だいぞう
範囲の経済とは、
- 複数の事業を別々の企業がやるより1つの企業がまとめてやる方がコスト優位になる
という状況のことです。
- 製品Aまたは製品Bの専業メーカーよりも製品Aと製品Bの両方を作る会社の方が生産コストが低い
- 事業Aを行なっている会社が事業Bを始めたことで事業Aのコストが下がった
などが「範囲の経済」の例になります。
逆に、1つの企業が複数の事業をやることで非効率になることを「範囲の不経済」と呼びます。
- 事業Aを行なっていた会社が不動産や飲食業にも手を出したことで業績が悪化した
などが「範囲の不経済」の例になります。
ちなみに似ている言葉に「シナジー効果」というものがありますが、こちらはコストが下がるのではなく、売上や利益が伸びるものを指します。
ここからはグラフを交えながら解説します。
範囲の経済とは
範囲の経済(Economies of scope)はミクロ経済学の考え方で、個別の企業が個別の事業を行うより、
- 1つの企業が様々な事業を行った方が効率がよくなる状況のこと
です。
例えば次の2つの別々の会社があるとします。
- A社:製品Aを毎日100作れる
- B社:製品Bを毎日100作れる
ここではA社とB社の会社の規模や従業員数は同じとします。
下のグラフの縦軸を製品Aの生産量とすると、A社単独であれば毎日100しか生産できません。それは横軸で表したB社も同様です。
そしてこの2社が合併したとしても、範囲の経済が働いていない状態では、
- 単純に会社の規模が2倍になっただけ
です。
そのため、全員でどちらか一方の製品だけを作れば、作れる量は単純に2倍になるはずです。
しかし「範囲の経済」が起きると、
- 製品Aも製品Bも毎日120個ずつ作れる
ようになるかもしれません。
その理由は、
- 社員がお互いの工場のノウハウを教えあって作業効率が上がった
- 総務・人事・経理などの機能が1つになったためコスト削減できた
- お互いの取引先に製品を紹介することで営業効率が向上した
などのことが相乗効果として生まれる可能性があるからです。
つまりお互いの良いところを共有したり、重複している機能をまとめて無駄を排除したことで、経営資源を効率的に使えるようになったわけです。
ちなみに1つの会社が経営の多角化を行った時にも、同じように範囲の経済が見られることがあります。
1 2