ポーターの3つの基本戦略とは?コスト・差別化・集中の意味と事例を解説

差別化戦略

差別化戦略とは、

  • 顧客に対して競合他社より割高な価格を支払ってもらうことで利益を生み出す戦略

のことです。ここでの差別化は価格を維持、または上げることが狙いです。

ちなみにマーケティングの「差別化」と、ポーターの「差別化」は意味が違うので注意をしてください。

マーケティング用語の「差別化」は、同じものを競合のそれと区別させる行為を含んでいます。

しかしポーターの「差別化」は、顧客に「AとBは全くの別物」と認識させることのみを指しています。縦軸が「顧客が認める特異性」となっているのはそのためです。

マーケティングの差別化のイメージとしては「差別化の特徴+一般名詞」で、ポーターの差別化はブランド名や商品名で直接認識されるイメージです。差別化戦略が成功すれば、バリューチェーンの「総価値」を引き上げることができ、利益(マージン)を確保できます。

差別化とファイブフォースとの関係

差別化ができていれば、競争圧力に対して有利に働きます。

  • 新規参入の脅威:差別化された商品の供給量に影響がないため価格が下がらない
  • 代替品の脅威:代替品とは別の商品やサービスと認識され価格競争にならない
  • 顧客の交渉力:唯一の商品になれば価格交渉に応じる必要がなくなり利益を維持できる
  • 供給業者の交渉力:原材料の高騰に合わせて値上げが可能になり利益を維持できる
  • 既存企業のポジション争い:価格競争に巻き込まれず利益を維持できる

集中戦略

コスト集中戦略

市場セグメントを絞り込んで、特定のターゲットに集中してコスト・リーダーシップ戦略を行います。

経営資源が限られている場合に有効になります。ニッチ市場に対して、圧倒的なコスト優位性を発揮する戦略です。

差別化集中戦略

市場セグメントを絞り込んで、特定のターゲットに集中して差別化戦略を行います。

こちらも同様に、経営資源が限られている場合に有効です。ニッチ市場に対して、他が真似できないような商品やサービスを提供する戦略です。

窮地

窮地(Stuck in the Middle)は、中央で立ち往生しているという意味です。

これは戦略ではなく、どの戦略も取れなかった状態を表しています。コスト優位と差別化の両方を同時に追うことが出来ないと考えられ「対極のジレンマ」と呼ばれました。

しかしそれを克服できる企業があることも判明しました。それが次に示す「ハイブリッド戦略」を取る企業です。

注意

ポーター教授は後のインタビューで、コスト優位と差別化の両方を同時に追うことも可能だと認めています。そのため、一般的に認識されている3つの基本戦略は、不完全なものと言えます。

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