だいぞう
企業購買では製品やサービスを、
- ルーチン製品
- レバレッジ製品
- 戦略的製品
- ボトルネック製品
の4つの製品に分類することができます。(ピーター・クラルジック 著「Purchasing Must Become Supply Management(1983 September, Harvard Business Review)」、「コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版 」p272 参照)
B2B市場の企業購買では、製品やサービスの性質の違いによって購買プロセスも違います。
ここでは製品類型ごとの購買プロセスの違いについて、わかりやすく説明します。
企業購買の製品4類型とは?
企業購買の製品4類型は、スロベニアの経済学者であるピーター・クラルジック氏によって提唱された、企業の購買プロセスの違いにおける製品の分類方法です。
クラルジック氏は、1983年の「Purchasing Must Become Supply Management」という記事にて、
- 収益への影響(プロフィット・インパクト、Profit impact)
- 供給リスク(サプライ・リスク、Supply risk)
という2つの軸で製品を分類しました。(オリジナルの記事は下記ページで読めます。)
参考
Purchasing Must Become Supply ManagementHarvard Business Review
これを図にしたものがこちらです。
それぞれ、
- ルーチン製品:収益への影響が小さく供給リスクもない製品
- レバレッジ製品:収益への影響が大きいが供給リスクがない製品
- 戦略的製品:収益への影響が大きく供給リスクもある製品
- ボトルネック製品:収益への影響が小さいが供給リスクがある製品
という特徴を持っていますが、顧客の購買プロセスも異なります。
そのためマーケターは、自分たちが取り扱っている製品やサービスが、どのような購買プロセスで処理されているかを理解することで、顧客の期待に応えることができます。
ルーチン製品の購買
ルーチン(Routine、決まり切った)製品とは、
- 顧客にとって収益への影響が小さく供給リスクもない製品
のことです。
このような製品は「ノン・クリティカル(Non-critical、非致命的)製品」とも呼ばれます。
顧客企業の行動は、
- 製品やサービスの標準化
- 受注量の最適化
- 購買プロセスの効率化
- 在庫量の最適化
などが挙げられます。
例えば、オフィスにある事務用品などが該当します。
ルーチン製品は、最終製品に対する価値や調達コストそのものが非常に低く、収益への影響がほとんどありません。また大量に生産・供給されているので、欲しい時にすぐに手に入ります。そのため、組織構造の低いレベルで購買意思決定が行われることが特徴です。
購買そのものは日常的に繰り返し行われます。ルーチン製品の購買担当者は、繰り返しの作業に手間をかけたくないので、発注の定型化や効率化を好みます。もし在庫管理が必要なものであれば、システムによる在庫予測や自動受発注などを行えば、顧客の手間が省けます。
レバレッジ製品の購買
レバレッジ(Leverage、梃子)製品とは、
- 顧客にとって収益への影響は大きいが供給リスクがない製品
のことです。
顧客企業の行動は、
- 購買交渉力の活用
- 供給業者の選定
- 代替品の探索
- 目標価格の設定と価格交渉
- 発注量の最適化
などが挙げられます。
レバレッジ製品は、高付加価値でコストも高いため顧客の収益への影響が大きいものの、供給業者がたくさん存在しているので供給リスクが小さい製品です。
このような製品は、収益への影響の大きさから、ルーチン製品よりも中位レベルの購買担当者が意思決定を行います。
レバレッジ製品の購買担当者は、その製品やサービスが企業の収益に影響を与えることを知っているため、複数の供給業者の製品を比較して評価を行います。そのため、マーケターは購買担当者に対して、その製品がもたらす効果やパフォーマンスについて十分な情報を提供しなければいけません。