VRIO分析フローチャートの使い方:無料テンプレートあり

VRIO分析とは、自社の経営資源を「強み」なのか「弱み」なのか判断するための分析フレームワークです。経済価値・希少性・模倣困難性・組織の4つの質問から、「強み」を3つのレベルに分類することができます。

VRIO分析フローチャート

VRIO分析のフローチャートの使い方は、

  1. 分析対象になる経営資源を決める
  2. 経済価値の問いに答える
  3. 希少性の問いに答える
  4. 模倣困難性の問いに答える
  5. 組織の問いに答える

です。

ここでは上記手順を具体例をあげながら解説します。またVRIO分析用テンプレート(パワーポイント形式、登録不要)も無料でダウンロード可能です。

VRIO分析の意味と役割

VRIO分析は、会社の経営資源が戦略に活かせるかどうか判断するために行います。

会社の経営資源が「強み」であれば、積極的に戦略に組み込むことができます。逆に「弱み」であれば、戦略に使うことはできず、弱点にならないように気をつけなければなりません。

バーニー教授のVRIO分析の表は、下記のものです。

VRIO分析の表

しかし、少しわかりにくいので、ここではこちらのフローチャートを使って分析します。

VRIO分析フローチャート

表もフローチャートも内容はほぼ同じです。

より詳しい内容については、こちらの記事をご覧ください。

VRIO分析とは?経済価値・希少性・模倣困難性・組織の質問と事例

VRIO分析で出来ること出来ないこと

出来ること
  • 会社の経営資源が戦略に使えるかどうか判断する
  • 特定の瞬間をとらえて分析する
出来ないこと
  • 外部環境をよく理解していない状態で分析を始める
  • 業界環境の変化をとらえて分析する

VRIO分析の1問目で「機会」と「脅威」を問われるので、事前に外部環境の分析を行っておく必要があります。その企業にとって「機会」と「脅威」が何なのかが明確であれば、VRIO分析の結果で理解が深まります。

その機会と脅威を知るためには、ファイブフォース分析、PEST分析、SWOT分析などが役立ちます。

ファイブフォース分析とは?ポーターの5つの競争要因の例PEST分析とは?読み方とその目的:政治・経済・社会・技術で外部環境を分析SWOT分析とは?意味と読み方:自社の強み・弱み・機会・脅威を知る方法

また、ある特定の瞬間をとらえた分析になるため、時間の経過と共に経営資源に変化があれば結果も変わります。

VRIO分析の手順

VRIO分析の表とフローチャートは、こちらからダウンロードできます。登録不要でご利用いただけます(メールアドレスなど不要)。

VRIO分析用テンプレート(無料:パワーポイント形式)

ステップ1
分析対象になる経営資源を決める

そもそも何のためにVRIO分析をするのか考えてみましょう。

  • 戦略を考えるために自社の「強み」がどんな経営資源なのか洗い出す
  • 現時点で自社にとって重要な経営資源が現在も「強み」であるか確認する

多くの場合は、これらのことが分析をする理由になると思います。ここでは後者の方で、説明を進めます。まずは現在の柱となっている事業で最も重要な経営資源を1つ挙げてください。

ステップ2
経済価値の問いに答える

ここからフローチャートが始まります。

VRIO分析フローチャート

このフローチャートを手元に用意して、一つずつ答えていきましょう。

最初の経済価値の問いは、

  • 「その経営資源は機会や脅威に適応できるか?」

です。

機会や脅威はファイブフォース分析やPEST分析で、事前に洗い出しておきましょう。

ステップ1で挙げた経営資源は、いま存在している機会に対して活用できるでしょうか? あるいは迫り来る脅威を無効化したり緩和したりすることに活用できるでしょうか?

  • 答えが「YES」なら次の問いへ
  • 答えが「NO」であれば「弱み」

ここで「NO」と答えると、その経営資源は経済価値が無い「弱み」ということになります。事業の弱点になりかねないため、すぐに手当てを考えましょう。

ステップ3
希少性の問いに答える

次の問いは希少性についてです。

  • 「どれくらい多くの競合がその経営資源を持っているか?」

ということで考えてみましょう。ここでは競合他社の情報がなければ問いに答えることはできません。

  • 答えが「YES」なら次の問いへ
  • 答えが「NO」であれば「普通の強み(強みレベル1)」

ここで「NO」と答えると、その経営資源は機会と脅威に適応できるものの、特別珍しいものではないため「普通の強み」ということになります。無いよりはあったほうが良いですが、他社を出し抜くほどの強みではありません。

