規模の経済の具体例:お菓子工場
例えば、お菓子を生産するとします。
- お菓子を生産する機械:1台 100万円 → 固定費
- お菓子の材料費:1個あたり10円 → 変動費
お菓子を1個しか生産しない場合の平均費用は下記のとおり。
- 変動費 10円 + 固定費 1,000,000円 = 総費用 1,000,010円
- 総費用 1,000,010円 ÷ 生産量 1個 = 平均費用 1,000,010円
この場合のお菓子1個あたりの平均費用は 1,000,010円 です。1個100万10円以上で売らなければ赤字になってしまいます。
だいぞう
設備投資をして、お菓子を1個しか作らないと大赤字ですね。
次にお菓子を1ヶ月で1万個生産したとします。1万個作る場合の変動費は、10円 × 10,000個 = 100,000円になります。
- 変動費 100,000円 + 固定費 1,000,000円 = 総費用 1,100,000円
- 総費用 1,100,000円 ÷ 生産量 10,000個 = 平均費用 110円
この場合、1個だと100万円を超えた平均費用が 110円まで下がりました。誰でも買えそうな値段です。
だいぞう
たくさんお菓子を作ると、かなり現実的な値段になりましたね。でもお菓子1つあたりの費用の9割以上は固定費という状態です。
さらに生産量を上げて、お菓子を10万個生産したとします。10万個作る場合の変動費は、10円 × 100,000個 = 1,000,000円になります。
- 変動費 1,000,000円 + 固定費 1,000,000円 = 総費用 2,000,000円
- 総費用 2,000,000円 ÷ 生産量 100,000個 = 平均費用 20円
1個あたりの平均費用が 110円から 20円に下がりました。安売りしてもちゃんと利益が出せそうです。これは「規模の経済」が効いていると言えそうですね。
だいぞう
もっとたくさん作ると、規模の経済の効果がわかりやすくなりましたね。お菓子1個あたりで考えると、固定費分はたったの10円まで下がりました。
しかしたくさん生産すると機械が故障したり、部品を交換したりしなければなりません。
そのため永遠に生産量は下がり続けるわけではなく、ある時点から1個あたりの平均費用が上がる場合があることに注意してください。
つまり、平均費用が上がる状況に転じた場合を「規模の不経済(ふけいざい)」と呼びます。詳しくは、後ほどデメリットと一緒に説明します。