期待ウォンツ
期待ウォンツとは、消費者が当然のように満たされるべきと考えている事柄のことです。
この期待ウォンツは、消費者の過去の経験や体験によって形成されます。
例えば先ほどの枕を買おうとしている消費者は、
- 新品の枕は変な匂いはしない
- 新品の枕は汚れていない
という前提を持っているかもしれません。
そのため、
- 変な匂いがしない新品の枕
- 汚れていない新品の枕
を売り場でわざわざ探しません。
なぜなら、一度でも新品の枕を買ったことがあれば、
- 変な匂いがしない
- 汚れていない
ということを経験として知っているからです。
このように条件として考えるまでもなく、過去の経験に基づいて当然のことと期待している事柄を「期待ウォンツ」として考えます。
この消費者が持っている期待ウォンツは、消費者が経験を重ねることで常に変化しています。
顧客体験の提供による期待ウォンツの形成
期待ウォンツは、消費者の過去の形成によって形成されるので、企業側が顧客体験を提供することで、自社に優位な期待ウォンツを作り上げることもできます。
例えば通信販売大手の「アスクル」は「明日来る」という名前の通り、オフィス用品を翌日到着で配送することによって、顧客に期待ウォンツを形成させることに成功しています。
現在ではネット注文での即日配送も珍しくありませんが、アスクルが営業を始めた当時は「当日配送・翌日到着」ということが強い競争優位性になりました。
アスクルに注文した商品が翌日に届くことを体験した消費者には、何度も利用しているうちに最初は珍しかった「当日配送・翌日到着」が当たり前になり、期待ウォンツに変化していきます。
その結果、もしアスクルの競合他社に注文したものが3〜4日かかってしまえば、消費者は「次の日には届くと思ったのに…」という期待ウォンツが満たされず不満につながってしまうのです。
もちろん競合他社も新しく形成された「当日配送・翌日到着」という期待ウォンツに対応すれば良いのですが、配送システムの見直しなどが必要で一朝一夕には実現することができません。
このように、自社の得意分野や競合他社よりも優位な分野で、期待ウォンツを形成させることができれば、戦略を優位に進めることができます。