だいぞう
PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)分析とは、バブルチャートを使って事業や製品を「花形」「金のなる木」「負け犬」「問題児」の4つのタイプに分類し、経営資源の配分を決めるための分析フレームワークです。
このプロダクト・ポートフォリオ・マネジメントのバブルチャートは、エクセルなどの表計算ソフトで簡単に作ることができます。
エクセルを使ったPPM分析のやり方
PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)分析とは、事業の状態を「花形」「金のなる木」「負け犬」「問題児」の4つのタイプに分類して、経営資源を再分配するための分析フレームワークです。
前提として「規模の経済」や「経験曲線効果」が働くことが想定されているため、製造業の分析に適している分析フレームワークといえます。
PPM分析には、BCGマトリックスと呼ばれるバブルチャートを使います。
このBCGマトリックスのバブルチャートは、
- 縦軸:市場成長率
- 横軸:相対的市場シェア
を使います。
またこの表を4つに分割することで、
- 花形
- 金のなる木
- 負け犬
- 問題児
の4つに事業や製品を分類することができます。
それぞれについて、より詳しい情報はこちらの記事をご覧ください。
では、これからPPM分析のBCGマトリックスを作成していきましょう。
まずは無料のエクセルファイルをダウンロードしてください。登録不要でご利用いただけます(メールアドレスなど不要)。
このテンプレートにある下記のような表を埋めれば、自動的にバブルチャートが完成します。
まずは分析の対象となる、それぞれの事業の市場規模を探しましょう。
市場規模データの探し方ですが、
- 業界団体の調査データ
- 矢野経済研究所の無料公開データ@Google検索
- 経済産業省の統計データ
- 日経BP記事検索サービス
- SPEEDA
などがあります。
「業界団体の調査データ」は、あなたの会社が所属している業界団体が公開している調査データです。業界団体に加盟していれば、会社に年に何回か業界機関紙が届いているかと思います。その紙面に、定期的に業界の市場規模の推移グラフが掲載されていることがあります。また業界団体に問い合わせることで、市場規模のデータを手に入れることができる可能性があります。
「矢野経済研究所の無料公開データ」は、一番手っ取り早いものの、必ずしも全ての市場データが見つかるとは限りません。検索エンジンで「矢野経済研究所 〇〇市場」などで画像検索すれば、グラフが表示されることがあります。運良くデータが見つかれば、それを使うことができます。
「経済産業省の統計データ」は、経産省が公開している統計データです。こちらも無料で利用することができますが、カテゴリが一般的なものになってしまうので、必ずしもあなたの会社の事業分類に当てはまるとは限りません。
「日経BP記事検索サービス」は、有料の検索サービスです。経済学部や商学部の学生さんであれば、学校の図書館などで無料で使えるかもしれません。日経ビジネスなどに過去に掲載された記事を検索することができます。その中に、市場規模の推移グラフなどを見つけることができます。
「SPEEDA」も、有料の調査データ検索サービスです。月に数十万円もするような料金ですが、大きな企業であれば契約しているかもしれません。一番使い勝手の良いデータが手に入る上、ライバル企業の売り上げなどのデータも見つかる可能性があります。しかし個人や中小企業だと、使えるチャンスがほとんどありません。
それぞれの事業の市場規模の推移データが見つかったら、今度はエクセルの表に入力していきましょう。
まずはデータ年数を入力します。
3年分のデータから市場成長率を計算したい場合は「3」、5年分で計算したい場合は「5」などと入力してください。
そして各事業ごとの市場規模の数値を入力していきます。
この例では単位が「千円」となっています。つまり「¥11,200,000」というのは、千倍した「112億円」という意味になります。
ここで注意するのは、3年分でも5年分でも、最初と最後の年のデータがあれば市場成長率を計算できるということです。
もし3年分のデータで計算する場合は、直近の市場規模の数値(20×3年となっている方)と、3年前の市場規模の数値(20×1年となてっている方)を入力してください。(20×1年や20×3年という表記は、任意の西暦に変更してください。)
次は先ほど入力した市場規模の数値を使って、市場成長率を計算します。
エクセルの計算式は、このようになっています。
3年間の初めと終わりの市場規模から、3年間の平均的な市場成長率を計算する式になっています。
この計算方法は「年平均成長率(CAGR)」と呼ばれるものですが、ここでは詳しい計算方法を割愛します。上記の画像の関数を参考に、CAGRを計算してみてください。
計算すると以下のように、それぞれの事業の市場全体の成長率が計算されます。
次に自社と、自社以外で市場シェアが一番大きい会社の売上を入力します。
これらの情報が必要な理由は、最終的に「相対的市場シェア」を計算するためです。
まず自社の事業ごとの売上高はすぐにわかると思うので、とくに問題ないと思います。自社の売上高は、バブルチャートのバブルの円の大きさになります。
しかし難しいのは他社の売上の情報です。しかも自社を除くシェアがトップの会社の売上になります。
「自社を除くシェアがトップの会社」というのは、
- 自社:20%
- 競合X社:18%
- 競合Y社:10%
- 競合Z社:7%
という状況であれば「競合X社」のことです。
もし、
- 競合Y社:20%
- 競合X社:18%
- 自社:10%
- 競合Z社:7%
であれば「競合Y社」のことです。
もちろん、上記のように各社の市場シェアが初めからわかっていれば、なにも苦労することはありません。以降のステップを飛ばして、いきなり「相対的市場シェア」を計算してしまえば終わりです。
しかし全ての事業で、競合のトップのシェアがわからないこともあります。
そういった時には、営業担当者の情報や販売個数、その他様々な情報を使って、売上高を推定してみてください。
また、競合企業が上場企業であれば「有価証券報告書(通称:有報)」という資料に、事業ごとの売り上げが掲載している可能性があります。上場企業であれば公式サイトの「IR情報」などのページから誰でもダウンロードできるはずなので、探してみてください。
まずは自社の市場シェアから。
計算方法は、
という風に、自社の売上高を市場規模で割ります。
他社トップの市場シェアも同様に、
他社トップの売上高を市場規模で割ることで求めることができます。
最後に「相対的市場シェア」を計算します。この相対的市場シェアという考え方は、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの中でも、特徴的な要素のひとつです。
相対的市場シェアの計算方法は、
自社の市場シェアを、他社トップの市場シェアで割ることで計算できます。
ここまで入力できればBCGマトリックスのバブルチャートの完成です!