B2B市場とは?B2C市場と異なる10の特徴

B2B市場の10の特徴

4. 複数の購買影響者

B2C市場で一般消費者が製品やサービスを購入する場合には、購入する本人が「購買意思決定プロセス」の「5つのステップ」を通して検討を行います。仮に誰からかの影響を受けるとしても、家族や友人など少数の人物に限られるでしょう。

購買意思決定プロセスは、

  1. 問題認識:問題やニーズを認識する
  2. 情報探索:問題解決のために情報収集する
  3. 代替品の評価:複数の選択肢を評価する
  4. 購買決定:購買のために最終決定する
  5. 購買後の行動:購買決定そのものを評価する

5つのステップから構成されています。

しかしB2B市場では、購買意思決定プロセスのそれぞれの段階で意思決定をする人物が存在しているだけでなく、各段階で複数の人物の意見が購買に影響します。

例えば、現場の声を反映して新しい設備を購入しようとした場合、候補を絞り込むための情報収集は現場に近い人物が行うかもしれませんが、どの販売代理店を通して購入するかの判断は別の部署で行うかもしれません。さらに購入のための予算の話し合いや、購入の最終決定などはより経営に近い人たちによって行われるかもしれません。

そのため、B2B市場で製品やサービスを買ってもらうためには、目の前にいる購買担当者のニーズを満たすだけでなく、複数の重要な意思決定者の影響も考える必要があります。

5. 複数回に及ぶ営業訪問

購買の意思決定に複数の人物が影響するということは、売り手側はそれだけ多くの人とコミュニケーションを取る必要が出てきます。

購入する製品やサービスの影響が広ければ広いほど、金額が大きければ大きいほど、多くの人が購買の意思決定に関与するようになります。

そのためB2B市場の営業では、購買に至るまでに様々な関係者と多くの打ち合わせを行うことも少なくありません。

さらに販売した後もフォローアップのための営業や、関係性の維持のための営業活動も欠かせません。

6. 派生需要

全ての需要は、最終顧客の需要から派生しています。そして最終顧客の需要の変化が、そこから派生した需要の全てに大きな影響を与えます。

前半で説明した「サプライチェーン」の図をもう一度見てみましょう。

サプライチェーン

供給業者がB2B市場で提供した製品やサービスが、最終的にたどり着く需要は最終顧客の最終製品です。

その最終顧客の需要をどんどん遡っていけば、多くの供給業者が様々なB2B市場を通して派生する需要を満たしていることがわかります。

そのため最終顧客の需要の増減は、派生需要の増減に強く影響します。

例えば、自動車の需要が減って大手自動車メーカーの生産が減ってしまえば、自動車部品の派生需要も減ってしまいます。さらにその影響は直接的に製品やサービスに関連する需要だけでなく、そこで働く人たちを間接的に支えるサービスの需要も減ってしまいます。

逆に新しい成長市場が生まれると、その市場に直接関わっている事業者だけでなく、その市場から派生した様々な需要も生まれます。

このように、B2B市場では自社の直接的な取引先の需要だけでなく、その先にある最終顧客の需要も見越した上で戦略を考える必要があります。

7.非弾力的需要

非弾力的」とは、

  • 影響によって変化しにくい

という意味です。

そしてここでの「非弾力的需要」というのは、

  • (価格変化の)影響によって需要が変化しにくい

という意味になります。

つまりB2B市場は、供給される製品やサービスの価格が変化したとしても、需要の変化が少ないという特徴を持っています。

例えば、航空機のジェット燃料の価格が一時的に上がったとしても、航空輸送会社の便数を減らすことはありません。逆にジェット燃料の価格が非常に低くなったとしても、輸送の便数が大幅に増えることはありません。

これはサービス業だけでなく生産業でも同じで、原料の価格が変動したとしても、それに合わせて生産量を増やしたり減らしたりすることはほとんどありません。

なぜなら、

  • 供給業者は安定供給を求められる
  • 供給業者は提供方法を変えにくい

からです。

先ほどの航空輸送会社であれば、安定的な輸送サービスを提供することが顧客から求められています。そのため燃料費が上がったからといって「荷物を運ばない」というわけにはいきません。そのため燃料の価格が一時的に上がったとしても、航空輸送会社が燃料の供給業者から燃料を買わなくなることはありません。

また航空輸送会社は航空機によって輸送サービスを提供していますが、このサービスの提供方法は簡単に変えることができません。そのためジェット燃料が高いからといって、事業の柱を船便や鉄道による輸送に切り替えるということは簡単にできません。

このようにB2B市場で提供される製品やサービスは、安定的に派生需要を満たさなければ最終需要に影響を与えてしまうことや、これまでのやり方を簡単に変えることができないなどの理由から、価格変化に対して需要が変動しにくいという特徴があります。

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