規模の経済性と不経済
さいごに、経済学の教科書によく登場する以下のグラフについて、もう一度考えてみましょう。
下の図は、生産量が Q1 から Q2 に増えることで、1個あたりの平均費用が C1 から C2 に減っています。
しかしある生産量を超えると、余分な費用がかかるなどで平均費用が高くなることがあります。
上のグラフでは生産量を Q2 から Q3 に増やした場合、平均費用が C2 から C3 に増加しています。これを「規模の不経済」と言います。
- 生産量を2倍にしたのに費用は2倍にならない → 規模の経済
- 生産量を2倍にしたら費用が2倍以上かかった → 規模の不経済
とも言えます。
規模の経済まとめ
以下は、ここまで説明した内容を簡単にまとめたものです。
規模の経済ってどういう意味?
規模の経済とは、
- 設備などを使い倒せば製品1つあたりのコストが低くなる
といった現象のことです。
例えば、500万円のまんじゅう製造機で、まんじゅうを1個しか作らなかった場合、1個に500万円以上の値段をつけなければコストを回収できません。
しかし、まんじゅうを500万個作れば、まんじゅう1個あたりが負担する機械のコストは1円になります。そうすれば、後は原材料のコストなどを加えて、お手頃な値段で売ることができるようになります。
このように同じ機械や設備を使い倒すことで、製品1つあたりのコスト負担が軽くなることを「規模の経済」と言います。
なんで規模の経済で固定費が減るの?
規模の経済が働くと、製品1つあたりが負担する固定費が減ります。
その理由は、製品をたくさん作れば製品1つあたりのコスト負担が分散するからです。
製品のコストは、
- 原材料などの個別に必要になる「変動費」
- 工場や機械設備など共通で使える「固定費」
の2つに分けることができます。
このうち「固定費」は、製品を作れば作るだけ負担を分散させることができます。10個作れば10分の1、1000個作れば1000分の1になります。これが規模の経済で固定費が減る理由です。