だいぞう
「規模の経済」「範囲の経済」「経験曲線効果」の違いは、
- 規模の経済:同じ設備でたくさん作ると製品1つあたりのコストが下がる
- 範囲の経済:複数の製品を1つの会社が作ればコストが下がる
- 経験曲線効果:同じ作業を何度も繰り返すと上手くなってコストが下がる
です。どの考え方もコストが下がります。
そして、この3つの効果が同時に起こった場合は、以下のようなグラフになります。
ここでは「規模の経済」「範囲の経済」「経験曲線効果」の違いについて、わかりやすく説明します。
規模の経済・範囲の経済・経験曲線効果の違い
規模の経済、範囲の経済、経験曲線効果を一言で表すと、
- 規模の経済:一度にたくさん作ることによるスケールメリット
- 範囲の経済:一つの会社が様々なものを作ることによるコスト削減効果
- 経験曲線効果:同じものをたくさん作ることによる効率化
となります。
特にややこしいのが「規模の経済」と「経験曲線効果」の違いです。
この二つを対比すると、こちらのようになります。
規模の経済 | 経験曲線効果 |
一度にたくさん作る | ずっと同じものを作る |
製品1つあたりの固定費が低下 | 作業に慣れて効率よく作れる |
同じタイミングでまとめて生産 | 作り続けてノウハウ蓄積 |
なんとなくイメージがつかめたでしょうか?
ここからは図とグラフを交えて、それぞれについてより詳しく見ていきましょう。
規模の経済
規模の経済(Economies of scale、エコノミーズ・オブ・スケール)とは、たくさん生産すると製品1個あたりの固定費がどんどん減っていく現象のことです。「規模の経済性」とも呼ばれます。
製品を作る時の費用は、
- 変動費:製品の原材料費など製品を1個作るごとに毎回必要な費用
- 固定費:機械設備など製品を作る際に使いまわせるものの費用
です。そしてこの2つを足したものを「費用」と呼ぶことにします。
ここでは15円で買える生産設備(固定費)に、1円の原材料(変動費)を投入すれば、1個の製品が作れるとします。まずは5個だけ生産してみましょう。
その結果、5個の製品が完成して、生産に必要な1個あたりの費用は4円になりました。
次は15個作ってみましょう。
その結果、15個の製品が完成しました。この時固定費は15個の製品に分割されるので、生産に必要な1個あたりの費用が2円まで下がりました。
これは5つだけ作った時に比べて半額です。この効果を「規模の経済」と呼びます。
グラフで表すと下記のようになります。
生産量を Q1 から Q2 まで引き上げることで、固定費が分割されて製品1つあたりの費用が C1 から C2 まで下がりました。
ちなみに作りすぎると逆にコストが増える場合もあり、「規模の不経済」と呼ばれます。規模の不経済についてはこちらの記事も参考にしてください。