目的や目標は「方針」や「手段」とどう関係するのか?
「目的」や「目標」と関係する言葉として、「方針」と「手段」があります。
これらには、
- 目的によって方針が決まる
- 方針が手段を選ぶ
- 手段によって目標が違う
という関係があります。
分かりやすく登山に例えると、
- 目的:〇〇山を登頂する(した状態になる)
- 方針:安全を最優先して登る
- 手段:山岳ガイドと一緒に登る
- 目標:山岳ガイドが決めた経由地
となります。
しかし方針が変われば、
- 目的:〇〇山の登頂を果する(した状態になる)
- 方針:短時間で登頂する
- 手段:ヘリコプターを使う
- 目標:パイロットが定める飛行ルート
となって、全てが大きく変わります。
例えばビジネスでも「ブランド認知度の向上」という目的を達成するために、方針が「予算1億円で収める」のか「予算100万円で収める」のかで、手段も目標も全然違うものになります。
手段の目的化という状態
冒頭で「手段が目的になってるぞ!」という例を挙げましたが、これは「手段」が「実現させたい最終的な状態」になっている、ということになります。
例えば先ほどの、
- 手段:山岳ガイドと一緒に登る
が目的になってしまうと、
- 目的:山岳ガイドと一緒に登った状態になる
ということになります。
そうすると、
- 目的:山岳ガイドと一緒に登った状態になる
- 方針:経験値の高い山岳ガイドを選ぶ
- 手段:登山経験の多い知人から紹介してもらう
- 目標:5人の山岳ガイドに連絡を取る
というように、目的を起点として方針・手段・目標に落とし込むと、全く別のものになってしまいます。
もちろん、これはこれで登山の下準備の一つとしては問題ないのですが、本来の目的である「〇〇山の登頂を果する(した状態になる)」からは離れてしまいました。
また置き換わった目的である「山岳ガイドと一緒に登った状態になる」ということを実現したいがために、当初の目的を達成する他の手段(例えば、ロープウェイを使って登るなど)が目に入らなくなってしまうかもしれません。
その結果、山岳ガイドと一緒に登山することはできたけど登頂できなかった、ということになれば本来の目的は達成されません。
今度はビジネスで例えてみましょう。
マーケティングで、
- 目的:自社製品Aの認知度を高める(今より高い状態にする)
- 方針:予算は100万円、期間は3ヶ月
とした場合、広告・広報・店頭接客・アフターサービス・口コミなどたくさんの手段を選べるはずです。
しかしもし担当者が「広告」という手段に固執して、他の手段を深く検討せずに予算の増額を要求するようなことがあれば、それは「手段の目的化」になります。
このように複数の手段が選べる状況でも、特定の手段で成果を出すために方針の変更を行おうとすれば手段が目的化している状態だと考えられます。
もちろん「目的」や「方針」を変更すること自体は、悪いことではありません。そもそもの目的や戦略が間違っている可能性があるからです。