マーケターが狙うべき3つの需要
マーケターが狙うべきチャンスのある需要は、
- ゼロ需要:消費者はその製品を知らない又は興味がない状態
- 潜在需要:消費者のニーズが既存製品では満たされていない状態
- 不健全需要:社会的に望ましくない製品に需要がある状態
です。
ゼロ需要
ゼロ需要は、
- 消費者が自社の製品やサービスを認知していない
- 消費者が自社の製品やサービスを知っているが興味がない
という状態です。
この状態への対応策は、
- 製品やサービスを認知してもらう
- 製品やサービスに興味を持ってもらう
ことになります。
ゼロ需要では、通常のマーケティング活動で対応することが可能で、打つことができる施策も一番多いと言えます。
しかし消費者が、
- どの会社の製品やサービスも認知していない
- 競合他社の製品やサービスを認知している
という2つの状況では、マーケティング戦略の方向性が大きく異なります。
もし新製品などで、消費者が同様の製品やサービスを知らなければ、何もない状態から囲い込むことができます。しかしすでに競合他社の製品やサービスが大きなシェアを持っている場合は、そこから消費者を引き剥がして、自社の顧客になってもらう必要があります。
競合他社から顧客を奪う場合には、相手も黙って見ているわけはないので、非常に激しい戦いになります。
このような戦い方を常に強いられるのは、
- マーケット・チャレンジャー
- マーケット・フォロワー
と呼ばれるポジションに着けている企業です。
チャレンジャーやフォロワーは、マーケット・リーダーが幅広く製品ラインナップを広げてくるため、後発の製品やサービスはゼロ需要への対応になります。しかし後を追うだけであれば、資金力のあるリーダーに勝てる見込みが少ないため、新製品でのゼロ需要への対応が必要になります。
潜在需要
潜在需要は、消費者のニーズが自社や競合他社の製品では満たされていない状態です。
ニーズが満たされていないということは、そこにビジネスチャンスが眠っているということです。
- 既存製品の改良する
- 既存製品の提案の仕方を変える
- 新製品を開発する
などが潜在需要への対応になります。
消費者のニーズをはじめとして、ビジネスを取り巻く環境は常に変化しています。そのため、以前は消費者のニーズを的確に満たしていたとしても、時間が経つと消費者のニーズが変化するので「潜在需要」の状態になってしまいます。
その既存製品が満たしているニーズと、変化した消費者のニーズの差(ギャップ)にいち早く気づくことで、競合他社に隙を与えず、市場シェアを伸ばすことができます。
このちょっとした消費者ニーズの変化に気づくためには、定期的なマーケティング調査が必要です。
不健全需要
不健全需要とは、社会的に望ましくない製品やサービスに需要がある状態です。
「社会的に望ましくない製品やサービス」とは、
- 倫理的な問題がある
- 環境破壊につながる
- 経済に悪い影響を与える
などが引き起こされる製品やサービスのことです。
例えば、近年では世界中でプラスチックゴミによる環境汚染が叫ばれていて、プラスチックの買い物袋やストローが「社会的に望ましくない」という認識に変わりつつあります。
しかしプラスチック製品は安価で利便性が高いため、多くの国で利用を望む消費者は少なくありません。各国で法整備や規制などが進んでいますが、代替品や代替方法も発展途上であり「社会的に望ましくない」と考えながらも、従来のプラスチック製品を使わざるをえない状況も多くみられます。
この「社会的に望ましくない」という認識は、時代によって変化します。
プラスチック製品が世の中に普及しはじめた時代には、利便性が環境への影響を大きく上回っていました。そのため「不健全需要」と呼ばれる状態ではありませんでした。しかし人口が増加して、プラスチックによる環境汚染の影響が、利便性による価値を上回るケースが増えたことで、「不健全需要」になってしまったのです。
このように、消費者の倫理観・環境・経済状態によって、それまで問題のなかった製品やサービスでも「不健全需要」を持つようになることあります。
もし、この変化を大きな機会ととらえることができれば、既存のビジネスの再成長や新規事業の成長につながるかもしれません。
先ほどのプラスチックゴミ問題でも、プラスチックに変わる新素材の開発や、利便性を損なわない代替手段の提案が大きく進んでいます。経営者や研究者は、倫理観・環境・経済状態の変化を見逃さないように注意して、ビジネスの成長に繋げることが求められます。