だいぞう
- 生産の規模が大きくなればなるほど製品1つあたりの平均コストが下がる状況
のことです。
「規模の経済性」とも呼ばれ、平均コストが下がるメリットのことを「スケールメリット」と呼びます。逆に、規模が拡大するほど平均コストが上がってしまう状況を表す「規模の不経済」という言葉も存在します。
経営学や経済学を勉強していると、必ず出てくるのが「規模の経済」(と「規模の不経済」)ですよね。
規模の経済(Economies of scale)とはミクロ経済学の考え方で、製品の生産量が増えれば増えるほど、製品1つあたりの平均費用が下がる状態のことです。これを「費用逓減(ひようていげん)」と呼びます。
ここでは具体例で際にどのように固定費が減るのか説明したいと思います。
規模の経済の具体例:お菓子工場
規模の経済性の説明では、
- 固定費が減る
という表現を聞くことがあると思いますが、実際に固定費そのものが減るわけではありません。
製品1つあたりの固定費がどんどん下がることで、製品一つあたりの平均費用が下がります。
費用は「変動費」と「固定費」で構成されています。
- 変動費:原材料費、光熱費など生産すればするほど増える費用です。
- 固定費:土地、機械、設備など生産してもしなくても発生する費用です。
変動費と固定費を足すと総費用になります。
- 変動費 + 固定費 = 総費用
そして総費用を生産した個数で割れば、製品1つあたりの平均費用になります。
- 総費用 ÷ 生産量 = 平均費用
例えば、お菓子を生産するとします。
- お菓子を生産する機械:1台 100万円 → 固定費
- お菓子の材料費:1個あたり10円 → 変動費
お菓子を1個しか生産しない場合の平均費用は下記のとおり。
- 変動費 10円 + 固定費 1,000,000円 = 総費用 1,000,010円
- 総費用 1,000,010円 ÷ 生産量 1個 = 平均費用 1,000,010円
この場合のお菓子1個あたりの平均費用は 1,000,010円 です。1個100万10円以上で売らなければ赤字になってしまいます。
だいぞう
次にお菓子を1ヶ月で1万個生産したとします。1万個作る場合の変動費は、10円 × 10,000個 = 100,000円になります。
- 変動費 100,000円 + 固定費 1,000,000円 = 総費用 1,100,000円
- 総費用 1,100,000円 ÷ 生産量 10,000個 = 平均費用 110円
この場合、1個だと100万円を超えた平均費用が 110円まで下がりました。誰でも買えそうな値段です。
だいぞう
さらに生産量を上げて、お菓子を10万個生産したとします。10万個作る場合の変動費は、10円 × 100,000個 = 1,000,000円になります。
- 変動費 1,000,000円 + 固定費 1,000,000円 = 総費用 2,000,000円
- 総費用 2,000,000円 ÷ 生産量 100,000個 = 平均費用 20円
1個あたりの平均費用が 110円から 20円に下がりました。安売りしてもちゃんと利益が出せそうです。これは「規模の経済」が効いていると言えそうですね。
だいぞう
しかしたくさん生産すると機械が故障したり、部品を交換したりしなければなりません。
そのため永遠に生産量は下がり続けるわけではなく、ある時点から1個あたりの平均費用が上がる場合があることに注意してください。
つまり、平均費用が上がる状況に転じた場合を「規模の不経済(ふけいざい)」と呼びます。詳しくは、後ほどデメリットと一緒に説明します。