顧客満足度(CS)を上げる5つの要素と調査・評価方法を具体例で解説

顧客満足度

顧客満足度を改善するための施策

アンケートで顧客満足度と重要度を集計することができれば、満足度インパクト分析の表を作ることができます。そしてその散布図の分布から改善のための施策を考えることができます。

下図は先ほどもご紹介した満足度インパクト分析の散布図ですが、架空のレストラン特定の顧客層に関するアンケート調査結果が入力されています。

満足度インパクト分析

この散布図(右側のグラフ)は、アンケートの質問の「どちらでもない (3)」を中心として4つのエリアに区切ることで対応策を考えることができます。

4つのエリアに区切った散布図を抜き出したものがこちらです。

満足度インパクト分析の4象限

エリアは、

  • 対応済エリア:重要度も高く満足度も高い
  • 要対応エリア:重要度が高いのに満足度が低い
  • 要調整エリア:重要度が低いのに満足度が高い
  • 後対応エリア:重要度も満足度も低い

の4つに分かれます。

対応済の分析と施策

対応済エリアは、

  • 顧客が重要だと思っている
  • 顧客がサービス品質に満足している

という状態です。

分析例では、

  • Q1(信頼性):提供された料理の味
  • Q3(対応性):スタッフの対応

の2項目が該当しています。

これらの項目は決定要素としても優先度の高い「信頼性」と「対応性」であり、満足度が高いことはサービス品質に良い影響を与えていることがわかります。

対応済エリアに対する施策は、

  • 顧客満足度が低下しないように維持する仕組みを作る
  • 改善の施策が過剰投資にならないように気をつける

です。

業界内でダントツを目指している項目なら別ですが、すでに十分な満足度を得られている事柄に時間やお金をかけすぎることは、本来改善すべき別の事柄から経営資源を奪うことになってしまいます。

そのため対応済エリアの項目は状態の維持を最優先として、余力は次に紹介する「要対応」のために使いましょう。

要対応の分析と施策

要対応エリアは、

  • 顧客が重要だと思っている
  • 顧客がサービス品質に不満がある

という状態です。

分析例では、

  • Q2(信頼性):料理の提供時間の早さ
  • Q8(有形物):店内の清潔感

の2項目が該当しています。

これらの項目は顧客が重要だと感じているため、満足度が低ければサービス品質の評価に対しても大きな影響があります。そのため要対応エリアの項目には、早急に手を打たなければなりません。

分析例では、顧客は料理が提供される早さが重要だと感じており、現在の状況には満足していないということになります。そのためオペレーションの見直しや、提供までに時間のかかるメニューの再検討が必要になります。

また店内の清潔感もターゲットの顧客にとって重要なようなので、こちらも作業内容や店内のレイアウトなどの検討が必要になります。

この要対応エリアの一般的な施策は、

  • 対応済エリアや要調整エリアに割かれている経営資源を投入する
  • 顧客が変化を認識しやすい箇所から対応する

ということです。

満足度インパクト分析の本質は、

  • 経営資源の再配分によって顧客満足度を高める

ことにあるので、単純に追加の予算を消費するのではなく、過剰な場所から不足している場所に再配分して最適化を行うことが重要です。

要調整の分析と施策

要調整エリアは、

  • 顧客が重要だと思っていない
  • 顧客がサービス品質に満足している

という状態です。

分析例では、

  • Q4(安心感):安心安全な食材への取り組み
  • Q5(感情移入):メニューのラインナップ

の2項目が該当しています。

この要調整エリアにある項目については、価値の提供が過剰である可能性があります。もちろん顧客に満足してもらえることは良いことですが、顧客の満足度が頭打ちになっている状態でも手間暇をかけてしまうと、全てが顧客に伝わらないこともあります。

例えば分析例の「安心安全な食材への取り組み」について顧客は満足していますが、そこまで重要とも感じていないことがわかります。飲食店にとっては食品が安心安全なことは大前提ですし、当然ながら手を抜くべき箇所ではありません。しかし顧客の期待と売り手側の品質レベルには大きな差が存在していることも理解することが必要です。

また「メニューのラインナップ」に関しては、重要度が低いということは顧客がそこまでメニューの種類を求めていないのかもしれません。ましてやこれが先ほどの重要性が高い「料理の提供時間の早さ」に悪い影響を与えているのであれば、メニューの見直しは必至です。

一般的にこの要調整エリアの項目については、

  • 過剰な経営資源の再分配
  • ターゲット顧客の見直し

などが施策として考えられます。

要調整エリアの見直しで得られた余力は、まず第一に要対応エリアの項目に振り分ける必要があります。

また「ターゲット顧客のニーズとマッチしていないのでは?」ということも疑ったほうが良いかもしれません。顧客が重要と感じないことに対して、過剰な労力が払われているのであれば、アプローチすべき顧客自体が間違っている可能性もあります。

後対応の分析と施策

要調整エリアは、

  • 顧客が重要だと思っていない
  • 顧客がサービス品質に満足していない

という状態です。

分析例では、

  • Q6(感情移入):店舗の営業時間
  • Q7(有形物):メニュー表のわかりやすさ

の2項目が該当しています。

これらは最も後回しにするべき項目です。

満足度が低いからといって、慌てて対応すると限られた経営資源を無駄にしてしまうかもしれません。それよりもまずは「要対応エリア」を優先して改善する必要があります。

しかし顧客が「当たり前」と思っていることにはビジネスチャンスが眠っていることもあります。

当たり前」であるからこそ重要とは考えず、満足できなくて「当たり前」と考えているものも、不満を解決することで顧客に新しい価値を提供できることがあります。

例えば分析例の「店舗の営業時間」で考えると、そのお店が早朝に開いていないのは顧客にとって「当たり前」ですが、ひょっとしたら早朝から店を開けて朝食メニューを提供したらターゲット顧客の顧客満足度が向上するかもしれません。そしてそれが顧客にとって重要な要素になる可能性だってあります。

このように顧客のニーズだけでなく、プロダクトアウトの考えでサービスや製品を提供してみることも、当たらなビジネスチャンスを見つけるキッカケになります。

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