規模の経済とは?固定費が減る理由とメリット・デメリット・具体例

規模の経済のメリット

規模の経済が実現した場合には、会社にとって様々なメリットがあります。

売れれば売れるほど利益が爆発的に増える

なんと言ってもこのメリットが大きいですよね。

先ほどの例では、お菓子の生産数を1万個から10万個に増やすと、平均費用が110円から20円まで下がってしまいました。

もしこのお菓子を200円で売っているとしたら、

  • 売値 200円 ー 費用 110円 = 利益 90円
  • 売値 200円 ー 費用 20円 = 利益 180円

というように1個あたりの利益が90円から180円と2倍に増えたことになります。

仮に生産したお菓子が全部売れたとすると…

  • 利益 90円 × 10,000個 = 900,000円
  • 利益 180円 × 100,000個 = 18,000,000円

1万個生産した時に90万円だった利益が、10万個生産すると1800万円⁈になります。

生産個数が10倍に増えているので販売量の違いもありますが、利益は20倍にまで増えています。

このように順調に売れている時は、設備の生産量の限界まで利益が増え続けます。

価格競争に巻き込まれても耐えられる

利益がたくさん残るということは、価格を下げても利益を得られるということです。

例えばライバルのお菓子屋さんがあって、同じようなお菓子を同じ200円で売ってたとします。ライバルのお菓子は売れ行きが悪いため、値下げ作戦に出ました。

ここではライバルが150円に値下げしたと思います。このままではライバルのお店にお客さんが行ってしまうので、こちらも150円に値下げします。

もし規模の経済が効いていない状態であれば、

  • 売値 200円 ー 費用 110円 = 利益 90円
  • 売値 150円 ー 費用 110円 = 利益 40円

のように、利益が90円から40円へと半分以下になってしまいます。これでは会社が傾いてしまうかもしれません。

しかし規模の経済が効いていれば、

  • 売値 200円 ー 費用 20円 = 利益 180円
  • 売値 150円 ー 費用 20円 = 利益 130円

のように、利益が180円から130円に減っただけです。

利益は減ったものの、十分に耐えることができそうです。

そして今度はこちらから価格攻撃を仕掛けてみましょう。お菓子1つあたりの売値を100円まで下げる作戦です。

こちらが売値を下げれば、ライバルは追従するしかありません。追従しなければお菓子が売れなくなってしまいます。

仮にこちらは規模の経済が効いていて、ライバルのお菓子屋さんは規模の経済が効いていない場合、

  • ライバル:売値 100円 ー 費用 110円 = 赤字 -10円
  • 自社:売値 100円 ー 費用 20円 = 利益 80円

となって、ライバルはお菓子を1つ売るたびに10円の赤字が出てしまいます。こうなるとライバルのお菓子屋さんは、こちらに勝つことはできません。

だいぞう

このような状態を、ビジネスでは「コスト優位性がある」などと表現します。

コスト優位性が高ければ、通常の状態では大きな利益を生み出し、仮に価格競争が始まったとしてもダメージを抑えられます。

ちなみに、マイケル・ポーター教授の「コスト・リーダーシップ戦略」は、規模の経済などを含むコスト優位性」を武器にした戦い方と言われています。

競合に対する参入障壁になる

規模の経済の大きさは、ライバルである他社の参入を防ぐ効果があります。

上に挙げた例のように、100万円くらいの設備であればすぐにマネされるかもしれません。しかし数十億円、数百億円規模の投資が必要になると話は別です。

競合他社が同じように設備投資をして追随する場合、

  • 市場への供給量が多くなりすぎて価格が下り自分たちの首を絞めることになる
  • 固定費を回収する前に価格競争になると赤字になってしまう
  • 相手がさらに追加の設備投資をすると規模の経済で勝てない

などの危険性が考えられます。

そのため規模の経済に大きな投資が必要であればあるほど、競合他社は追いかけることを諦めます。

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