現在価値の割引率と投資判断
ここからはより実践的に、会社の事業投資に置き換えて考えてみましょう。
例えば、
- 新規事業A:100万円投資すると1年後に105万円の利益が得られる
- 新規事業B:100万円投資すると1年後に101万円の利益が得られる
があるとします。
もしあなたが「現在価値」という考え方を知らなければ、
どっちの新規事業も投資額より増えるから儲かる!
と思ってしまうかもしれません。
しかし先ほどの「高級腕時計」の例を知っているあなたは、そうは考えないはずです。
なぜなら、
- 損するか得するかは「割引率」次第
であることを知っているからです。
今回は、事業投資の100万円を「銀行から借り入れる」ことにしました。
ここでの借り入れは、
- 金利3%
だったとします。
そうすると1年後、あなたの会社は銀行に「利子3万円」をつけた「103万円」を返す必要があります。
つまり、お金を貸す「銀行」にとっては、
- 手元からなくなる100万円 = 将来返済してもらえる103万円
になります。
ということで、
- 割引率3%
で計算することにします。
これを先ほどの計算式、
- 現在価値 = N年後の金額 ÷ (1 + 割引率)^N年後
に当てはめて計算してみると…
ということで、
- 新規事業Aの現在価値:101.9万円
- 新規事業Bの現在価値:98.1万円
になりました。
つまり銀行に利子率3%でお金を借りて事業投資をした場合、
- 新規事業A:100万円の投資に100万円以上の価値がある
- 新規事業B:100万円の投資に100万円の価値がない
ということがわかりました。
この結果、
- 新規事業Aだけに事業投資をする
ということになります。