バリューチェーン分析の具体例:寿司業界
バリューチェーン分析は、
同じ業界にいるのに、なんで競合はあんなに儲かってるんだろう…?
という時などに使えます。
バリューチェーン分析では、
- 業界の標準的なバリューチェーン
- 自社のバリューチェーン
- 競合他社のバリューチェーン
を比較することで、どんな活動が価値を生み出すのに重要なのかを分析します。
バリューチェーン分析では、先ほどの基本形の図とは違って、五角形の図形の連結で価値連鎖が表現されることが一般的です。
ここでは寿司屋の業界で事例を挙げてみます。
このように比較してみると、
- どの活動が価格を上げることのできる活動なのか
- どの活動がコストを下げることのできる活動なのか
- 顧客にとって重要な価値はどの活動で生まれているのか
を知ることができます。
さらに例を「回転寿司」の業態に絞って分析してみます。
先ほどの業態ごとの比較より、さらに違いがわかりやすくなりました。このバリューチェンの図は、さらに細かく分けたり、支援活動も加えたりすることで理解が深まります。
バリューチェーン分析で出来ること出来ないこと
- 業界や業態の一般的な価値の作り方を知ること
- 競合他社と価値の生まれ方を比較すること
- 強化すべき活動を見つけること
- 内部環境の分析
- 重要な活動を他社が真似できるかどうかを判断すること
- 儲かる顧客層や業態を知ること
- 外部環境の分析
バリューチェーン分析では、商品やサービスの価値が生まれる活動を比較して、特定することができます。その業界や業態の一般的な価値の作り方を知ることで、自社の独自性を理解することができます。
また競合他社の価値の作り方を理解すれば、他社の優位性や弱点を知ることができます。それらを踏まえて、自社はどのような活動に投資をするべきか、あるいは経営資源を減らすべきか分析します。
一方でそれらの活動を他社が真似できるかどうかまでは、判断することができません。競合他社に簡単に真似をされてしまったら、せっかく活動を特定しても多少の時間稼ぎにしかなりません。
特定した活動に関連する経営資源が、強みなのかどうかはVRIO分析で知ることができます。
また、先ほどの寿司屋のバリューチェーンの比較では、ターゲット顧客がそれぞれ違うことがわかったと思います。
しかしバリューチェン分析自体は、どの顧客をターゲットにすれば儲かるのかは分析できません。業態についても、どの業態で参入すべきなのかも分析できません。
この問題については、同じポーター教授のファイブフォース分析などを活用することができます。
次のページからは、実際に会社の研修や学校のグループワークでバリューチェーン分析を行う手順を説明します。