システム思考のループ図:共存する拡張ループと均衡ループ
ここまでの、
- 拡張ループ:永遠に強化され続けるループ
- 均衡ループ:バランスを取ろうとするループ
を1つのループ図として見てみましょう。
「拡張ループ」と「均衡ループ」が同じループ図の中に共存していることがわかります。
この結果、
- 合格者が多ければ生徒数が増え、生徒数が増えれば合格者が多くなる
- 合格者が少なければ生徒数が減り、生徒数が減れば合格者が少なくなる
ということは起こらなくなります。
なぜなら、勉強しない生徒が増えて、合格者の伸びが頭打ちになってくるからです。
つまり、
- 永遠に生徒数が増え続ける予備校
- 永遠に生徒数が減って潰れる予備校
というケースは発生しなくなります。
システム思考を経営課題の解決に活かす
しかし、もしあなたが予備校の経営者なら、合格者や生徒数の増加が頭打ちになるのは大問題です。
会社経営は、ライバル企業との競争でもあります。上記のように事業が停滞すれば、ライバルに顧客を奪われ、会社の存続に影響が出ます。
会社の存続に影響が出れば、従業員とその家族を路頭に迷わせてしまうかもしれません。
だからこそ「勉強しない生徒のせいで、新規の入学者が減って、売り上げも減ってしまう」という問題は、経営者として解決する必要があります。
では、もう一度先程の図を眺めてみましょう。
ここでは「勉強しない生徒」という存在が、予備校の事業成長の妨げになっています。
予備校としては「なかなか生徒が増えなくなった」という問題を抱えている状態です。
当然ですが、
- 広告宣伝をたくさんする
という施策は何の解決にもならないことがわかるかと思います。(新規の生徒が増えても、勉強しない生徒がさらに増えるので、結局均衡から抜け出すことはできません。)
ここで最後の質問です。
だいぞう
まずは、あなたのノートに先程のループ図を書いてみましょう。
問題は「勉強しない生徒数」ということはわかっているので、これを解決するループを色々と書き加えてみてください。
どうでしょうか? 良いアイデアが思いついたでしょうか?
…ということで、今回の記事はここまで。
正解が用意されていないことにモヤモヤする人も多いかと思いますが、会社経営とは答えのない意思決定を続けることでもあります。
今回の記事で「システム思考」の存在を知ったあなたは、他の人よりも一歩も二歩も有利になったはず。
何か問題に直面した時には、「システム思考」を思い出してループ図として書き出してみてください。
そうすれば解決の糸口が見つかるかも!
関連書籍
最後に書籍をご紹介しておきます。
まずは初心者におすすめな、コミック版「ザ・ゴール2」。
目の前のトラブルを、因果関係を紐解きながら解決していく内容になっています。漫画なのでスラスラ読めます。
そして冒頭でも紹介した、ピーター・センゲ教授の「学習する組織」は、中上級者向けの少し難しい本です。
会社経営において、複雑な問題を理解するための深い洞察が得られます。
もし「システム思考」に興味が湧いてきたら、上記の本を読んでみてくださいね!