アップセルやクロスセルを成功させる仮説検証
アップセルもクロスセルも、仮説検証を繰り返すことで成功確率が向上します。
仮説検証とは、
- 「AであればB」という仮説をする
- 仮説がどの程度当てはまるか確認する
という作業の繰り返しです。
例えばアップセルであれば、
- 「共働きの夫婦には乾燥機能付き洗濯機のアップセルが成功する」という仮説を立てる
- 実際にその仮説が正しいかどうか1週間程度実践してみて成功率を記録する
という仮説検証を行います。
クロスセルであれば、
- 「小さい子供のいる夫婦には冷蔵庫と掃除機のクロスセルが成功する」という仮説を立てる
- 実際にその仮説が正しいかどうか1週間程度実践してみて成功率を記録する
という仮説検証になります。
もし成功率が高ければ、その仮説が正しい可能性が高いと言えるでしょう。同僚にも共有し、他人でも同じような成果が上がれば、より一般化されたノウハウとして運用することができます。
そしてこの「仮説を立てる」方法は、
- 帰納法(きのうほう):複数の出来事とその結果から規則性を見つける
- 演繹法(えんえきほう):一般論を使って出来事の結果を推測する
の2つに大きく分けることができます。
購買データを使った帰納的仮説
帰納(きのう)法では、
- 複数の出来事とその結果から規則性を見つける
ことで仮説を立てることができます。
アマゾンの関連商品のレコメンドによるクロスセルや、小売店でPOSデータを使った陳列によるクロスセルなどは、過去の購買データに基づいたものがほとんどです。
その購買データからパターンを見つけ出して、仮説を生み出すのが帰納的な仮説の立て方になります。
例えば、
- 商品Aを買った顧客の7割が商品Bも一緒に購入した
ということが購買データからわかれば、
- 商品Aを買う顧客は商品Bも買う
という仮説を立てることができます。
先ほどの例では「小さい子供のいる夫婦は冷蔵庫と掃除機を一緒に買った購買履歴が多い」ということがわかった場合、「小さい子供のいる夫婦には冷蔵庫と掃除機のクロスセルが成功する」という仮説を立てることができます。
その仮説をもとに陳列の並べ方を変えたり、商品Aの購入を決めたお客さんに商品Bを提案することで、クロスセルの成功確率が高いかどうかを検証できます。
またこの帰納的仮説は、必ずデータが必要なわけではありません。
レジ打ちをしたり発注書を何枚を眺めたりしているときにも、購買のパターンが見えてくることがあります。そういった場合には、そのまま放ったらかしにせず仮説として検証をこまめに行うことで、ノウハウが蓄積されていきます。
セオリーに基づいた演繹的仮説
もう一つは、
- 一般論を使って出来事の結果を推測する
ことで演繹(えんえき)的に仮説を立てる方法です。
演繹法は、すでに一般論として仮説検証がされているノウハウを使って、別の場面の仮説を立てる方法です。
例えば
- 共働き夫婦には家事の時短に関するニーズがある
という一般論があったとします。
先ほどの例であれば、
- 一般論:共働き夫婦には家事の時短に関するニーズがある
- 出来事:共働き夫婦が洗濯機を探している
- 仮説:共働き夫婦には乾燥機能付き洗濯機で家事の時短が実現できるのでアップセルが成功する
という流れで仮説を立てることができます。
また、
- 一般論:共働き夫婦には家事の時短に関するニーズがある
- 出来事:共働き夫婦が洗濯機を探している
- 仮説:共働き夫婦にはロボット掃除機で家事の時短が実現できるのでクロスセルが成功する
というように別の切り口で仮説を立てることもできます。
そしてこれらを検証するために記録を取ることで、仮説検証を行うことができます。
このように、アップセルにしてもクロスセルにしても、日々の仮説検証から精度を上げていくことが重要です。そのためには帰納法や演繹法についても理解を深める必要があります。
帰納法と演繹法については、より詳しく別の記事にまとめているので、こちらの記事もご覧ください。