ビズリーチのビジネスモデル図解:市場限定と利用者選別のプラットフォーム戦略

ビズリーチと未登録企業を間接的に繋ぐヘッドハンターたち

前のページでは、求人企業とネットワーク効果の関連性をお伝えしましたが、「ヘッドハンター」や「転職希望者」についても同様です。

ヘッドハンターは、

  • 転職エージェントのキャリアアドバイザー
  • フリーランスのヘッドハンター

などで構成されています。

これらのヘッドハンターの役割は、ビズリーチに登録していない(できない)企業とビズリーチの転職希望者を「間接的」につなぐこと。

ビズリーチ:ヘッドハンターによる間接的な需要の獲得

ヘッドハンターは採用が決まれば、依頼元の企業から報酬を受け取ることができます。

そのため、

  • 採用件数が増えるほど、ヘッドハンターの利用体験が改善する

ことによって、

  • ヘッドハンターが継続的にビズリーチを利用してくれる(継続利用者数の増加)
  • ヘッドハンター同士でのビズリーチの評判が高まる(クチコミ評価の改善)

という流れにつながります。

結果、新たなヘッドハンター登録希望者も増加するのです。

一方で、

  • 外部のヘッドハンターにシステムを利用させずに、ビズリーチがヘッドハンティングを代行した方が儲かるのではないか?
  • 未登録企業もビズリーチに直接登録した方が、ヘッドハンターに報酬を支払わないくて安上がりになるのではないか?

といった疑問も湧いてくるはず。

しかしこの2つの疑問については、いずれも「取引費用理論(Transaction Cost Economics)」で説明がつきます。

端的に言えば、

  • ビズリーチがヘッドハンティング代行サービスを提供した場合、自社でヘッドハンターたちを継続的に雇用する必要があり、固定費が増加して収益性が落ちる
  • 年間の利用回数が少なくなるような企業は、ダイレクトリクルーティングの社内体制を整えるコストよりも、外部のヘッドハンターに丸投げした方が安く上がる

ということで、

  • ビズリーチは利益率を下げるような人的経営資源を保有する必要がない
  • ヘッドハンターを間に噛ませる方が安く済む企業が存在している

ので、ヘッドハンターに登録してもらうのが最善の選択になります。

これは、

  • Amazonがネットショップのシステムを外部事業者に開放して品揃えを充実させた

という戦略と全く同じ。

Amazonは、事業成長による低コスト構造を構築するため、あえて外部事業者にもAmazon上で商品を販売できるようにしました(出品者)。

Amazon善の循環

その結果、品揃えが充実し、さらなる訪問者を呼び込むことにつながったのです。

ビズリーチも自社の固定費を増やさずに外部のヘッドハンターを増やすことで、採用件数が増加します。そのため、転職希望者にとってサービスの魅力も高まるのです。

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