働きアリの法則(2-6-2の法則)とは?
働きアリの法則とは、
- よく働く20%のアリが食料の80%を調達している
- 働かないアリが全体の20%を占めている
- 働かないアリを取り除いたら新しい全体の20%が働かなくなる
- 取り除いた働かないアリはその後20%60%20%に別れてしまう
- よく働くアリを取り除いたら新しい全体の20%がよく働くようになる
- 取り除いたよく働くアリはその後20%60%20%に別れてしまう
というような法則で、パレートの法則から派生した考え方と言われています。
働きアリの法則は人事や組織論において、
- 優秀な人材(上位2割)だけを集めても高いパフォーマンスを維持できない
- 働かない人材(下位2割)の首を切ってもまた全体の2割が働かなくなる
などのたとえ話として取り上げられることがよくあります。
しかし実際はどうかと言うと、ネット動画配信大手の「Netflix(ネットフリックス)」が過去に行ったリストラのように、働かない3割の社員の首を切ったことで会社の業績が持ち直すケースがあります。(下記書籍を参照)
EXTREME TEAMS(エクストリーム・チームズ)— アップル、グーグルに続く次世代最先端企業の成功の秘訣
他にも企業の特命プロジェクトとして結成された社内の少数精鋭を集めたチームは、多くの場合に各メンバーが重要な役割を果たし、通常の社員よりも高いパフォーマンスを維持することができます。
このように働きアリの法則は、必ずしも有効なわけではありません。
その理由は「本来の意味」での働きアリの法則にあります。
実際の働きアリの法則
本来の生物学としての働きアリの法則は、
- よく働くアリが疲れてペースを落とすと普通に働くアリがよく働くアリになる
- 普通に働くアリが疲れて働かなくなると働かなかったアリが働くようになる
ということが、北海道大学の長谷川教授の研究でわかっています。
つまり、
- 全てのアリが「よく働くアリ」であり「働かないアリ」でもある
- 全てのアリが適度に休めるので20%の「よく働くアリ」をずっと維持できる
ということで、一定の高いパフォーマンスを維持し続けるための効率的なシステムということがわかります。(一方で、本当に全く働かない「フリーライダー」に属するアリも少数存在しています。また別の研究では働きアリの割合が異なるので、諸説あるようです。)
この本来の意味での働きアリの法則から組織論を見てみると、
- 持続的な組織運営には従業員の負荷が分散する仕組みが不可欠
- すぐに動ける予備人員の存在を軽視してはいけない
- 優秀な人材が燃え尽きないためには組織レベルの仕組みづくりが重要
などが考えられます。
…と、ここまでくるとパレートの法則から話がだいぶ遠ざかってしまいました。
しかし働きアリの法則では、単純にパレートの法則として80対20で構成されているだけでなく、組織論としてより深いヒントが得られそうです。