フォーカスグループによるマーケティングリサーチ
フォーカスグループとは、年齢・性別・生活環境などの共通する条件を持った調査対象者を数人集めてグループを作り、様々な話題について討論させることで情報を得る調査方法です。
調査対象者のグループは会議室などに集められ、調査会社の担当者が司会を行い、様々な話題を振りながら目的の情報を引き出します。その後、調査対象者には謝礼が支払われることが一般的です。
討論の様子はビデオカメラで撮影され、別室で調査の依頼主や調査員が観察したり、録画された映像から会話を文字に書き起こして情報として使用します。
フォーカスグループの実施は、自社で実施することもありますが、多くの場合は専門の調査会社に依頼することになります。
調査会社にフォーカスグループを依頼するメリットとしては、
- どの会社がマーケティングリサーチをしているかを知られずに済む
- 司会を専門家に依頼することで情報を効率よく聞き出せる
- 調査対象者の募集から謝礼の支払いまで一括して代行してもらえる
などがあります。
特に、どの会社のマーケティングリサーチなのかを、調査対象者や競合他社に知られずに実施できることは大きなメリットです。
例えば、ある自社製品についてフォーカスグループを行うとします。
もし製品を作った会社が調査していることが調査対象者にわかれば、調査員に気を使って良いことしか言わないかもしれません。また逆にクレームばかりを言う人もいるかもしれません。
一方、調査を誰が依頼したのかが分からなければ、調査対象者の発言に偏りが出ることを抑えることができます。
フォーカスグループを行うことの注意点としては、
- あくまで少数の調査対象者の意見であること
- 特定の条件で意図的に集められた調査対象者であること
などです。
フォーカスグループでは、調査対象者同士の対話から情報を引き出すため、ここまでで紹介した「質問法」「観察法」「実験法」などと全く違う情報を手に入れることができます。しかし、その情報はあくまで一部の調査対象者から得られた情報であることを忘れてはいけません。
フォーカスグループを2回行ったら、真逆の意見や情報が引き出されることもあります。
そのため、単発のフォーカスグループだけで結論づけるのではなく、他の調査方法と組み合わせて活用する必要があります。
フォーカスグループの逆の言葉に「アンフォーカスグループ」というものがあります。
アンフォーカスグループは、様々な属性を持つ人を幅広く集めてグループディスカッションを行う方法でです。この方法では、様々な視点から幅広い意見を募ることができます。
異なるターゲット層にアプローチする際の情報蒐集に役立ちます。
行動データによるマーケティングリサーチ
行動データとは、調査対象者の購買記録や購買行動のデータから情報を集める方法です。代表的なものとしては、小売店のレジから蓄積されるPOSデータなどの購買記録があります。
顧客の買い物カゴから商品のバーコードを読み込むことで、
- いつ購入したか
- 何を購入したか
- 何と一緒に購入したか
- 何個購入したか
- いくらで購入したか
- どの店舗で購入したか
などの情報が、POS(ポス、Point of Sales:販売時点)データとして記録されます。
さらに会員カード(ポイントカード)と組み合わせることで、
- 誰が購入したか(性別・年齢・居所など)
なども紐づけて記録することができます。
それらの購買データを集計し分析することで、信頼性の高い情報を手に入れることができます。
購買記録などが信頼性の高い情報である理由は、
- 顧客の実際の行動そのもの
だからです。
例えば、アンケートでは、あるブランドのことが嫌いと答えていた顧客も、実際の購買データでは頻繁に購入していることがあります。またインタビューで「〇〇円以下なら購入を検討する」と答えていても、実際にはその金額で購入しないこともあります。
このように、他の調査方法で得られた結果と、実際の顧客の行動に差があることはよく起こります。
顧客の声を直接聞いたからといって安心せず、この「行動データ」のような顧客の購買行動が反映された客観的なデータからも情報を得る必要があります。