SWOT分析の強み・弱みと目標設定
SWOT分析は、作戦の開始前や途中に素早く状況を把握するのが目的です。そのためには、まず自分たちはどんな目標を持って、どこに向かっているかをを知っていることが重要になります。
このことは内部要因(内部環境)を「後押しするもの」「足を引っ張るもの」に例えることができます。
ここでは「市場シェア〇〇%達成」を戦略目標として例を挙げていきます。
目標達成の助けになること
目標達成の助けになるのは、
- 目標達成に直接的に後押しする
- 目標達成に間接的に後押しする
ような、内部要因(内部環境)になります。
例えば「市場シェア〇〇%達成」という戦略目標において、
- 製品ブランドの知名度の高さ
- 潤沢なプロモーション予算
などは直接的に目標達成を後押しする内部要因(内部環境)です。
そして、
- 競合他社の市場シェアに関する情報収集能力
- 過去のプロモーションで培ったノウハウ
などは間接的に目標達成を後押しする内部要因(内部環境)になります。
これらの内部要因(内部環境)は、戦略目標が変わると「弱み」になることもあります。
例えば、戦略目標が「新しい製品カテゴリにおけるシェア拡大」に変わった場合で考えてみましょう。もし既存の製品ブランドに「格安」「安価」なイメージがあった場合には、高級路線の新しい製品カテゴリを攻めようとした時には「弱み」になってしまいます。
目標達成の妨げになること
逆に目標達成の妨げになるのは、
- 目標達成に直接的に足を引っ張る
- 目標達成に間接的に足を引っ張る
ような、内部要因(内部環境)になります。
例えば「市場シェア〇〇%達成」という戦略目標において、
- クレーム対応の悪さ
- 生産能力の低さ
などは直接的に目標達成の足を引っ張る内部要因(内部環境)です。
そして、
- 人材育成プログラムが整備されていないこと
- 製品の主要部品を外注していること
などは間接的に目標達成の足を引っ張る内部要因(内部環境)です。
これらの内部要因(内部環境)は、戦略目標が変わると「強み」になることもあります。
例えば戦略目標が「トレンドが短期間で変わる製品カテゴリでの一定の市場シェアの維持」に変わった場合で考えてみましょう。「生産能力が低い」ということは、小回りがきくということでもあります。トレンドの変化が早い市場では、「生産能力が低い」ことが素早い仕様変更を実現する「強み」になるかもしれません。
優位・劣位になるとは限らない
ここで注意しなければならないのは、
- 強み = 競合に対して自社が優位な内部要因(内部環境)、ではない
- 弱み = 競合に対して自社が劣位な内部要因(内部環境)、ではない
ということです。
あくまで「自社」にとって「目標」の「助けになる」「妨げになる」かどうかであって、他社と比較した場合の優劣は関係ありません。(優劣を比較したい場合はVRIO分析を行います。)
先ほどの例であれば、
- 競合他社も同じくらいのブランド認知度がある
- 自社より生産能力の低い競合他社も存在している
などの可能性があります。
つまり「強み」「弱み」といっても、競合他社と比較しているわけではないので「優位」「劣位」は関係がないということになります。