ニーズ(Needs)
ニーズとは、
- 消費者が持つ課題の解決や目的を達成する必要性
のことです。
このニーズは、
- 潜在ニーズ:必要性があることに消費者自身が気づいていないニーズ
- 顕在ニーズ:必要性があると消費者自身が気づいているニーズ
に分けることができます。
先ほどの例であれば、
- 消費者「引っ越ししたけど会社までの通勤をどうにかしなきゃ。」
- 消費者「お腹が空いたな。今日のお昼はどうしよう。」
というのが、消費者自身が自覚した解決する必要性のある課題であり、「顕在ニーズ」と呼ばれるものです。
しかし消費者自身が気づいていない「潜在ニーズ」もあります。
潜在ニーズは、消費者自身にとって当たり前であり、問題を問題と思っていない場合があります。そのような場合には、マーケティング活動によって「顕在ニーズ」に引き上げることや、「デマンド」まで一気に導くなどの方法をとります。
ニーズについてのより詳しい情報は、こちらの記事をご覧ください。
ウォンツ(Wants)
ウォンツとは、
- 課題や目的を解決するための具体的な手段に対する欲求
ことです。
このウォンツは、
- 基本ウォンツ:具体的な解決の方向性に対する欲求
- 条件ウォンツ:解決の方向性を選別するための条件
- 期待ウォンツ:当然満たされるべきと思っている暗黙の事柄
に分けることができます。
先ほどの「通勤」の例では、
- 基本ウォンツ:消費者「バスもあるけど、電車で通勤しよう。」
- 条件ウォンツ:消費者「ただし時間がかかっても乗り換え少なめがいい。」
- 期待ウォンツ:消費者「少し早く家を出たら座って通勤できるかも。」
という部分が。
「昼食」の例では、
- 基本ウォンツ:消費者「新メニューが出てるし、今日は牛丼にしよう。」
- 条件ウォンツ:消費者「ただし会社からあまり遠くないお店がいいな。」
- 期待ウォンツ:消費者「注文したらすぐに出てくるはず。サっと済ませたい。」
がウォンツになります。
ウォンツは「基本ウォンツ」さえあれば成立します。また「基本ウォンツ」に対してマーケティング活動を行うことで、「デマンド」に引き上げることができます。
しかし「条件ウォンツ」や「期待ウォンツ」も無視することはできません。
先ほどの例の「乗り換えが少なく」「早ければ座って通勤できる」を望んでいる消費者に対して、「乗り換えが多く」「早朝から満員になる」ような通勤電車は、いくらマーケティング活動を頑張っても成果は上がりません。
また「会社の近く」で「すぐに食べられる」飲食店を探している消費者に対して、「会社から離れていて」「食事の提供まで時間がかかる」飲食店では、いくら広告しても訴求することはできません。
このようにマーケティング活動では「基本ウォンツ」を認識するだけではなく、「条件ウォンツ」や「期待ウォンツ」についてもマーケティングリサーチから情報を得ることが重要です。
ウォンツについてのより詳しい情報は、こちらの記事をご覧ください。
ベネフィットとは?
ニーズやウォンツと一緒に使われる言葉として、「ベネフィット(benefit、便益・恩恵)」という言葉があります。
ベネフィットとは、
- 顧客が得られる便益
のことで、
- 「ニーズ」と「ウォンツ」を満たす便益をコンセプト化(概念化)したもの
を指します。
マーケティング活動では、関係者全員で顧客が得られるベネフィットを共有しておくことで、様々な施策に一貫性を生むことができます。
また顧客に対しては、ベネフィットを「キャチコピー」や「キャッチフレーズ」として伝えることで、商品やサービスの有用性を短時間で理解してもらうことが可能になります。
具体例としては、牛丼チェーンの「吉野家」の行動指針(バリュー)である、
- 「うまい、やすい、はやい」
が顧客が得られるベネフィットを表現しています。
この、
- うまい
- やすい
- はやい
というのは、顧客にとっての「条件ウォンツ」や「期待ウォンツ」を満たせるというメッセージにもなります。
さらにマーケティング活動を行う吉野家の関係者にとっても、意思決定に迷った時に「うまい、やすい、はやい」に従うことで、一貫性のある判断ができる可能性が高まります。
このように顧客のベネフィットを明確にすることは、商品やサービスを提供する側にもされる側にもメリットがあります。