CRM(顧客関係管理)に適している製品やサービス
CRMは万能ではありません。CRMに適している製品やサービスと、適していないものがあります。
CRMに適している製品やサービスは、
- 一生に何度も利用する
- 顧客が愛着を持ちやすい
- 製品単価や顧客単価が高い
- 顧客の情報収集が楽にできる
という特徴を持っています。
その理由は、CRMにかかるコストを利益で回収する必要があるからです。
代表的な例は、
- ビジネスホテル
- 自動車販売
- 法人向けの製品やサービス
などです。
例えばビジネスホテルは、
- 同じ顧客が同じビジネスホテルを何度も使う
- 休息が得る場所なので何度も利用すると安堵感がある
- 1回の利用で数千円〜数万円の支払いがある
- チェックイン時に個人情報が収集できる
というように特徴を全て満たしています。
また自動車販売も、
- 数年ごとに自動車を乗り換える顧客が多い
- 自動車は「愛車」として扱われる対象になる
- 1回の購入で数十万円〜数百万円の売り上げになる
- 接客時に家族構成を含む個人情報を入手しやすい
というようにCRMが適している製品やサービスの特徴を満たしています。
この他にも法人向けの製品やサービスは、
- 関係性が構築されると長期的な取引になりやすい
- 長期的に使う設備やサービスに愛着を寄せやすい
- 企業同士の取引なので取引金額が大きくなる
- 担当者同士のやりとりなどで顧客の情報が入手できる
ということで、CRMに適している製品やサービスが全般的に多い傾向にあります。
一方で、CRMが適していないものもたくさんあります。
例えば牛丼屋やハンバーガーショップなどのファストフード店は、顧客は一生に何度も利用しますが、単価が低く、顧客の情報も入手しにくいためCRMを活用するのは難しいかもしれません。また、戸建住宅や分譲マンションは、客単価がとても高く、顧客の個人情報も入手しやすく、愛着が湧く製品ですが、一生に一度の買い物であることが多く、「買わせるまでのCRM」は有効ですが「買わせた後のCRM」は効果が少ないかもしれません。
このように製品やサービスごとにCRMに向き不向きがあるので、CRMを導入しようと考えている事業で費用対効果があるかどうかは十分に検討する必要があります。
CRM(顧客関係管理)の基本原理4ステップ
CRMは、前述したワン・トゥ・ワン・マーケティングを実現するための手法です。そのため、CRMの基本的なやり方も、ワン・トゥ・ワン・マーケティングと同じもになります。
CRMを進めるための基本原理は、
- 顧客を特定する
- 顧客を分類する
- 顧客と交流する
- 製品やサービスをカスタマイズする
の4つのステップです。
まずは対象となる顧客が誰なのか特定しなければなりません。すべての顧客にアプローチするとなると、莫大な費用がかかるため、見込み客や既存顧客などマーケティングを実施するべき顧客を絞り込みます。
そして絞り込んだ顧客をニーズなどで分類します。そうすることによって、顧客ニーズごとにノウハウを蓄積させやすくなります。また顧客から得られる可能性があるライフタイムバリュー(LTV)を計算します。ライフタイムバリューを計算し、顧客一人当たりにかけることができるマーケティング予算を把握できれば、広告費や訪問営業の回数上限などが設定できます。
マーケティングの予算と対象が決まれば、タッチポイントごとに顧客との交流を行います。タッチポイントによって顧客との交流の深さは異なりますが、予算の範囲内で効果が最大化されるようなコミュニケーションを行います。ここでは顧客のニーズに基づいて、さらにニーズを深掘りしマーケティングに活かすことが重要になります。
そして交流によって深掘りしたニーズを満たせるように、製品やサービスをカスタマイズします。もちろん顧客一人ひとりにピッタリ合ったものを提供するのが理想ですが、多くの製品やサービスでは難しいと思います。そのような場合には、オプションによって幅を持たせたり、複数の性質の異なる製品やサービスの組み合わせによって、顧客のニーズに可能な限り近づけることで対応を行います。
より詳しい内容は、ワン・トゥ・ワン・マーケティングの記事も参考にしてみてください。