リーダーを真似しながら追いかけている企業群
  • ニッチャー:小規模な隙間市場でトップを目指す企業

の4つの競争ポジションで戦略を考えるマーケティングフレームワークです。

経営資源の相対的な「」と「」、そして「マーケットシェア(市場占有率)」で分類することができます。

コトラーの競争地位4類型の表

ここではそれぞれのマーケットポジションと、それぞれが取るべき戦略について説明します。

コトラーの競争地位4類型によるマーケティング戦略

競争地位の4類型とは、フィリップ・コトラー教授によって提案されたターゲット市場での企業分類フレームワークです。それぞれの企業はターゲット市場でのポジション(競争地位)によって、戦い方が異なってくるという考え方です。

4つの類型はそれぞれ、

  • マーケット・リーダー
  • マーケット・チャレンジャー
  • マーケット・フォロワー
  • マーケット・ニッチャー

と呼ばれます。

経営資源の相対的な「質」と「量」によって、大きく分けることができます。

コトラーの4つの競争地位の表

マーケット・リーダーの戦略

マーケット・リーダーは、そのターゲット市場で最大のシェアを持つトップ企業のことです。トップ企業なので、基本的には1社のみを指します。経営資源の量は競合他社と比べて多く、技術力なども持ち合わせていて質も高いといえます。

マーケットリーダー

マーケットシェア(市場占有率)では、寡占市場の場合はたった1社で市場シェアの50%前後を占めることもあり、細分化された市場でも20%前後を占めているといわれます。

マーケット・リーダーが取るべき戦略は「守りの戦略」であり、大きく3つあります。

  • 市場そのものを拡大させる
  • 市場シェアを守り抜く
  • 市場シェアを拡大させる

まず市場が拡大すれば、その市場で大きなシェアを持つリーダー企業の売り上げも増大します。そのため、商品やサービスがより一層普及するように努めます。

またリーダー企業は、他の全ての企業から地位を狙われる立場にあります。現状の市場シェアを落とさず維持しなければなりません。さらに可能であれば市場シェアを拡大して、その地位を一層強固なものにする必要があります。

防御方法は様々なものが存在しています。

  • ポジション防御:その市場で一番知名度の高いブランド地位を築きます。「〇〇と言えばA社の〇〇」というように、ブランド再生が行われる状況です。
  • 側面防御:弱い分野や市場に経営資源を注ぎ込み、競合の侵略を防ぎます。
  • 先制防御:相手より先にプロモーションや価格を下げる攻撃などを仕掛けることで、競合に攻撃を思いとどまらせます。
  • 反攻防御:相手の攻撃に反応して「正面攻撃」「側面攻撃」「包囲攻撃」などを行います。攻撃に関しては後述を参考にしてください。
  • 移動防御:新しい分野に事業ドメインを拡大します。
  • 縮小防御:防御しきれない分野については戦略的に縮小・撤退を行い、浮いた経営資源を強い分野に再配分します。

マーケット・チャレンジャーの戦略

マーケット・チャレンジャーは、そのターゲット市場で2番手以降にある企業で、リーダー企業に取って代わろうとする勢力です。経営資源の量は競合他社と比べて多いものの、経営資源の質にはバラツキがあります。

マーケットチャレンジャー

マーケットシェア(市場占有率)では、寡占市場であれば市場シェアの20%前後、細分化された市場では10%前後を占めているといわれます。またチャレンジャーは、市場に複数社存在していることがあります。

マーケット・チャレンジャーが取るべき戦略は「攻めの戦略」です。

まずは攻撃対象を決めます。

  • マーケット・リーダー
  • 自社と同規模の市場シェアで経営資源が不足している競合
  • 小規模の地方企業

リーダー企業の弱いところを崩すか、規模の小さい会社を潰すかになります。

攻撃方法については、

  • 正面攻撃:攻撃対象の企業に対して、製品・広告・価格・流通において真正面から戦います。基本的には経営資源が多い方が勝つので、自社より経営資源の少ない攻撃対象に有効です。
  • 側面攻撃:攻撃対象がカバーできていない地域や顧客セグメントを攻めます。
  • 包囲攻撃:大規模な攻撃で迅速に顧客を包囲して、攻撃対象の戦意を削ぐ作戦です。相手より優れた経営資源が必要になります。
  • 迂回攻撃:「関連性のない製品に多角化する」「地理的に新しい市場に進出する」「新技術で既存製品に取って代わる」の3つのいずれかの作戦で、経営資源の基盤を広げて間接的に競合企業の市場を奪います。
  • ゲリラ攻撃:小規模で断続的な攻撃(値引きやプロモーション)を仕掛け、攻撃対象を疲弊させる方法です。

などがあります。

これらの攻撃方法を対象企業の状況に合わせて組み合わせ、相手から市場シェアを奪います。

マーケット・フォロワーの戦略

マーケット・フォロワーは、そのターゲット市場で2番手3番手にある企業で、リーダー企業を真似しながら追いかける企業です。経営資源の量も質も、リーダーやチャレンジャーに劣ります。

マーケットフォロワー

マーケットシェア(市場占有率)では、寡占市場であれば市場シェアの10%前後、細分化された市場では5%前後を占めているといわれます。このポジションの企業も複数社が存在します。

フォロワーは、マーケット・リーダーを真似することで研究開発費や失敗のコストを抑えます。リターンは少ないですが、リスクも少ないポジションです。

マーケット・フォロワーが取るべき戦略は「リーダーの真似をする戦略」です。フォロワーの戦略は4つあります。

  • カウンターフィター:いわゆるコピー商法です。偽物を作って闇市場で流通させます。
  • クローナー:リーダー企業の製品クローンを作ります。そっくりな商品を少し安く売ります。
  • イミテーター:リーダー企業とそっくりの商品を作りますが、パッケージ・広告・価格などは違います。
  • アダプター:リーダー企業の製品を参考にして、改良して売ります。ここからチャレンジャーの地位に成長する企業もあります。

マーケット・ニッチャーの戦略

マーケット・ニッチャーは、リーダー企業がカバーできない小規模な市場でリーダーになる企業です。経営資源は少ないものの、他にはない技術を持っていたり、価値を提供できる企業になります。

マーケットニッチャー

マーケットシェア(市場占有率)では、寡占市場であれば市場シェアの10%以下、細分化された市場では5%以下を占めているといわれます。

大企業が関心を持たない分野をターゲットにして、直接的な競争を避けます。

小さな市場をニッチ市場(隙間市場)と呼び、経営資源が少なくても参入できます。そのため市場に初めて参入する場合は、ニッチ市場から始める企業も多くあります。一方でニッチ市場はイノベーションや大手の参入で消し飛ぶなど、常に市場が無くなるリスクも抱えています。そのためニッチ市場で戦う企業は「単一ニッチ戦略」ではなく「複数ニッチ戦略」を取ることで生き残る確率が高まります。

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