システム思考とは?ループ図を使った事例でわかりやすく解説【初心者向け】

システム思考

余談ですが、筆者とシステム思考の出会いはビジネススクール(大学院)でした。ビジネスで直面する課題を「因果関係図」や「ループ図」を使って解き明かす授業があり、目から鱗の思いで取り組んだことを覚えています。

それからシステム思考への思いをこじらせて、「システム思考で事業戦略のメカニズムを解き明かそう!」と研究に励んだのが下記の修士論文です。(とはいえ、アカデミックな内容ではないので悪しからず。)


参考
日本における社会人向け教育事業の情報技術戦略慶應義塾大学学術情報リポジトリ(KOARA)

ということで、以降の事例は筆者の修士論文からも引用しつつ解説します。

システム思考のループ図:合格者と生徒数のメカニズム

ここでは資格予備校を事例に挙げて解説します。

資格予備校というのは、中小企業診断士とか税理士とか宅建とか、資格勉強をするために主に社会人が通う学校のような場所。

TACとか資格の大原とか、よく駅前で見かけますよね。最近だとオンラインで授業を受けられるコースも増えてきました。

そんな資格予備校ですが、

  • 合格者が多い資格予備校ほど生徒が集まる

という傾向があります。

そんなの当たり前じゃないですか。誰でもわかりますよ。

…ですよね。みなさん、そう思われるはずです。

だって合格する人が少ない予備校にわざわざお金を払って通わないですもんね。

では、「合格者」と「生徒数」という要素がわかっているので、ループ図に落とし込んでみましょう。

合格者と生徒数

ループ図では、上記のように要素を矢印でつなぐことで描きます。

ループ図:合格者から生徒数に伸びる矢印

まずは合格者から生徒数に伸びる矢印について考えてみましょう。

合格者が多くなるほど生徒数が増える

合格者と生徒数は、因果関係を持ちます。

因果関係とは、「ある出来事が直接的に別の出来事を引き起こす関係」のことです。詳しくは、以下の記事も参照ください。

ここでの矢印は、

  • 「合格者」が多くなるほど「生徒数」が増える
  • 「合格者」が少なくなるほど「生徒数」が減る

という2つのパターンが存在することを表しています。

例えば、毎年100名の合格者を輩出している予備校と、毎年500名の合格者を輩出している予備校があったら、どちらの予備校が新規に入学する生徒が多そうでしょうか?

おそらく後者の500名の合格者を輩出している予備校の方に、より多くの生徒が集まるはずです。合格者の多い予備校に通うことで「自分も合格者のひとりになれそうだ!」と思いますもんね。

つぎに、生徒数から合格者に伸びる逆の矢印について考えてみましょう。

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