顧客ロイヤリティとは?リピーター・プロモーター・ファンの違いと指標

ロイヤリティ

顧客ロイヤリティの種類と構造

ここからは顧客ロイヤリティの種類と、その構造について解説します。

「顧客ロイヤリティ」という言葉は、

  • 企業ロイヤリティ
  • 製品/サービス・ロイヤリティ
  • ストア・ロイヤリティ
  • 個人ロイヤリティ
  • ブランド・ロイヤリティ

などの様々なタイプのロイヤリティを総称したものです。

つまり顧客ロイヤリティには色々あるけど、すべてひっくるめて「顧客ロイヤリティ」と呼んでいるということです。

先ほど挙げた5つのタイプの顧客ロイヤリティですが、それぞれの関係性を図解すると下図のようになります。

顧客ロイヤリティの構造

これらの顧客ロイヤリティは、顧客の忠誠心が向かう対象を表していますが、すべてに横断して存在しているのが「ブランド・ロイヤリティ」になります。

ここからはそれぞれのロイヤリティについて詳しく説明します。

企業ロイヤリティ

企業ロイヤリティとは、企業や組織そのものに対する忠誠心や、その組織を表すブランドに対する忠誠心のことです。

企業ロイヤリティ

企業ロイヤリティは、「トヨタ自動車株式会社」や「Apple Inc」などの会社そのものに対するロイヤリティです。その企業が提供している製品やサービスだけでなく、社会貢献活動や社会的な姿勢、職場環境も含めて広く影響を及ぼすロイヤリティです。

そして企業のブランド・ロイヤリティは、企業ブランドに対するロイヤリティであり、様々な製品やサービスブランドを統合するブランドロイヤリティです。

例えば、「Google」という会社自体についてはよくわからないが、「Google」が新しいサービスをリリースしたらとりあえず使う、という人が居たとしたら、

  • Googleの企業ロイヤリティは低い
  • Googleの企業ブランドのロイヤリティは高い

ということになります。

製品/サービス・ロイヤリティ

製品/サービス・ロイヤリティとは、特定の製品やサービスに対するロイヤリティや、製品やサービスブランドに対するロイヤリティのことです。

製品/サービス・ロイヤリティ

製品/サービス・ロイヤリティは、ある特定の製品やサービスに対するロイヤリティのことです。そして製品/サービスのブランド・ロイヤリティは、製品ブランドやサービスブランドの対するロイヤリティのことです。

例えば、Apple社の「MacBook Pro」というノートパソコンは新しいものが出るたびに買い換えるが、他のノートパソコンを含む「MacBook」シリーズには興味がない、という人がいれば、

  • MacBook Pro に対する製品ロイヤリティは高い
  • MacBookシリーズの製品ブランド・ロイヤリティは低い

ということになります。

この「製品」に対するロイヤリティなのか「製品ブランド」に対するロイヤリティなのかは、マーケティング活動をする上で区別することが重要です。もし区別しなければ、製品のライナップを広げても既存顧客が買ってくれない、ということが起こる可能性があるからです。

ストア・ロイヤリティ

ストア・ロイヤリティとは、サービス・ロイヤリティの一種ですが、特定の店舗に対するロイヤリティを指します。「店舗ロイヤリティ」とも呼ばれます。

ストア・ロイヤリティ

ストアロイヤリティとして一番わかりやすいのは、同じチェーン店でも店舗によって好き嫌いが別れてしまう場合などです。

例えば、ある顧客の生活圏に、

  • マクドナルド 〇〇駅前店
  • マクドナルド 〇△店

の2店舗があったとして、その顧客が「〇〇駅前店」ばかり利用してしまうのであれば、

  • マクドナルド 〇〇駅前店に対するストアロイヤリティが高い

と言えます。

皆さんも「あそこのコンビニは店の雰囲気が…」とか「あのレストランはスタッフの接客が…」などと、同じサービス内容で同じ商品を取り扱っているにも関わらず、特定の店舗を敬遠した経験はないでしょうか?

これは店舗ごとの微妙な違いによって、ストアロイヤリティの差が生まれてしまったことが原因です。

一方で、ストアブランドに対するロイヤリティは、製品/サービス・ロイヤリティと考え方が近く、同じ看板を掲げた店舗であれば、同じロイヤルティが働く状態を指します。

例えば、日本にいても海外の旅行先でも「スターバックス」の看板が出ていれば、とりあえず入ってしまう顧客がいれば、その顧客のストアブランドのロイヤリティが高いと判断することができます。

個人ロイヤリティ

個人ロイヤリティとは、個人そのものに対するロイヤリティや、個人に強く紐づいたブランドに対するロイヤリティのことです。

個人ロイヤリティは、メディアが発展するに従って重要性を増してきました。しかしインターネットが普及した近年では、誰もが個人で情報発信できるようになり、個人ロイヤリティの重要性がより一層増しています。

個人ロイヤリティ

個人ロイヤリティとは、著名人や芸能人、政治家やアーティスト、ブロガーやユーチューバーなどに対するロイヤリティのことです。

例えば、ある著名人が出版した書籍、出演するテレビ番組、登壇するイベントなどすべてに対して興味を示す顧客がいれば、その著名人個人に対する個人ロイヤリティが高いと言えます。

しかし、その著名人の著書にしか興味がない顧客は、作家としての個人ブランド・ロイヤリティが高く、個人ロイヤリティそのものは高くないと考えることができます。

他にも、ある視聴者が特定の芸能タレントが出演するバラエティ番組はすべてチェックするものの、その芸能タレントが役者として出演する映画をわざわざ観に行かないというのであれば、

  • バラエティタレントとしての個人ブランドロイヤリティが高い
  • 役者としての個人ブランドロイヤリティが低い

と考えられます。

補足

顧客ロイヤリティを「心理ロイヤリティ」と「行動ロイヤリティ」に分ける考え方もあるようです。ただ、英語で「Psychological Loyalty」などで検索してみても文献は見つけられなかったので、学術的な分類であるかどうか不明です。

おそらくですが「心理ロイヤリティ」「行動ロイヤリティ」の出典はこちらの書籍なのかと思います。

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もし今後、「心理ロイヤリティ」「行動ロイヤリティ」についての学術的な論文などが見つかれば紹介しますが、現時点では説明を割愛します。

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