VRIO分析とは?やり方と具体例をフレームワークでわかりやすく図解

VRIO分析の4つの問いと具体例

ここからはそれぞれの「問い」とその答えについて、具体的な例を挙げながら詳しくみていきましょう。

経済価値への問い

まず最初に引っかかるのが「経済価値」です。

…そもそも「経済価値」って何?

金額に換算したりするの?

という疑問がわいてくるのではないでしょうか。

実は経済価値といっても、金額換算などしません。

VRIO分析では「機会をうまくとらえることができる経営資源」や「脅威を無力化することができる経営資源」のことを、「経済価値のある経営資源」と呼びます。

つまり、

  • 顧客や社会にとっての価値

ではなく、

  • その会社にとってその経営資源を戦略に組み込む価値

があるかどうかを考えます。

ということでここでの問いは、

  • その経営資源は機会や脅威に適応できるか? → YES or NO

です。

例えばその会社に「ヒアリングから顧客の課題を解決する提案力」という経営資源がある場合、

  • 顧客の課題が多様化しているという機会

があれば提案力で対応できます。つまり経済価値があります。

  • 安価でシンプルな商品・サービスが普及してきているという脅威

が迫っていれば、顧客の課題を個別に解決する付加価値で対応できます。こちらも経済価値があると言えます。

この問いで経済価値があれば次の問いに進み、経済価値がなければ「弱み」になります。この弱みを厳密に言うと「競争劣位で標準を下回る経営資源」です。ライバルとは勝負にならず、どうにかしなければならない「弱み」と言えます。

希少性への問い

ここでの問いは、

  • どれくらい多くの競合がその経営資源を持っているか?→ YES or NO

です。

「ヒアリングから顧客の課題を解決する提案力」という経営資源の場合、多くのライバル会社も同じように提案しているのなら「NO」、他がやっていないなら「YES」です。

この問いで「YES」であれば次の問いに進み、「NO」であればレベル1の強みになります。このレベル1「普通の強み」を厳密に言うと「競争均衡で標準の経営資源」です。ライバルとは競り合えるけど、ありふれた強みと言えます。

模倣困難性への問い

ここでの問いは、

  • 同じ経営資源を他社が得るために多くのコストがかかるのか?→ YES or NO

です。

「ヒアリングから顧客の課題を解決する提案力」という経営資源の場合、例えば営業担当者を育てたりノウハウを得たりするのに時間とお金がたくさんかかる場合は「YES」、そうでない場合は「NO」です。

この問いで「YES」であれば次の問いに進み、「NO」であればレベル2の強みになります。このレベル2「独自の強み」を厳密に言うと「一時的競争優位で標準を上回る経営資源」です。同じ経営資源を持っている競合は少なく、競争が優位に運ぶ強みと言えます。

ちなみにこの「模倣困難性」には、

  • 時間圧縮の不経済:手に入れるために長い年月がかかる
  • 経路依存性:過去の出来事の順序が経営資源の形成に影響している
  • 因果関係不明性:どの経営資源の影響なのか誰もわからない
  • 社会的複雑性:影響している要素が複雑すぎて真似できない
  • 特許:法律によって守られていて真似できない

という5つの要因で説明することができます。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

組織への問い

ここでの問いは、

  • その経営資源を戦略にフル活用できる組織なのか?→ YES or NO

です。

「ヒアリングから顧客の課題を解決する提案力」という経営資源の場合、営業部が人手不足で回っていなかったり、人材育成ができていなかったり、ノウハウを蓄積して共有する仕組みがなかったりすれば「NO」寄りです。逆に組織的にその経営資源を強化する仕組みがあれば「YES」寄りになります。

この問いで「YES」であればレベル3の強みであり、「NO」であれば組織自体が「弱み」だと言えます。このレベル3「持続的な独自の強み」を厳密に言うと「持続的競争優位で標準を上回る経営資源」です。同じ経営資源を持っている競合は少なく、すぐに真似をされる可能性も低く、経営資源を十分に使いこなせる組織を伴った強みと言えます。

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