ステップ4
模倣困難性の問いに答える

次は模様困難性について、

  • 「同じ経営資源を他社が得るために多くのコストがかかるのか?」

という問いです。それが例え自分たちだけの強みだったとしても、すぐに真似をされると優位性も一時的なものになります。

模倣困難性は、

  • 時間圧縮の不経済
  • 経路依存性
  • 因果関係不明性
  • 社会的複雑性
  • 特許

などの要因が影響しています。

より詳しい説明は、こちらの記事をご覧ください。

模倣困難性とは?ライバルに真似されない5つの要因
  • 答えが「YES」なら次の問いへ
  • 答えが「NO」であれば「独自の強み(強みレベル2)」

ここで「NO」と答えると、その経営資源は他社が多少のコストをかけるだけで得ることができるので、一時的な「独自の強み」と言えます。真似はされやすいものの、まだ真似をされていないので一時的に他社より有利な状況が得られます。

ステップ5
組織の問いに答える

最後は組織について、

  • 「その経営資源を戦略にフル活用できる組織なのか?」

という問いです。いくら素晴らしい経営資源が手元にあっても、組織としてそれを活用できなければ宝の持ち腐れです。

  • 答えが「YES」なら「持続的な独自の強み(強みレベル3)」
  • 答えが「NO」であれば活用段階に合わせて「弱み」「普通の強み(強みレベル1)」「独自の強み(強みレベル2)」

ここで「NO」と答えると、その経営資源自体は強みであるものの、それを活用できない組織が「弱み」であると言えます。

強みが活かせないわけではないですが、強みの本来の力は発揮されません。この場合には、組織の改善を早急に行う必要があります。

一方で「YES」と答えた場合は、その経営資源は持続性のある独自の強みです。大きな環境の変化がない限りは、持続的に活かせる強みと判断できます。

短所とうまく分析するコツ

このフレームワークの短所としては、

  • そもそも分析対象の経営資源をどうやって選ぶか悩む
  • 1問目に答えるためにPEST分析やSWOT分析をする必要がある
  • 2問目で他社が同じ経営資源を持っているかどうかの情報が手に入りにくい
  • 経営資源の「組織資本」を判断する場合に4つ目の問いが成立しない
  • SWOT分析の「強み」「弱み」と意味が違うのでややこしい

などです。

経営資源は様々なものが存在しているので、どれを分析にかけるかは悩みどころです。コツとしては、現在の戦略で「重要」と認識されている経営資源を、優先的に分析することです。「自社の強み」と思っていても、環境の変化で「弱み」になっていることがあります。

1問目に正確に答えるためには、外部環境の分析が不可欠です。前述したように、VRIO分析を始める前に下準備として、ファイブフォース分析やPEST分析を行なって外部環境を洗い出し、SWOT分析で「機会」と「脅威」に分類しておきましょう。

2問目ですが、競合他社がどうなのかを知る必要があります。業界内の噂やネットワークで、ある程度は把握できるかもしれませんが正確な情報は手に入りにくいと思います。わからない部分は推測で進めるしかありません。

4問目ですが、経営資源の「組織資本」については答えにくいと思います。組織資本に限らず、組織構造などが強く関わる経営資源については、3つ目の模倣困難性の問いまでで十分に判断可能です。

一番ややこしいのは、SWOT分析の「強み」「弱み」とは意味が違うということです。戦略について話し合う場面で、どちらの分析の意味で「強み」「弱み」と言っているのか誤解を招かないように区別しましょう。

以上のコツをまとめると、

  • 現在「重要」な経営資源と認識されているものから分析する
  • 事前にファイブフォース分析・PEST分析・SWOT分析を行なっておく
  • 経営資源の「組織資本」については3問目で終了する
  • 「SWOT分析の強み・弱み」と「VRIO分析の強み・弱み」は別物として考える

となります。なかなか難易度の高い分析方法なので、十分に下準備を行いましょう。

無料テンプレートのダウンロード

VRIO分析の表とフローチャートは、こちらからダウンロードできます。登録不要でご利用いただけます(メールアドレスなど不要)。

VRIO分析用テンプレート(無料:パワーポイント形式)

  • VRIO分析の表
  • VRIO分析用フローチャート

が収録されています。